文豪 田山花袋の映像を確認 ~横浜市立大学と福島県郡山市の連携事業~ 「こおりやま文学の森資料館所蔵フィルム修復」の調査結果を報告

横浜市立大学

 公立大学法人横浜市立大学と福島県郡山市が締結した「こおりやま文学の森資料館所蔵フィルム修復に係る協定」に基づくパイロット調査完了を受け、庄司達也教授(横浜市立大学 国際教養学部)から郡山市長へ結果報告を行います。

<結果報告の概要>
1 日 時 5月26日(水) 午後3時
2 場 所 (横浜市立大学)金沢八景キャンパス YCUスクエアY403
      (郡山市)   郡山市役所 特別会議室(本庁舎2階)
      ※新型コロナウイルス感染拡大防止のため、WEB会議システムを活用
       して横浜市立大学と福島県郡山市の2拠点で実施します。
      ※当日は、両会場にて取材が可能です。ご希望の方は事前に以下の問
       い合わせ先までご連絡ください。
3 出席者  横浜市立大学 国際教養学部教授  庄司 達也
       郡山市長  品川 萬里

<修復・復元された映像>

<こおりやま文学の森資料館(※1) 所蔵フィルム>
 郡山市は、平成10年(1998年)に久米 正雄(※2)のご親族から、久米が撮影したとされるフィルム18本を購入しました。
 そのうち6本は、昭和50年(1975年)に久米 正雄の息子の昭二氏が焼き直したもので、現在、資料館において公開し活用しています。
 残る12本については、経年による固着・劣化によりその全容を確認することができないものの、部分的に確認できる範囲では、「蒲団」「田舎教師」などの作品で知られる当時文壇の重鎮であった自然主義作家の田山 花袋(たやま かたい)をはじめとした多くの文学者たちが映っていることから、希少性の高い貴重な資料であることが想定されています。

<パイロット調査の概要>
 令和2年4月15日に締結した横浜市立大学と郡山市との連携協定に基づき実施した、所蔵フィルムの「修復可能性調査」の結果を踏まえ、全12本のフィルムのうち2本を試験的に修復(※3)・調査しました。
 庄司教授の調査結果から、修復されたフィルムには作家の久米 正雄や里見 弴(さとみ とん)のほか、映像資料としては初めて確認された可能性が高い田山 花袋(たやま かたい)の姿が認められました。その成果は、日本近代文学史における価値にとどまらず、多摩川流域の郷土資料、当代の風俗研究の対象としても高い価値があることが指摘されています。

<今後の事業展開>
 修復が完了したフィルムに関するより詳細な調査を行いながら、「こおりやま文学の森資料館」において映像を展示・公開するなど、活用を検討してまいります。
 また、残る10本のフィルム修復・調査についても、横浜市立大学と郡山市で協議を重ねながら検討してまいります。

<参考>
(※1) こおりやま文学の森資料館(福島県郡山市豊田町3番5号)

http://www.bunka-manabi.or.jp/bungakunomori/

 郡山市は、久米正雄をはじめ多くのゆかりの文学者を輩出しており、「文学資料館」では、それらの文学資料を中心に展示公開を行っている。
 さらに、敷地内には鎌倉にあった久米正雄邸を移築復元し、「久米正雄記念館」として内部を公開。邸内には久米の愛用した品々を展示し、趣味や交友の広さを紹介している。

(※2) 久米正雄(1891年~1952年)
 父の死後、母方の実家である郡山市開成山に居をかまえ、安積中学校時代から三汀と号して句作を始めている。
 第一高等学校(現 東京大学)に入学後、芥川龍之介・菊池寛などと共に第三次「新思潮」を発刊。郡山を舞台にした戯曲「牛乳屋の兄弟」で劇作家として認められる。
 夏目漱石令嬢筆子との失恋から「破船」を執筆、通俗作家としても広い読者を獲得した。文壇で確固たる地位を築いた後も、温厚な性格から文壇の世話役として活躍した。

(※3) フィルムの修復は、専門技術を有する株式会社ヨコシネディーアイエーに依頼。

 
 


 

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