横浜市立大学 大学院生命医科学研究科 構造生物学研究室 有田恭平准教授、石山 怜(博士前期課程)、東京大学医科学研究所 中西 真教授、西山敦哉講師らの研究グループは、DNAメチル化の維持に関与するDNAメチル化酵素DNMT1が、ユビキチン化されたヒストンH3を認識する機構を解明しました。
◯研究成果のポイント
◆DNAメチル化酵素DNMT1と、DNAメチル化部位へDNMT1を呼び込む目印となるユビキチン化されたヒストンH3との複合体の立体構造を解明し、その制御の仕組みを明らかにしました。
◆DNMT1とユビキチン化されたヒストンH3との結合が、DNMT1のDNAメチル化酵素活性を上昇させることを発見しました。
◆この成果により、細胞の性質を遺伝する分子メカニズムの一端が明らかとなったのに加え、新たなDNMT1活性化阻害剤の開発にもつながることが期待されます。
◎今後の展開
この研究成果は、DNAメチル化維持機構の仕組みの一端を詳細に解明するとともに、細胞のがん化や脱分化などの生命現象の理解と、その制御に重要な知見を与えます。例えば、DNMT1の触媒ドメインを標的にした抗がん剤はありますが、その使用は限定的であり副作用が生じる問題があります。しかし、DNMT1に特徴的であるRFTSドメインを標的に高選択的な薬剤を開発できれば、がん細胞や神経変性疾患で見られる異常なDNAメチル化を制御できる可能性があります。今回の研究成果はDNA維持メチル化という重要な生命現象の解明に加えて、この分野の応用に寄与するものと期待されます。
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