横浜市立大学学術院医学群 微生物学 梁 明秀教授を中心とする研究グループは、ELISA法とイムノクロマト法を用いて、新型コロナウイルス患者血清中に含まれる抗ウイルス抗体(IgG)の検出に成功しました。
今後、これらの検出法について臨床的意義などの有用性を多数の患者検体で検証し、診断法の確立や試薬キットの開発、実用化を目指します。
2019-新型コロナウイルスの患者は、わずか2ヶ月の間に世界中で約10万人の感染者と3,000人を超える死亡者が報告されており、世界的に公衆衛生上の非常に大きな問題として早急な対策が求められています。一方で、このウイルスの性状や病原性などの解析は未だ十分ではなく、医療現場で使用可能な迅速診断法や血清抗体診断法は確立されていません。
梁教授ら研究グループは、コロナウイルスを構成するタンパク質を、梁教授の保有技術であるコムギ無細胞タンパク質合成法で調製し、2019-nCoV感染症に対する血清学的診断法の研究を進め、このタンパク質を用いて、ELISA法とイムノクロマト法を用いた新型コロナウイルスの血清診断法につながるIgG抗体の検出に成功しました。
■研究成果のポイント
【ELISA法】
抗体価を定量分析するもので、検出感度が高く、かつ多検体の処理に向いている。
また、ペア血清を用いた病勢分析や治療効果の判定などにも活用できる。
【イムノクロマト法】
目視判定による定性分析が可能であるため、特別な装置を必要とせず、簡単な操作で短時間にウイルス感染の可能性を調べることができる。
○発症後7~10日程度経過した肺炎患者などへの使用に有効
○特別な装置を必要とせず、簡単な操作で短時間にウイルス感染の可能性を調べることが可能
○どちらも血液を用いる診断法のため、検体が採取しやすく、検体採取時の医療従事者などへの二次感染リスクが比較的低い
○ PCR法と併用することで、より的確な診断を行うことが可能
▼本件に関する問い合わせ先
研究企画・産学連携推進課
渡邊 誠
TEL:045-350-6516
【リリース発信元】 大学プレスセンター
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