<NTT DATA INTELLINK SUMMIT 2022 講演レポート>【基調講演】実現すべき未来へのプロダクトマネジメント
仮説検証の繰り返しで磨かれるプロダクト
冒頭、成功している企業に共通する点として、自社のプロダクト事業に強みがあることを指摘されました。これまで「プロダクトアウト 」の考え方は、プロダクト が先行し、独りよがりの発想から顧客を置き去りにしてしまう傾向があり、顧客の声をしっかり聞く「マーケットイン 」の考え方こそが正しいと教えられてきました。しかし、顧客自身が何を欲しているのか自覚していないケースも多い今日では、顧客の声を鵜呑みにするのではなく、本人さえ気づいていない欲求をよく観察することが重要で、つまり、「プロダクトアウト 」と「マーケットイン 」の双方の考え方を持って仮説検証のサイクルを何度も回していき、顧客に価値を提供していくことが今の時代に求められていると述べられました。
しかしながら実際には、プロダクトは汎用品であるためそのままでは顧客の要望を完全に満たさないことも珍しくありません。そこで及川氏は2階建ての志向を目指すことを提案します。自社のプロダクトを1階部分、2階を顧客要望に応えるカスタマイズ部分とするという考えです。この2階部分が肥大化してしまうと、プロダクトの強みであるスケールメリットを享受することができなくなるため、提供者、利用者ともにこれらのバランスをとっていくことが求められているとしています。
プロダクトの成功に導く「仮説のミルフィーユ」
プロダクトの成功とは事業価値および顧客価値の両方が最大化されている状態を指します。時に、事業価値と顧客価値の最大化はトレードオフの関係にあると考えられることもありますが、バランスを取り最適化し、プロダクトの持つ未来、ビジョンの実現に向け顧客とともに歩んでいくことこそがプロダクトの理想形です。
この成功に向けてTablyが提唱しているのがプロダクトを4つの階層で捉える「仮説のミルフィーユ」です。4つの階層とは、プロダクトで実現すべき未来社会、ビジョンなどの「Core」、顧客理解などの「Why」、体験や自社のビジネスを考える「What」、どのように顧客の課題解決を実現するのかという「How」のことを指します。今日では何が求められているのか分からない、すべてが仮説であるという状況のなかででプロダクト開発を進めていきます。これらの4階層は上から下へ順番に考えていくのではなく、上下を何度も行ったり来たりしながら仮説検証を繰り返してプロダクトを磨き上げていくことが重要です。そしてこれはプロダクトをリリースした後も終わりなく続きます。
ソフトウェア開発からプロダクト開発へ
コードの先に利用者を想像することで、どのような課題を解決できるか、また、どんな価値を社会に生み出せるかまで考えることがプロダクト開発です。もちろん、ソフトウェア開発はやりがいのある仕事ですが、プロダクト開発はそれをさらに上回るものを与えてくれるはずです。最後に、ソフトウェア開発だけでなくプロダクト開発も目指してみてほしいと及川氏は締めくくりました。
<アーカイブ配信>
・実現すべき未来へのプロダクトマネジメント
https://www.youtube.com/watch?v=KIe5pGZzekc
NTTデータ先端技術について
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