~蓄積したインシデントをナレッジとして活用し、運用上の属人性排除を検証~
NTTデータ先端技術株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:藤原 遠、以下:NTTデータ先端技術)は2024年4月30日まで、統合運用管理ソフトウェア「Hinemos」にて、生成AIを用いてインシデント対応や分析から属人性を排除し、システム運用の自動化・効率化を推進する新たな実証実験を行います。
Hinemosでは、生成AIを使用し、過去の設計ナレッジやインシデント情報、ITシステムの稼働情報といった蓄積データを最大限に運用に活用するAIドリブン運用として「システム運用AIアシスタント」構想の実現を目指しています。これにより、加速度的に運用品質の向上、コストの低減、アジリティの向上が見込めます。
本実証実験では、蓄積したインシデント情報をもとに、Azure OpenAI Service上の生成AIを用いて解決策の提案やインシデント発生状況の傾向分析を行い、インシデントの早期解決、予防への実効性を検証します。従来のインシデント対応は運用者やエンジニアの記憶や経験に頼っており属人化することが増えていますが、生成AIの活用により、再現性を持たせ専門的な知識がなくとも対応可能となることを目指します。
NTTデータ先端技術は実験結果を踏まえ、システム運用AIアシスタントの2024年度下期の提供開始を予定し、順次サービスの拡充を進めます。引き続き本実証実験の実効性評価を継続するとともに、システム運用の自動化・効率化を目指すユーザ企業とのトライアルにも取り組み、システム運用AIアシスタントのさらなる成熟を図ります。
【背景】
昨今、DXの推進やリモートワークの普及などにより、ITシステムはますます複雑化しています。一方でITシステム運用の現場には人手に頼った業務や属人的な要素が多く、ITシステム運用の効率化、自動化が求められています。こうした中で、運用へのAI活用が注目されており、生成AIの登場によりますます期待が高まっています。
このような状況に対してNTTデータ先端技術は、生成AIを運用に使用し、システム運用で蓄積されるデータを最大限に活用することで、運用の迅速性・生産性の飛躍的な向上を実現する「AIドリブン運用」を掲げています。AIドリブン運用がもたらす効果として、システム運用品質の向上、故障対応や運用改善のアジリティの向上、システム運用コストの低減の3つが挙げられます。
このAIドリブン運用の1つとして、Hinemosにおける「システム運用AIアシスタント」構想を描いています。
【Hinemosの「システム運用AIアシスタント」構想】
Hinemosは、「収集・蓄積」「見える化・分析」「自動化」といったシステムの運用管理に必要な機能をワンパッケージで提供する、OSSの統合運用管理ソフトウェアです。
Hinemosの描く「システム運用AIアシスタント」構想とは、HinemosがITシステムから収集・蓄積したデータなどの運用に関するシステム固有の情報や、NTTデータ先端技術がこれまでに培ってきた設計や保守などに関する運用ナレッジをもとに、生成AIを活用してシステム運用の自動化・効率化を目指すものです。様々な情報をシステム運用AIアシスタントが総合的に処理することで、運用業務上のサービスマネージャの判断をアシストしたり、自動でシステムへの実行指示を行ったりすることを可能とし、ITシステム運用の高度化を実現します。
図:Hinemosの「システム運用AIアシスタント」構想
【新たな実証実験の概要】
生成AIを用いて過去インシデント情報を有効活用する実証実験
このたび、Hinemosの「システム運用AIアシスタント」構想の実現に向けた取り組みの一環として、蓄積した過去のインシデント情報をもとに、生成AIに解決策の提案やインシデント発生状況の傾向分析をさせ、インシデントの早期解決、予防を図る実証実験を新たに開始します。
Hinemosでは検知したイベントをインシデントとして自動で起票でき、容易な操作性でインシデント管理が行えます。軽量な動作のため、多量のインシデント情報の蓄積、検索が可能です。しかしながら、多くのインシデント情報の中から必要な情報を探し出すために、属人的な記憶や経験に基づいて判断しているケースがよく見られます。
本実証実験では、Azure OpenAI Service上の生成AIに、発生したインシデントについて自然言語で問い合わせ、過去のインシデント情報をもとに解決策を提案させることにより、インシデントの早期解決が図れるかを検証します。これにより従来の記憶や経験に頼ったインシデント対応が誰にでも対応可能となり、属人化の排除と運用の効率化に寄与します。また、蓄積されたインシデント情報からインシデント発生状況の傾向分析やサマリを生成する検証も併せて実施します。生成された分析結果やサマリをプロアクティブな対応に活用することで、インシデント発生を予防し運用負荷を低減できるかを確認します。
図:生成AIを用いた過去インシデント情報の有効活用
【「システム運用AIアシスタント」におけるこれまでの実証実験】
運用自動化のインターフェースを生成AIベースで実現する実証実験
NTTデータ先端技術では、Hinemosにおけるシステム運用AIアシスタント実現に向けた取り組みの第1弾として、運用自動化のインターフェースを生成AIベースで実現する実証実験を2023年10月より実施し、このたび完了しました。
実施結果として、自然言語指示で判断ルールを自動生成する生成AIベースの運用自動化のインターフェースを開発し、それにより自動化サイクルの効率化が図れることを確認しました。本実証実験では、様々なユースケースに対してルール自動生成を検証するとともに、著作権等のコンプライアンスへの対応も実施しています。
【今後について】
NTTデータ先端技術は実証実験の結果を踏まえ、システム運用AIアシスタントの2024年度下期の提供開始を予定し、順次サービスの拡充を進めます。
引き続き本実証実験の実効性評価を継続するとともに、システム運用の自動化・効率化を目指すユーザ企業とのトライアルにも取り組み、システム運用AIアシスタントのさらなる成熟を図ります。
【参考情報】
■関連する取り組み: Azure OpenAI Service基盤の運用管理
昨今の生成AIの急速な進化から、生成AIサービスを導入する企業が増えてきています。一方で生成AIサービスを導入、運用するにはAIに特有の運用管理をおこなう必要があります。さらに、ITシステムを効率的に運用するためには、生成AI基盤を含むシステム全体を一元的に管理することが重要です。
こうした背景から、NTTデータ先端技術はこれまでに培ってきたAzure OpenAI Serviceのノウハウを生かし、Hinemos を用いたAzure OpenAI Serviceを含むAzure上のITシステム全体の統合運用管理を提供します。Azure OpenAI Serviceに特有の管理項目であるサービス稼働状況、キャパシティ、セキュリティ、課金状況の監視が可能です。これらの監視を含むHinemosの提供する統合運用管理の機能により、Azure上のITシステム全体の一元的な運用管理を実現します。
図:Azure OpenAI Service基盤の運用管理
生成AI基盤(Azure OpenAI Service)の運用管理:AI基盤の監視のポイントと統合運用管理の必要性
https://www.intellilink.co.jp/column/ai/2024/031400.aspx
■「Hinemosソリューションセミナ2024」開催
「Hinemosソリューションセミナ2024」を2024年4月19日(金)にオンラインにて開催します。
DXの推進に伴い複雑化が進むITシステムの効率的な運用管理を、圧倒的なコストパフォーマンスで実現する「Hinemos」の、最新動向、機能、サービス、ソリューション、ユースケースなどを一挙ご紹介します。
また、本イベントでは、近年注目を浴びている「生成AI」をテーマとして取り上げ、システム運用現場における生成AI活用の可能性や、Hinemosとしての生成AI活用の取り組み状況をご紹介します。
Hinemosソリューションセミナ2024
https://www.hinemos.info/seminar/HinemosSolutionSeminar2024
■関連ニュースリリース
統合運用管理ソフトウェア「Hinemos」における生成AIを用いた運用自動化・効率化の実証実験を開始(2023年10月23日)
https://www.intellilink.co.jp/topics/news_release/2023/102300.aspx
*Azure OpenAI Service は、ChatGPTへの入力データが言語モデルそのものの学習に再利用されないことが利用規約に明記されています。
*「Hinemos」は日本国内、米国および中国におけるNTTデータ先端技術株式会社の登録商標です。
*その他の商品名、会社名、団体名は、一般に各社の商標または登録商標です。
【本件に関するお問い合わせ先】
製品・サービスに関するお問い合わせ先
NTTデータ先端技術株式会社
ソフトウェアソリューション事業本部
デジタルソリューション事業部
サービスマネジメント担当
大上、内山、壁谷、渡邉
Tel:03-5859-5457