シュローダー(本社:英国 ロンドン)のグループ企業でインパクト投資のスペシャリストであるブルーオーチャードは、Global Affairs Canada(カナダ国際関係省)およびIDB Invest(米州投資公社)とのパートナーシップの下、ラテンアメリカ・カリブ海地域におけるジェンダー平等、多様性、インクルージョンを推進するインパクト投資戦略(以下、当戦略)を立ち上げることを発表しました。
- 当戦略は、革新的なブレンデッド・ファイナンスの手法を用いて、域内の女性、先住民族、アフリカ系住民、移民、その他十分なサービスを享受できていない人々のファイナンシャル・イングルージョン(金融包摂)を加速させることに重点を置いています。
- これまでに、一般投資家、著名ファミリー・オフィス、年金基金から約1億米ドルを調達し、目標金額は2億米ドルです。
- ブルーオーチャードは2007年からラテンアメリカ・カリブ海地域で戦略を展開しており、ジェンダーに特化した投資戦略では2つ目です。
- 当戦略は、SFDR(サステナブルファイナンス開示規則)第9条におけるサステナブル投資を目的とする戦略で、国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を目指すものです。
ラテンアメリカ・カリブ海地域では、人口の70%が銀行口座を持たず(*1)、先住民人口は極度の貧困状態にある人口の17%を占め(*2)、アフリカ系住民は白人に比べて慢性的な貧困状態にある可能性が2.5倍高い(*3)といわれています。また、この地域では女性が経営または所有する零細企業の資金不足は、約1,000億米ドル(*4)にのぼります。この課題に対処するための資金は引き続き公的部門に依存していますが、公的資金だけでは十分ではありません。
ラテンアメリカ・カリブ海地域では、ニーズに合わせたソリューションと革新的な投資戦略を通じて、十分なサービスを享受できず社会から疎外されている人々に対して、金融包摂を促進することが急務となっています。カナダ国際関係省と米州投資公社という2つの重要な公的部門の投資家は、共通の目的に基づき、それぞれの強みを持ってブルーオーチャード、シュローダーと協力し、ラテンアメリカ・カリブ海地域で十分なサービスを享受できていない人々が経営・所有する中小零細企業の経済的健全性と回復力を高めるため資金を提供します。当戦略は、公的部門と民間部門の両方が投資する革新的なブレンデッド・ファイナンスの手法を用いて、ラテンアメリカ・カリブ海地域の中小零細企業の資金不足を補うために貢献します。
当戦略は、目標達成のために3つの重要な柱、つまり、 (1) ラテンアメリカ・カリブ海地域の金融機関が提供するソリューションの開発と改善、(2)金融機関のジェンダー平等・多様性・インクルージョンの促進、(3)市場・企業・顧客グループに関連するジェンダー平等・多様性・インクルージョンに関するデータの収集、分析、評価、に注力します。当戦略は、インパクト測定の改善に貢献するだけでなく、ジェンダー平等・多様性・インクルージョンの実践や、より適したソリューションの開発や改善にも貢献することが期待されています。資金提供に加え、技術的な分野でも市場の構築やプロジェクトを支援していきます。
ブルーオーチャード CEO フィリップ・ミュラーのコメント:
「私たちは20年以上にわたってインクルージョンに取り組んでおり、ラテンアメリカ・カリブ海地域における活動も15年以上になります。強力なパートナーの支援を受けて、この重要なジェンダー平等・多様性・インクルージョン戦略を立ち上げることにより、私たちは平等の拡大に向けて大きな一歩を踏み出し、十分なサービスを享受できていない人々の起業家精神を後押しできると考えています。」
シュローダー・キャピタル プライベート・アセット・ヘッド ゲオルグ・ワンダリンのコメント:
「責任ある運用会社として、シュローダー・キャピタルは、前向きな変化を加速させ、長期的に魅力的なパフォーマンスを実現する機会を提供するため、サステナビリティとインパクト投資の実践を重視しています。私たちのサステナビリティとインパクトへの取り組みには、ネット・ゼロへの移行を支援することと、カスタマイズされたソリューションと革新的な投資戦略を通じて世界で金融包摂と持続可能な開発を推進することが含まれています。当戦略が、ラテンアメリカ・カリブ海地域において、十分なサービスを享受できず社会から疎外されている人々の金融包摂を促進する上で、重要な貢献ができると考えています。」
駐ペルー・ボリビア カナダ大使 ルイス・マルコット氏のコメント:
「カナダ政府は、特に社会から疎外された人々のために、新たなパートナーシップや資金調達法、開発の推進を支援することに尽力しています。社会、経済、環境へのインパクトを高めるためには、公的部門と民間部門からの投資、特に新たな資金を呼び込むことが不可欠です。カナダからの投資は、特にジェンダー平等に貢献するための新たな民間投資の市場構築に貢献しています。」
米州投資公社 チーフ・インベストメント・オフィサー ゲマ・サクリスタン氏のコメント:
「ジェンダー平等、多様性、インクルージョンに注力する投資のインパクトと収益性は、徐々に知られるようになってきていますが、ラテンアメリカ・カリブ海地域では、女性起業家、先住民族、アフリカ系住民、移民、その他十分なサービスを享受できていない人々にとって、依然として資金は大きく不足しています。米州投資公社にとって、金融包摂は重要課題です。銀行やその他の金融関連企業とともに、ジェンダー平等、多様性、インクルージョン、そして社会的弱者の経済的幸福を支援するために、尽力していきます。」
シュローダーのグループ企業であるブルーオーチャードは、成長を続けるインパクト投資におけるパイオニアです。運用実績は20年以上、世界に約2億6,000万人の受益者をもち、世界最大の民間のマイクロファイナンスファンドを運用しています。複数の資産クラスに投資するインパクト運用会社であるブルーオーチャードは、社会・環境に対するインパクトと経済的リターンの両方を追求します。ブルーオーチャードは、720以上の金融機関のネットワークを通じて、105以上の新興・フロンティア市場に投資してきました。ブルーオーチャードのインパクト運用プロセスは業界最高水準で、外部からの検証も受けています。
ブルーオーチャードは2007年からラテンアメリカ・カリブ海地域に進出しており、2007~2008年の金融危機後、ラテンアメリカ・カリブ海地域のマイクロファイナンス戦略を運用する企業として選ばれました。この戦略を通じて、ラテンアメリカ・カリブ海地域13カ国の約40万人の零細起業家に融資が行われました。ペルーのリマには運用チームの拠点があり、現地の金融機関と協力してきた豊富な実績があります。
*1 FinTech Is Driving Financial Inclusion In Latin America(forbes. com)
(
https://www.forbes.com/sites/patriciakemp/2022/07/18/fintech-is-driving-financial-inclusion-in-latin-america/?sh=69ebe09a5e6d)
*2 The situation of Latin America’s indigenous population and the impact of COVID-19(undp. org)
(
https://www.undp.org/latin-america/blog/situation-latin-america%E2%80%99s-indigenous-population-and-impact-covid-19)
*3 Eliminating Afro-descendant Exclusion in Latin America is Vital for Development (worldbank. org)
(
https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2018/08/29/eliminating-afro-descendant-exclusion-in-latin-america-is-vital-for-development)
*4 Gender Lens Investing: How Finance Can Accelerate Gender Equality in Latin America and the Caribbean. IDB.” (2019)
以上
ブルーオーチャードについて
ブルーオーチャードは、シュローダー・グループの一員でインパクト投資に特化した世界有数の資産運用会社です。インパクト投資の先駆者として、投資家に魅力的なリターンを提供すると同時に、地域社会や環境に対して持続的にプラスのインパクトを与えることを目指しています。ブルーオーチャードは、2001年に国連主導で設立された、世界初のマイクロファイナンス投資の民間運用会社です。
ブルーオーチャードは、幅広い資産クラスにおけるインパクト投資ソリューションを提供しています。インパクト投資ソリューションをすべての人々にお届けし、社会や環境に利益をもたらすような資本の活用を推進することを目指し、エマージング及びフロンティア市場の何百万人もの起業家と投資家をつないでいます。
高い専門性を持つ運用会社として、また革新的なブレンデッド・ファイナンスのスペシャリストとして、世界に洗練された顧客を持つとともに、世界の主要な開発金融機関から信頼されるパートナーでもあります。これまでに、90カ国以上で90億ドル以上の投資実績を積んできました。2021年12月時点で、投資を通じた貢献により、エマージング及びフロンティア市場において、2億3,000万人以上の貧困層、社会的弱者層の人々が、金融関連サービスを利用できるようになりました。詳細については、ウェブサイト(www.blueorchard.com)をご覧ください。
シュローダーについて
シュローダーは、1804年創業、運用資産額で欧州最大級(約117兆円*)の独立系資産運用グループです。世界38拠点6,000名以上の従業員が連携して資産運用業を行っています。ロンドン証券取引所に上場する一方、引き続き創業家が中核株主として議決権付き株式の約半数を保有し、長期的視点で資産運用業に取り組んでいます。
*2022年12月31日現在7,375億英ポンド、1英ポンド=158.71円換算
日本とのかかわりは古く、1870年(明治3年)、日本初の鉄道敷設のために日本政府が初めて発行した国債の主幹事を、シュローダーが務めたことにさかのぼります。1974年には東京事務所を開設し、日本における事業の本格的な第一歩を踏み出しました。幅広い資産運用サービスを提供する現在も日本株式運用を事業の中核の一つに据え、約150年前と同様、日本の未来への投資を通じて歴史を紡いでいます。