2.ユニバーサルで快適な輸送サービスの提供(約79億円)
(1)ホームドア・ホーム固定柵設置工事の推進
お客さまのホームからの転落や列車との接触を防止するため,ホームドア・ホーム固定柵設置工事を進めており,昨年度までに12駅にホームドアを設置,2023年度と2024年度は計9駅の設置工事を進めてまいります。
(2)駅改良工事(大規模改良,ホーム上家延伸,トイレリニューアル等)
神奈川新町駅は大規模改良工事に着手し,エレベーターやエスカレーターの新設と併せて道路との接続歩道橋なども整備し,駅周辺と一体的な移動円滑化を図ってまいります。その他の駅も,雨天時の混雑緩和のためのホーム上家延伸,トイレのリニューアルなどを実施し,お客さまが鉄道をご利用しやすい環境整備を進めてまいります。
・大規模改良 対象駅:神奈川新町駅(エレベーター・エスカレーター新設等)
・駅舎耐震補強 対象駅:花月総持寺駅(併せてトイレ新設・コンコースのリニューアル等)
・ホーム上家延伸 対象駅:黄金町駅
・トイレリニューアル 対象駅:汐入駅
・運行情報配信システム 対象駅:11駅(現在26駅に設置済み)
(3)車両更新工事(フリースペースの設置・窓の開閉化等)
車体更新に併せ,ベビーカーのご利用や大きなトランクをお持ちのお客さまが快適にご乗車いただけるようフリースペースを設置するほか,非常通報装置の増設,固定窓の一部開閉化などを行います。
・車体更新:1000形:16両(8両×1編成,4両×2編成)
3.環境負荷低減に向けた取り組み(約10億円)
(1)駅および車両照明設備のLED化
温室効果ガス排出量削減のため,全駅および全車両で照明設備のLED化を推進いたします。2023年度は羽田空港第3ターミナル駅など10駅のホームまたはコンコース照明設備,16両の車両照明設備LED化工事を実施いたします。
(2)省エネルギー設備への更新,駅舎補助電源装置の新設
駅のエレベーターやエスカレーターを更新するほか,電車がブレーキをかけた時に発生する電力(回生電力)の余剰分を,駅舎の電気設備に供給し,駅の照明や空調・エスカレーター等で有効に利用できる「駅舎補助電源装置」を変電所等設備に新設するなど,低炭素社会の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
(節電効果見込:エレベーターの更新は最大約50%,エスカレーターの更新は約10%)
4.将来の成長に向けた投資(約46億円)
(1)羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線新設工事
将来の航空旅客の増加を見据え,羽田空港アクセスのさらなる輸送力増強,利便性向上を図るため,国土交通省と当社で相互に協力して羽田空港第1・第2ターミナル駅引上線の新設および駅改良工事を進めてまいります。
※引上線は列車の入換え等を行う専用線です。
(2)泉岳寺駅改良工事
泉岳寺駅および品川駅北周辺地区は将来の駅周辺地域の開発による交流人口の飛躍的な増加が見込まれております。これに伴い,泉岳寺駅のホームの拡幅およびコンコースの拡張や昇降施設,出入口などの機能強化を行い,駅の利便性,安全性の向上やバリアフリー化を図ります。また,この改良工事は駅隣接街区にて東京都が施行する市街地再開発事業と連携して進めてまいります。
(3)鉄道オペレーション変革に向けた取り組み
アフターコロナの新たなニーズへの対応および将来の労働力人口の減少を見据え,駅務機器の遠隔操作とカメラ付き通話対応が可能なスマートサポートシステムを順次導入し,遠隔・非対面による新しい駅営業様式を拡大してまいります(2023年度は14駅に導入予定)。また,駅の信号取り扱い業務の自動化を拡大し,さらなる保安度の向上と業務効率化を進めてまいります。その他,車両や施設の保守部門においても業務の高度化に向け,ICT技術を活用したシステムの導入等を進めてまいります。