公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館(神奈川県・箱根町)は、開館20周年を機に「心をゆさぶる美術館」を新たなビジョンとして定め、従来のコレクションに加えて20 世紀から現代までの美術の展開を跡づけるために重要な作品の収集、公開に取り組んでいます。
2023年は、近代から現代までの個性にあふれた作家たちによる多彩な室内の表現に迫る「部屋のみる夢―ボナールからティルマンス、現代の作家まで」展、近代から現代に至る「日本画」の展開に注目する「シン・ジャパニーズ・ペインティングー革新の日本画(仮)」展を開催します。
■部屋のみる夢―ボナールからティルマンス、現代の作家まで
会期:2023年1月28日(土)~7月2日(日)
ヴォルフガング・ティルマンス《静物、ボーン・エステート》2002年 ポーラ美術館
© Wolfgang Tillmans, Courtesy Wako Works of Art
ヴィルヘルム・ハマスホイ《陽光の中で読書する女性、ストランゲーゼ30番地》1899年 ポーラ美術館
パンデミック以降、私たちの生活様式は大きく変化しました。移動が制限された状況で誰もが多くの時間を過ごしたのが、「部屋」という空間です。安心をもたらす室内での生活は、外の世界からの隔絶がゆえに閉塞感と隣り合わせのものでした。他方、閉じられた空間で紡がれた親しい人たちやかけがえのないものとの関係は、日常を生き抜くためだけではなく、変化の乏しい生活に彩りを添えるのに、欠かせないものであったと言えるでしょう。
本展覧会では、19世紀から現代に至るまでの、部屋にまつわる表現に特徴のある作家を取り上げ、この小さな世界のなかで織りなされる親密な記憶や夢想のありようを、あらためて見つめ直します。個性にあふれた作家たちによる多彩な室内の表現は、ステイホームの経験を通じて静かに変容した私たちの心のなかで、新たな像を結び始めるでしょう。
会場:ポーラ美術館 展示室1
主催:公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館
おもな出品作家:ベルト・モリゾ、ヴィルヘルム・ハマスホイ、ピエール・ボナール、エドゥアール・ヴュイヤール、アンリ・マティス、ヴォルフガング・ティルマンス、髙田安規子・政子、佐藤翠&守山友一朗
■シン・ジャパニーズ・ペインティングー革新の日本画 (仮)
会期:2023年7月15日(土)~2023年12月3日(日)予定
「日本画」とは、日本における伝統的な絵画と西洋画の接触により、明治期以降に花開いた比較的新しい表現形式です。それは、日本という近代国家の形成期における文化的混沌のなかで誕生したために、明治から大正、昭和の日本画家たちは、近代とは、西洋とは、日本とは、国家とは何か、という不断の問いと向き合うことを余儀なくされました。
第二次世界大戦後は、近代国家の崩壊ととともに画壇において日本画滅亡論が唱えられましたが、近代日本画を乗り越えて「新しい日本絵画の創造」を目指した、現代日本画の担い手たちの活躍によって、「日本画」は新たなフェーズへと進みました。
グローバル化が新たな局面を迎え、ローカルな美術や文化が世界から注目されるようになった21世紀のアートシーンに対して、現在の日本画はいかなる可能性を秘めているのでしょうか。本展覧会では、近代から現代に至る「日本画」の展開について改めて注目し、その将来について考えます。
会場:ポーラ美術館 展示室1, 2
主催:公益財団法人ポーラ美術振興財団 ポーラ美術館
おもな出品作家(予定):橋本雅邦、高橋由一、狩野芳崖、菱田春草、黒田清輝、岡田三郎助、和田英作、小杉未醒、レオナール・フジタ(藤田嗣治)、横山大観、杉山寧、東山魁夷、髙山辰雄 ほか
※会期、展示替え休館予定は改めてお知らせいたします。
■ポーラ美術館について
2002 年に「箱根の自然と美術の共生」をコンセプトに神奈川県箱根町に開館。印象派から20世紀にかけての西洋絵画を中心としたコレクションを核とする展覧会を開催する一方で、現代美術の第一線で活躍する作家たちの作品も展示し、同時代の表現へと展望を拡げている。富士箱根伊豆国立公園という立地を生かした森の遊歩道では四季折々の豊かな自然を楽しめる。
開館時間︓午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館⽇︓年中無休 ※展示替え休館あり
所在地︓神奈川県⾜柄下郡箱根町仙⽯原⼩塚⼭ 1285
T E L ︓0460-84-2111
入館料:大人¥1,800/シニア割引(65歳以上)¥1,600/大学・高校生¥1,300
中学生以下無料/障害者手帳をお持ちのご本人及び付添者(1名まで)¥1,000
※すべて税込 団体割引あり
公式サイト:
https://www.polamuseum.or.jp/