気温上昇予測ダッシュボード 2021年第2四半期

炭素価格の上昇と電気自動車の販売増により気温上昇の予測値が改善

アンドリュー・ハワード
サステナブル投資グローバル・ヘッド

気温上昇予測ダッシュボードの最新予測によると、産業革命前の水準と比較した長期的な気温上昇は約3.4℃です。


気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、最新の科学的知見をまとめた重要な報告書を公表しました。アントニオ・グテーレス国連事務総長はこの報告書について、「人類にとっての厳戒警報」だと述べています。
報告書は、第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)を3か月後に控えたタイミングで、破滅につながる気候変動が起きていると警鐘を鳴らし、人間の活動がそれを引き起こしていると結論づけています。
最良のシナリオをたどったとしても、今後20年間で気温は1.5℃以上上昇し、近年見られているような異常気象が増えると予想しています。
二酸化炭素排出量の削減において短期間で大幅な進展が見られない限り、こうした未来が待ち受けているのです。


気温上昇の予測値から見えること
気温上昇予測ダッシュボードの最新予測によると、産業革命前の水準と比較した長期的な気温上昇は約3.4℃です。これは、世界のリーダーたちが2015年に合意した「2℃未満」という目標も、そしてその後理想的な目標として出された1.5 ℃も大きく上回っています。
しかし、これはシュローダーが2017年第1四半期に示した4.2℃上昇という予測値よりはかなり良く、1年前の2020年第2四半期に示した3.9℃の上昇よりも低い数値です。


気温上昇予測ダッシュボードとは
シュローダーは、気候変動に対処するために世界の政策立案者や社会、企業が実施する対策の変化から示唆される長期的な気温上昇予測を客観的に示す指標として、2017年に気温上昇予測ダッシュボードを開発しました。気温上昇予測ダッシュボードでは、幅広い領域を検証し、2015年に世界のリーダーが合意したパリ協定の目標に照らした進捗を追跡しています。
シュローダーの予測値が示す長期的な気温上昇は、2017年に追跡を開始して以来下落傾向にあり、下落のペースは昨年よりも加速しています。

(図表1)長期的な気温上昇予測値


炭素価格の上昇と電気自動車の好調な売れ行きが最近の改善を後押し
今四半期は、炭素価格が引き続き上昇したことが前期比での改善を推進した大きな要因となりました。
世界最大規模を誇るEU域内排出量取引制度(ETS)では、2021年7月に炭素価格が1トン当たり60ユーロ近くまで上がり、過去最高を記録しました。ロックダウンが緩和されて鉱工業生産が増加し、生産量の増大に対応するために必要な排出枠の需要が今後増えると予想されるため、排出権取引市場の見通しは良好です。欧州における炭素価格が昨年から倍に跳ね上がったことで、多くの市場でクリーン投資の経済的メリットが高まっています。
もう一つの際立った変化は、電気自動車の売れ行きがここ数か月間で大きく伸びている点です。ロックダウン期間中も、自動車業界全体は低迷していたにも関わらず、電気自動車は力強い需要を維持していました。
シュローダーの分析によると、今年の累計販売台数は前年同期比で150%以上の伸びを記録しています。今年初めには、世界最大の市場である中国において、電気自動車の販売台数が新車販売全体の11%に達しました。乗用車は運輸部門の排出量全体の半分を占めており、世界全体の二酸化炭素排出量の約11%を占めています。この市場で脱炭素化を図ることが、低炭素社会への移行を実現する鍵となります。

(図表2)電気自動車の月次販売実績

IPCCの報告書は、私たちが人類の存続に関わる脅威に直面しており、各国が本気でこの問題に取り組み対策を強化しなくてはならないことをはっきりと示しています。今年開催されるCOP26では、社会、政治、企業の取り組み強化に向けた気運が一層高まることを願っています。


変化のまとめ
以下は前回の情報更新(2021年第1四半期)と比較した各指標の変化をグラフで示しています。

前四半期からの気温上昇予測ダッシュボードの数値の変化

前四半期からの項目別気温変化(℃)


以下は気温上昇予測ダッシュボードの発表(2017年半ば)以降の各指標の累積変化をグラフで示しています。


気温上昇予測ダッシュボード提供開始(2017年半ば)以降の項目別気温変化(℃)

上記は過去の実績であり、将来の傾向、数値、運用成果等を示唆・保証するものではありません。



【本資料に関するご留意事項】
  • 本資料は、情報提供を目的として、シュローダー・インベストメント・マネージメント・リミテッド(以下、「作成者」といいます。)が作成した資料を、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が和訳および編集したものであり、いかなる有価証券の売買の申し込み、その他勧誘を目的とするものではありません。英語原文と本資料の内容に相違がある場合には、原文が優先します。
  • 本資料に示されている運用実績、データ等は過去のものであり、将来の投資成果等を示唆あるいは保証するものではありません。投資資産および投資によりもたらされる収益の価値は上方にも下方にも変動し、投資元本を毀損する場合があります。また外貨建て資産の場合は、為替レートの変動により投資価値が変動します。
  • 本資料は、作成時点において弊社が信頼できると判断した情報に基づいて作成されておりますが、弊社はその内容の正確性あるいは完全性について、これを保証するものではありません。
  • 本資料中に記載されたシュローダーの見解は、策定時点で知りうる範囲内の妥当な前提に基づく所見や展望を示すものであり、将来の動向や予測の実現を保証するものではありません。市場環境やその他の状況等によって将来予告なく変更する場合があります。
  • 本資料中に個別銘柄についての言及がある場合は例示を目的とするものであり、当該個別銘柄等の購入、売却などいかなる投資推奨を目的とするものではありません。また当該銘柄の株価の上昇または下落等を示唆するものでもありません。
  • 本資料に記載された予測値は、様々な仮定を元にした統計モデルにより導出された結果です。予測値は将来の経済や市場の要因に関する高い不確実性により変動し、将来の投資成果に影響を与える可能性があります。これらの予測値は、本資料使用時点における情報提供を目的とするものです。今後、経済や市場の状況が変化するのに伴い、予測値の前提となっている仮定が変わり、その結果予測値が大きく変動する場合があります。シュローダーは予測値、前提となる仮定、経済および市場状況の変化、予測モデルその他に関する変更や更新について情報提供を行う義務を有しません。
  • 本資料中に含まれる第三者機関提供のデータは、データ提供者の同意なく再製、抽出、あるいは使用することが禁じられている場合があります。第三者機関提供データはいかなる保証も提供いたしません。第三者提供データに関して、本資料の作成者あるいは提供者はいかなる責任を負うものではありません。
  • シュローダー/Schroders とは、シュローダー plcおよびシュローダー・グループに属する同社の子会社および関連会社等を意味します。
  • 本資料を弊社の許諾なく複製、転用、配布することを禁じます。

この企業の関連リリース

この企業の情報

組織名
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
ホームページ
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/
代表者
黒瀬 憲昭
資本金
49,000 万円
上場
非上場
所在地
〒100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目8番3号丸の内トラストタワー本館21 階
連絡先
03-5293-1500

検索

人気の記事

カテゴリ

アクセスランキング

  • 週間
  • 月間
  • 機能と特徴
  • Twitter
  • デジタルPR研究所