PwCが「世界CEO意識調査」の結果を発表~CEOの4分の3が2021年の経済成長の回復を予測~

2021年3月12日
PwC Japanグループ



PwCが「世界CEO意識調査」の結果を発表
~CEOの4分の3が2021年の経済成長の回復を予測~
  • 世界各国の5,000名を超えるCEOを対象に行ったPwCの「第24回世界CEO意識調査」では前向きな見方を示す数値が記録的な高水準まで増加
  • CEOの76%が世界経済の成長は2021年に回復すると予測
  • 自社の売上成長への自信は回復
  • CEOの視点で自社の成長に最も重要な国として、米国が中国との差を引き離してトップを維持
  • 今年はCOP26が開催される年だが、気候変動は今なお喫緊の課題として取り上げられる状況にない
  • 自社の成長見通しに対する脅威トップ10に「フェイクニュースなどの誤った情報」がランクイン

※本プレスリリースは、2021年3月11日にPwCが発表したプレスリリースの翻訳です。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に蔓延する感染症であると宣言されてから1年が経過し、世界経済の回復に前向きな見方をしているCEOの数は記録的水準に上り、世界のビジネスリーダーの76%が2021年の経済成長の回復を予測しています。

これらの数値は、2021年1月から2月にかけて世界100カ国・地域の5,050名のCEOを対象に行ったPwCの「第24回世界CEO意識調査」から得られた結果です。

世界経済の成長に自信を示したCEOの割合は2020年の22%や2019年の42%から上昇し、本調査でこの質問を開始した2012年以降、前向きな見方を示している数値が最高水準となりました。

世界経済の成長に対するCEOの前向きな見方は特に北米と西欧で顕著であり、今後1年間で世界経済の成長が回復すると予測するCEOの割合は北米で86%、西欧で76%となりました。

「人類の悲劇と深刻な経済的困難に見舞われた1年を経て、投資決定や従業員の雇用という責務を負ったビジネスリーダーたちが、今後1年間に関して慎重ながら前向きな見通しを抱いていることには勇気づけられます。CEOの皆さんはワクチンの急速な開発や世界の多くの地域でワクチン接種が進むことで経済の成長が回復すると信じています。」と、PwCグローバル会長であるボブ・モリッツ(Bob Moritz)は述べています。

「この激動の1年間、CEOとしては何をすべきで、自社のビジネスをどのように行うかについて再考したり再構成したりする必要に迫られた一方、彼らは膨れ上がったバランスシートに対処し、こうした異常な事態を乗り越えざるを得なかった従業員を支援してきました。」

「CEOは現在、2つの根本的な課題に直面しています。1つは、事業への期待をかつてないほど膨らませている広範にわたるステークホルダーの信頼をどのように構築していくのか。そして、もう1つは、対外環境が急速に変化する中で、事業をどのように順応させて持続的な結果を出していくのかという課題です。これらを正しく理解する組織が、今後起こりうるダメージに耐えうる強靭で回復力のある生産的な企業として、いち早くパンデミックから立ち直り、将来の『負』の衝撃に耐えることができるのです。」

売上成長に対するCEOの自信は長期平均水準まで回復

CEOは自社の成長見通しに対する前向きな見方を強めています。今後12カ月間の自社の売上成長見通しについて「非常に自信がある」と回答したCEOは約36%に上り、2020年の27%を上回りました。

売上成長に対する自信は世界的に強まっている一方、パンデミックが消費者行動に与える影響の度合いが様々であることを反映して業種間では大きなばらつきがみられます。テクノロジーや通信セクターの今後12カ月間の自社の売上成長に対する CEOの自信は、それぞれ45%および43%と最も高い水準を示しています。一方、運輸・物流のCEOの自信は29%、ホスピタリティ・レジャーは27%と、最も低い水準となっています。

自社の成長に最も重要な国は米国、中国との差を引き離す

本調査結果からは、CEOが今後12カ月間の自社の成長見通しに最も重要と考える市場として、米国がトップを維持し(35%)、中国(28%)との差を7%まで広げたことが明らかになりました。昨年は米国と2位の中国との差はわずか1%でした。

新たな政治的動向や今なお続く2カ国間の緊張が米国のCEOの見通しに影響を及ぼしています。米国のCEOは成長の原動力として中国を重視する姿勢を弱めており、カナダやメキシコに大きく重点を移しています。昨年と比較すると、カナダやメキシコに対する米国のCEOの関心は78%増加しました。一方、中国のCEOは主要輸出先である日本、米国、ドイツといった経済大国への関心を強めていると回答しています。

自社の成長見通しに最も重要と思われる市場として、ドイツ(17%)は第3位にとどまった一方、EU離脱後の英国がインド(8%)を抜いて4位(11%)に浮上しました。日本も6位に順位を上げて昨年6位であったオーストラリアに取って代わりました。

今年は COP26の開催年。だが気候変動が喫緊の課題として取り上げられる状況にはない

気候変動への懸念を表明するCEOの割合は、2020年の24%から2021年に30%まで上昇しました。今年、英国のグラスゴーで国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)が開催されることを踏まえれば、これはインパクトの小さい上昇と言えるでしょう。また、この結果は、ほぼ全ての脅威に関して懸念が強まっていることとも関連しています。

気候変動は、CEOの自社の成長見通しに対する脅威において依然9位にとどまっています。さらに、CEOの27%は気候変動について「全く懸念していない」もしくは「あまり懸念していない」と回答しています。これは恐らく気候変動が「パンデミック」や「過剰な規制」、「サイバー攻撃の脅威」といった他の問題に比べて、成長に対する喫緊の脅威とみなされていないためと考えられます。

一方、CEOの39%は自社が環境に与える影響を「測定する」ことに一層注力する必要があると考えていると回答しました。そして、CEOの43%は自社の環境への影響の「情報開示」のために、さらに多くのことをすべきだと考えており、その割合は情報開示分野全体の中で最も大きな割合となっています。この結果が心強いと思える理由は、環境への影響に関する企業の情報開示の増加やその情報自体の質の向上が、ネットゼロ経済を実現するために必要な変化を促す上で重要なカギを握るからです。

しかし、CEOの60%は依然として自社の戦略的リスク管理業務の中で気候リスクを考慮していません。気候変動は企業にとって物理的リスクや暫定リスクを高める懸念材料となります。国家レベルでみると、インドや中国のように自然災害から大きな影響を受けやすい国のCEOが、気候変動リスクに対する準備が最もできていません。

CEOの23%はCOVID-19を受けてサステナビリティに関する取り組みへの投資を大きく増やす計画を立てている一方、CEOの3分の1は投資計画の変更を全く行っていません。

ボブ・モリッツは以下のように述べています。「企業が社会の最大の課題に対処する必要性は、かつてないほど高まっています。従業員、顧客、投資家、政策立案者、市民社会を含む、より広範囲にわたるステークホルダーは、企業がその役割を担うことを期待していますし、企業はその期待に応えるべく、できる限りのことをすべきです。これは社会およびビジネスの両面において重要なことです。この期待を寄せられながらそれに応えられない企業は、ステークホルダーの信頼、資金調達へのアクセス、事業認可を失うリスクを抱えることになります。」

サイバー攻撃の脅威、不透明な税制、フェイクニュースなどの誤った情報に関する懸念が増加

驚くまでもなく、「パンデミックやその他の健康危機(※1)」が自社の成長見通しに対する脅威で首位となり、2014年以来長期にわたり世界のCEOにとって最大の懸念材料であった「過剰な規制」を抜き去りました。

(※1) 今年の新しいリスク・カテゴリー:このカテゴリーが最後に含まれていたのは2015年の調査

デジタル化の進展はサイバー攻撃の脅威によるリスクを増大させています。これに加えて、2020年にランサムウェア攻撃を含むサイバーセキュリティ事故が大幅に増加した結果、「サイバー攻撃の脅威」が自社の成長見通しに対する懸念の2番目に浮上し、懸念を示したCEOの割合は2020年の33%に対し47%となりました。サイバー攻撃の脅威を特に懸念しているのは北米と西欧のCEOであり、これらの地域のCEOはパンデミックよりも大きな脅威と捉えています。

その他にCEOが懸念する脅威において急激に順位を上げたのは「フェイクニュースなどの誤った情報」の拡散です(2020年の16%から28%に増加)。これは選挙、評判、国民の健康に影響を及ぼしており、ひいては社会全体の信頼の低下をもたらしています。

不透明な税制は2020年にCEOが懸念する脅威のトップ10に入っておらず、懸念事項として挙げたCEOは19%に過ぎませんでした。今年はその重要性が急速に高まり、7位(31%)まで浮上しました。これはCEOが政府債務の増加を明らかに警戒しており、法人税率引き上げの必要性が高まると考えているためです。

将来に向けたデジタル投資

デジタル変革への支出に関する質問に対し、CEOの半数近く(49%)が10%以上の増額を予定していると回答しています。サイバー攻撃への懸念を強めるCEOが増えているにもかかわらず、それは決定的な行動につながっていません。デジタル投資の拡大を計画していると答えたCEOの中で、サイバーセキュリティやデータプライバシーへの支出を10%以上増やす予定であると回答した割合は半数未満でした。
また、従業員の競争力を高めるためにオートメーションとテクノロジーの活用を計画しているCEOは増えており(36%)、2016年にそのように回答したCEOの2倍を上回りました。

ボブ・モリッツはさらに次のように述べています。「パンデミックが起きてから1年が経過し、ワクチン接種が世界中で広がり始める中、私たちは大きな転換点を迎えています。パンデミックからの回復がどのようなものになるかは依然としてわかりませんが、単純に以前と同じ状態に戻れないことは明らかです。必要な変化を実現するために、CEOはこれまでと異なる考え方をし、より広く社会に影響を与える自らの決定や行動を常に評価することが求められています。そうすることで、信頼を築き、株主、社会、そしてこの地球に持続的な成果をもたらすような道筋を決めていくことになるのです。」
以上


注記:
本調査のレポート(英語)は以下URLよりダウンロードできます。
http://ceosurvey.pwc/

PwCは2021年1月から2月にかけて100の国・地域の5,050名のCEOを対象に調査を行いました。これは昨年実施した調査の回答者数3,501名を大きく上回る数です。本レポートのグローバルおよび地域の数値は、全主要地域におけるCEOの見解を公平に反映させるため、各国の名目GDPに応じて1,779名のCEOのサブサンプルに基づいて算出したものです。ご希望があれば、地域、国、業種別のより詳細な内容を提供します。

グローバルおよび地域の数値を算出するために用いた回答者数1,779名のCEOが所属する企業の内訳は以下の通りです。
  • 売上高250億米ドル以上の企業は6%
  • 売上高100億米ドルから250億米ドル未満の企業は9%
  • 売上高10億米ドルから100億米ドル未満の企業は35%
  • 売上高1億米ドルから10億米ドル未満の企業は34%
  • 売上高1億米ドル未満の企業は14%
  • 非上場企業は60%
また、6地域のCEOに詳細な対面インタビューも実施しました。これらのインタビューの一部は本レポートで紹介しています。より詳細な内容はPwCの下記ウェブサイト(英語)に掲載しています。
https://www.strategy-business.com/inside-the-mind-of-the-ceo



PwCについてhttps://www.pwc.com
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複雑化・多様化する企業の経営課題に対し、PwC Japanグループでは、監査およびアシュアランス、コンサルティング、ディールアドバイザリー、税務、そして法務における卓越した専門性を結集し、それらを有機的に協働させる体制を整えています。また、公認会計士、税理士、弁護士、その他専門スタッフ約9,000人を擁するプロフェッショナル・サービス・ネットワークとして、クライアントニーズにより的確に対応したサービスの提供に努めています。

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組織名
PwC Japanグループ
ホームページ
https://www.pwc.com/jp/ja/
代表者
木村 浩一郎
資本金
1,000 万円
上場
非上場
所在地
〒100-0004 東京都千代田区大手町1‐1‐1大手町パークビルディング
連絡先
03-6212-6810

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