・会期:2020年6月3日(水)~22日(月)/
・会場:日本橋高島屋S.C.本館6階美術画廊 X
「ハジマリノ雫」(部分)243.5×246.0cm 2020年 パネルに寒冷紗、岩絵具、石膏、土
このたび日本橋高島屋美術画廊Xでは、長沢明の7年ぶり2回目の個展を開催いたします。
長沢は、1994年東京藝術大学大学院日本画専攻を修了、その後ニューヨーク研修や英国留学で、欧米の近現代美術や美術論法にも直に触れる体験をしました。
「Mement Mori-2864」1120×1950cm 2013年 パネルに寒冷紗、岩絵具、石膏、土
2003年頃から、壁画のような画面でトラなどの動物を原始的な造形としてダイナミックに描く作品を発表し、高い評価を得ています。
パネルに寒冷紗を張り、石膏や土を塗り込み、風化した壁のような支持体を作るのは、長沢が時を遡り、人の思考以前の意識と交感するための儀式なのかもしれません。そうして“描く”というよりは、重ねた絵具を削りながらカタチを画面に“刻印(記録)”していきます。
生と死という、生物にとって最も身近で深刻な問題でありながら、間際に追い詰められるまではさほど誰も意識しないであろう、或いはまた、この多様化したデジタルな現代においては、口に出して語るには多少の躊躇と真摯な覚悟を伴うこのテーマに対して、長沢は真正面から向き合います。
トラは私たちの似姿、クジラは抗えぬ大きな存在への畏怖、トリは自由と未来を先導するものの象徴、さらに近年はヒトの姿も登場し、より主題に肉薄していきます。
「Garden see」410×318cm 2017年 パネルに寒冷紗、岩絵具、石膏、土、墨
個展タイトルの『アカシアの記録(Akashic Records)』は、この世の創生からのすべての事象、想念が記録されている世界記憶の概念のこと。今展では大作から小品の絵画作品の他、1999年頃に制作していた記憶の化石ともいえる「土本」シリーズの新作も発表いたします。
全てを受け入れ、自然と同化し、“意味”を超えた現代の神話の語り部になるべく、長沢明がまた一歩世界の深淵に足を踏み込みます。
【お問い合わせ】日本橋高島屋S.C.本館 TEL (03)3211-4111(代表)