ワーケーションを通じ、地方創生と働き方改革を“人づくり”から支援
和歌山県太地町と、株式会社日本能率協会マネジメントセンター(以下、JMAM[ジェイマム])は、太地町におけるワーケーション※1事業の実施に向けた包括連携協定を締結いたしましたのでお知らせいたします。
新型コロナウイルスの影響で、働き方改革が加速する昨今、場所にとらわれない働き方や高い生産性や創造性を生み出すための仕組みづくりが注目されています。とくに、テレワークを活用して普段の職場や居住地から離れ、リゾート地や温泉地など、各地で仕事を行いつつ、その地域ならではの体験(休暇、地域貢献、研修、ローカルビジネスとのコラボ等)を行う“ワーケーション”が、アフター・コロナ対策として関心が高まっています。
JMAMでは、従来のワーケーションの「働く+遊ぶ」に、“学ぶ”という要素も付加し、ただワーケーションするだけではなく、イノベーティブな人材の成長を支援する全く新しいプログラム「here there」の開発を進めており、ワーケーション先として独自の体験ができる全国市町村との連携を強化しています。
和歌山県太地町では、クジラの学術研究都市としてクジラと人の触れ合いの場の提供や町の歴史文化を発信することで関係人口を増やす「太地町くじらと自然公園のまちづくり」構想を推進しています。太地町のワーケーションは、町がクジラとさまざまに関わりながら発展・変遷してきた事実を教材に、多様なアクティビティと、独自の人材育成メソッドを組み合わせたプログラムが特長です。“人材育成”に強みを持つJMAMと、企業研修を組み込んだワーケーションを通じて、人材育成も図っていくという同町の方向性が合致し、この度太地町とJMAMは連携協定の締結に至りました。
JMAMでは、人生100年時代において、人は年齢から開放され、働き方や学び方は限りなく広がっていくとし、いかに「時間(とき)と学びをデザイン」しながら「成長を楽しむ」かが重要であると捉えています。企業の人材育成支援を事業の柱に、国内5,500社以上の顧客への教育研修サービスを通して培ったノウハウやネットワークを活かし、ワーケーションを通して働き方改革と地方創生の両面から“人々の成長”を支援するため、太地町とのワーケーション事業に取組んでまいります。
※1.Work(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた欧米発の造語。「テレワーク」により、いつもの仕事を犠牲にせず、地域等でしかできないことを体験、実現する取組(休暇、地域貢献、研修、ローカルビジネス等)。
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〈 包括連携協定の主な内容 〉
和歌山県太地町及びJMAMは、ワーケーション事業の実施を通じた地方創生・働き方改革を推進
(1)ワーケーションを通じた地方創生・働き方改革等にかかるプログラムの造成及び実施
(2)太地町内外の企業、団体等による太地町でのワーケーション実施促進
(3)太地町におけるワーケーションに関する情報発信
(4)上記に関連する取り組み
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【 今後の取り組み(太地町)
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包括連携協定締結に伴い、太地ならではの取組を進めていきます。太地町とJMAMが展開するワーケーションサービスは、WorkとVacationにLearning(学び)という価値を加わることです。地域のユニークなコンテンツ・体験をピックアップし「学びのプログラム」を組み立てます。
本取組では、太地町のほか、旅行関係では南紀白浜エアポート様、プログラム開発では太地町漁業協同組合様はじめ、地域の多くの企業団体との協業を推進します。
初年度は、年間1コース予定しています。
1.プログラムのイメージ
太地町でのLearningテーマは“くじら×FACTFULNESS”です。クジラとさまざまに関わりながら発展・変遷してきた“太地町そのものを生きた教材”と位置づけ、クジラの学術研究都市への取組や、地域史の研究、太地町に関わる人々との交流を通じて、参加者一人ひとりが深く思考し、自己変革への気づきを促進します。
プログラムの構成は、東京1日⇒太地3泊4日⇒東京1日の計6日間。うち、太地でのプログラムイメージは以下のとおりです。
太地特別プログラムでは、『くじら×FACTFULNESS』(上図)のほかに、本プログラムの前後、東京において関連セミナーを開催します。参加対象は、首都圏に本社・事業所をおく企業の中堅・若手管理職です。
そのほか、関連情報の発信や誘客、地域産品の販売の分野でも連携してまいります。
2.「太地町くじらと自然公園のまちづくり」構想について
2006年に太地町が発表したまちづくりの方針であり、構想を基にしたまちづくりが現在も進行しております。
太地町は、同年に「過去・現在・未来永劫にくじらに関わり続けていく」と宣言、その時代時代でくじらと人との関わり方があるのではないかと考えております。
過去とは、当地で古式捕鯨が始まった1606年より「鯨一頭七浦潤す」という言葉があり、鯨を「捕る」ことによって七つの漁村が経済的に潤った、「くじらの恵み」が全住民に配分された歴史がありました。
次に、現在とは、1960年代からこれまでを指しますが、当時の町長は、南氷洋捕鯨の最盛期に「これから鯨が捕れなくなる、そうなれば、町内から出稼ぎに捕鯨に出ている数百名が失業してしまう。そのことを考えると夜も眠れない。」と捕鯨の将来、町の将来を憂慮しました。また、耕地面積が少なく産業立地条件に乏しい当町が一つの産業だけに依存することを危惧した町長は、くじらに関する生態的・文化的資料を収集した施設を創り、観光とも結びつけながら、住民の糧となる地域産業を創設して行く方針を立て、町の一部地域をくじら浜公園として整備し、その中に世界一のくじらの博物館を開館いたしました。つまり、それはくじらを「捕る」ことに加え、「見せる」ことで「くじらを観光に活かす」ということを具体化したものでした。交通の便の悪い当町の博物館に最盛期47万人もの観光客が訪れ、町は潤いましたが、昭和から平成へと時代はめまぐるしく変化し、科学技術の進歩、道路交通網の発展により、くじらの博物館と同様の施設が都市部にも多くでき、くじらの博物館の入館者も減少の一途をたどりました。
そして、平成や令和の時代を生き抜く我々は、将来的に「くじらを学術的に活かす」ことを目標にまちづくりを実施していく方針を掲げました。それが「太地町くじらと自然公園のまちづくり構想」です。30年という長期をかけ、くじらの学術研究都市をつくり、将来的に誰もが一度は太地に行って、くじらに関する研究をしたい、くじらを見てみたい、歴史を知りたいという町にする、言い換えれば、町全体を博物館(エコミュージアム)にする、住民には町全体を公園化するとも伝えております。1960年代は、町の一部地域をくじら浜公園、くじらの博物館として整備しましたが、平成・令和の我々は、5.81km2というコンパクトなフィールドをフルに活用して、町全体を博物館にしていきます。
構想が実現すれば、公園のような環境に配慮した衛生管理の行き届いた清潔感のある、季節感のある町で住民はスローに暮らし、観光客はたくさん訪れ、来訪者から得た外貨を「くじらの恵み」として住民が享受し、くじらと共に生きる持続可能なまちとして発展していくことができるでしょう。
3.JMAMワーケーションサービスについて
JMAMは、2019年度より和歌山県田辺市・白浜町、新潟県妙高市においてワーケーションプログラムの開発を推進していますが、今後、太地町においても展開します。
また、新サービスとしてメンバーシッププログラム『here there』を開発中です。『here there』は、イノベーティブな人材の成長を支援する新しいプログラムです。座学では得られない体験による学びと、バックグラウンドが異なる人たちとの交流を通じて、自分の頭で考えて行動する力を養っていきます。 東京をベースに国内外の様々な場所で独自の体験プログラムを実施します。
前掲の太地地域での本プログラムは今冬に実施予定です。
太地町について:
太地町は、紀伊半島の最南端にさらに小さく突き出した半島形の町。熊野灘に面した海岸線はリアス式海岸が続き、1936年に吉野熊野国立公園として指定されております。人口は、約3,000人、和歌山県30市町村の中で最も行政面積の小さい町(5.81km2)で、日本の古式捕鯨発祥の地として知られ、かつては町民の大多数が捕鯨や捕鯨関係の仕事に従事し、栄え、現在も沿岸捕鯨を中心に捕鯨業が営まれている日本で数少ない地域です。
2006年に「過去・現在・未来くじらに関わり続けていく町」と宣言し、くじらにこだわったまちづくりを進めております。
日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)について:
JMAMは現:一般社団法人日本能率協会(JMA)から1991年に分社し、設立されました。通信教育・研修・アセスメント・eラーニングを柱とした人材育成支援事業、能率手帳の新生ブランド『NOLTY』や『PAGEM』を代表とする手帳事業、ビジネス書籍の発行を中心とした出版事業を通じて、時間(とき)と成長のデザインを大切にしながら、自由で豊かな人生を送りたいと願う全ての人に伴走し、その思い描く未来へと導いていきます。
http://www.jmam.co.jp