横浜市立大学 大学院生命ナノシステム科学研究科 東 昌市教授らの研究グループは、本学先端医科学研究センターの木村弥生准教授、平野 久学長補佐との共同研究により、悪性がん組織に高発現するタンパク質分解酵素MMP-7 が、がん細胞表層の細胞膜タンパク質HAI-1 の切断を介してがん細胞の凝集を誘導することを明らかにしました。MMP-7 の作用でがん細胞が凝集するとその転移能が顕著に増強されることから、HAI-1 の切断が、そのがん転移促進機構において重要なステップであることが示唆されました。
◆研究成果のポイント
〇MMP-7 が、がん細胞表層の細胞膜タンパク質HAI-1 を切断することで産生されるHAI-1 断片(sHAI-1)が、がん細胞の凝集を引き起こすことを明らかにした。
〇MMP-7 によりがん細胞間の接着が誘導されると、がん細胞の転移能が顕著に増強されることから、sHAI-1 はがん転移抑制の新たな標的分子となることが示唆された。
◆今後の展開
現在までに、MMP-7 の酵素活性を特異的に阻害する薬剤は開発されていませんが、これは20 種類以上存在するMMPs の活性部位が互いに良く似た構造を持っており、それぞれのMMP に特異的な阻害剤の設計が困難であることが原因であると考えられています。一方、特異性の低いMMPs 阻害剤は重篤な副作用を示すことが報告されており、これらを用いてMMP-7 のがん転移促進効果を抑制することは大きなリスクを伴うことが予想されます。
今回MMP-7 によるHAI-1 切断を介した細胞間接着誘導のメカニズムが明らかになったことにより、MMP-7 ではなく、sHAI-1 を分子標的とすることで、MMP-7 が促進するがん転移を効果的に抑制できることが期待されます。
※研究成果の詳細については添付のPDFをご覧ください
▼お問い合わせ先
(研究内容に関するお問い合わせ)
大学院生命ナノシステム科学研究科 教授 東 昌市
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E-mail: shigashi@yokohama-cu.ac.jp
(取材対応窓口、資料請求など)
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【リリース発信元】 大学プレスセンター
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