シュローダー マクロ経済見通し(2022年3月)
【米国】
2021年の米国経済成長率は5.7%と堅調となりましたが、2022年については減速が不可避と考えられます。ただし、堅調な労働市場と、過度に拡大した貯蓄の消費は、経済成長の支援材料となり、2022年の米国経済成長率は3.5%、2023年は2.3%を見込んでいます。
インフレ率については、引き続きインフレターゲットを上回る水準で推移しており、「セカンド・ラウンド・エフェクト(二次的効果)」(インフレが波及して賃金上昇や価格の引き上げなどをもたらし、財・サービスの価格が上昇すること)のリスクが残っていることから、米連邦準備制度理事会(FRB)は、3月に利上げを行うことが予想されます。
2022年は4回の利上げを実施し1.25%まで、2023年には2%まで政策金利を引き上げると見込んでいます。
【ユーロ圏】
ユーロ圏の経済成長率見通しは、2022年が3.3%、2023年は2.6%としています。家計の貯蓄率は、正常な水準まで低下することが期待され、欧州復興基金の効果が表面化し始めることにより経済活動が下支えられると考えます。インフレ率については、2022年は4.2%に上昇し(2021年のインフレ率は2.6%)、2023年には2.1%に低下すると見込んでいます。
ただし、欧州中央銀行(ECB)は、ハト派姿勢を維持することが見込まれ、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)は2022年1-3月期に終了も、新型コロナウイルス感染拡大以前から実施されていた量的金融緩和については2023年1-3月期まで維持すると考えています。また、利上げは2023年後半に開始すると見込んでいます。
【英国】
英国の経済成長率見通しは、経済再開による下支え効果が薄れることから、2022年は4.3 %に減速すると考えます(2021年の英国経済成長率は7.5%)。過度な水準にあった貯蓄率は低下していることから、家計支出は引き続き高水準での推移が見込まれますが、インフレ率の上昇は、購買力を低下させます。インフレ率については、主にエネルギー価格の上昇から、2022年は5.6%に上昇(2021年のインフレ率は2.6%)すると見込んでいます。
一方で、堅調な労働市場を背景に、イングランド銀行(BOE)は、利上げを継続することが見込まれ、2023年1-3月期までに1.25%まで引き上げると考えています。それ以降、2023年については、より低いインフレ率や財政縮小を背景に、利上げは休止されると見込んでいます。
【エマージング諸国】
FRBを中心にグローバルでタカ派な金融政策が示されるなか、これまでのところ、エマージング諸国への影響は限定的なものにとどまっています。ファンダメンタルズは底堅いことから、エマージング諸国は経済危機には至らないとしても、先進国への輸出の減少や国内の金利上昇を背景に、経済成長は減速することが見込まれます。
今後想定される他のシナリオ
基本シナリオ以外で今後想定される景気シナリオについて、最も可能性の高いリスクシナリオとしては、スタグフレーションシナリオの「供給サイドによるインフレ」、次いでスタグフレーションシナリオの「ロシアによる侵略の継続」とデフレーションシナリオの「消費者サイドのリセッション」を想定しており、総括してスタグフレーションのリスクに傾斜しています。
世界の実質GDP成長率見通し
シュローダー・エコノミクス・チームによる見通し(基本シナリオ)
【本資料に関するご留意事項】
- 本資料は、情報提供を目的として、シュローダー・インベストメント・マネージメント・リミテッド(以下、「作成者」といます。)が作成した資料を、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社(以下「弊社」といいます。)が和訳および編集したものであり、いかなる有価証券の売買の申し込み、その他勧誘を目的とするものではありません。英語原文と本資料の内容に相違がある場合には、原文が優先します。
- 本レポートは、Schroders Investment Management Limitedが海外の機関投資家向けに作成した資料を、シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社が翻訳・編集したものです。本レポートは、シュローダーのグローバルベースの一般的な取り組み・考え方をご紹介する目的で作成しており、日本の投資者を対象としない内容を含む場合があります。
- 本資料に示されている運用実績、データ等は過去のものであり、将来の投資成果等を示唆あるいは保証するものではありません。投資資産および投資によりもたらされる収益の価値は上方にも下方にも変動し、投資元本を毀損する場合があります。また外貨建て資産の場合は、為替レートの変動により投資価値が変動します。
- 本資料は、作成時点において弊社が信頼できると判断した情報に基づいて作成されておりますが、弊社はその内容の正確性あるいは完全性について、これを保証するものではありません。
- 本資料中に記載されたシュローダーの見解は、策定時点で知りうる範囲内の妥当な前提に基づく所見や展望を示すものであり、将来の動向や予測の実現を保証するものではありません。市場環境やその他の状況等によって将来予告なく変更する場合があります。
- 本資料中に個別銘柄についての言及がある場合は例示を目的とするものであり、当該個別銘柄等の購入、売却などいかなる投資推奨を目的とするものではありません。また当該銘柄の株価の上昇または下落等を示唆するものでもありません。
- 本資料に記載された予測値は、様々な仮定を元にした統計モデルにより導出された結果です。予測値は将来の経済や市場の要因に関する高い不確実性により変動し、将来の投資成果に影響を与える可能性があります。これらの予測値は、本資料使用時点における情報提供を目的とするものです。今後、経済や市場の状況が変化するのに伴い、予測値の前提となっている仮定が変わり、その結果予測値が大きく変動する場合があります。シュローダーは予測値、前提となる仮定、経済および市場状況の変化、予測モデルその他に関する変更や更新について情報提供を行う義務を有しません。
- 本資料中に含まれる第三者機関提供のデータは、データ提供者の同意なく再製、抽出、あるいは使用することが禁じられている場合があります。第三者機関提供データはいかなる保証も提供いたしません。第三者提供データに関して、本資料の作成者あるいは提供者はいかなる責任を負うものではありません。
- シュローダー/Schroders とは、シュローダー plcおよびシュローダー・グループに属する同社の子会社および関連会社等を意味します。
- 本資料を弊社の許諾なく複製、転用、配布することを禁じます。