クリエイティブボックス、3Dプリンタ「Form 2」を活用し、デザインの試行サイクルを1/10に短縮
“いままでにないデザイン”を生み出す “いままでにないやり方”を専任者不要の取り扱いやすさ、出力速度、樹脂のバリエーションで強力に支援
強力で身近な3Dプリントシステムを提供するFormlabs株式会社は本日、株式会社クリエイティブボックス(東京都渋谷区)が、プロダクトデザインプロセスを加速、改革し、デザイナーの速やかな成長を促すことを目的として、Formlabsの光造形(SLA)方式3Dプリンタ「Form 2」を活用していると発表しました。(クリエイティブボックス社内に設置、使用されているForm 2)
日産自動車株式会社の100%子会社であるクリエイティブボックスは、日産自動車のデザイン部門の重要な拠点の1つです。個性的かつマルチスキルを備えたデザイナーは、コンセプトカーやイベントブースなどさまざまなデザインに従事しています。これは、外観、内装などに特化した専門デザイナーで分業することが一般的な自動車デザイン業界では珍しいワークスタイルのデザインスタジオです。何かの気付きが最終的に自動車の良いデザインにつながることを促進するために、日産自動車関連各社以外からもデザインの依頼も請け負っています。
個性的なデザイナーたちを率いるクリエイティブデザインマネージャーの西川 満生氏は、常に“いままでにないデザイン”を期待される現場において、「新しいデザインを生み出す最も早い方法は、新しい方法で行うこと」と確信し、既存のデザイン手法にとらわれないアプローチを模索しています。その一環で、デザイナーが思い付いたデザインをすぐに試せるよう、いつでも使える3Dプリンタやレーザー加工機をオフィス内に設置し、2017年春にFormlabsの光造形方式3Dプリンタ「Form 2」を導入しました。
西川氏はこれまでもさまざまな3Dプリンタを検証していました。「Form 2」導入検討以前から「Form 2」の光造形機としての出力精度の高さは申し分ないと考えていましたが、導入決定に際し西川氏が特に高く評価したのは、ゴムのような仕上がりのフレキシブルレジンや強靱で対摩耗性に優れたデュラブルレジンなど、Formlabsが光硬化樹脂(レジン)の多種多様なバリエーションを揃えていることでした。直接手に触れるプロダクトをデザインすることもあり、試作段階において形状はもちろんのこと、その触り心地や物理特性を試せることが重要でした。さらに、デザイナーにとって使いやすい3Dプリンタでなければなりません。熱溶融積層方式3Dプリンタなどでは、良好な出力を得るために3Dモデルの配置や向き、3Dプリンタの各種調整など事前に行わなければならない項目が多くありますが、「Form 2」はそういった調整項目がほとんどなく、容易に満足できる結果が得られます。「Form 2」は、取り扱いも容易で、専用の設備を必要とせずに使えることも導入を後押ししました。
<試行サイクルを1/10に圧縮した「Form 2」>
各種のデザインツールを使ってPCディスプレイ上のデジタルデータでデザインしていくやり方が現在の主流になりつつありますが、それでもデジタルデータだけでは気付きにくい部分や手触りのようなものの確認のため、クリエイティブボックスでも外部の出力業者に何度かデジタルデータを送って立体モデルを出力しています。しかし、外部業者への依頼では、モデルの品質は良いものの出来上がるまでに10日ほどかかり、出力コストも大きくなるため、デザイナーが失敗を恐れるあまり慎重になって無難なデザインに落ち着かせてしまうことや、出力依頼後にもっと良いデザインを思い付いたために出力物が届いた時にはあまり意味が無くなってしまうことが課題でした。
それが「Form 2」の導入以降、思い付いたデザインを一晩で出力して翌日には確認できるようになったため、デザインして出力し確認するという試作のサイクルが10分の1に短縮され、デザイナーが本当にやりたいデザインを納得いくまで何度も試せるようになりました。結果として、最終的なプロダクトは従来の方法よりも良いデザインになったと西川氏は話しています。
<クリエイティブボックスにおける「Form 2」採用のポイント>
・オフィス内で使えるメンテナンスの容易さ
・特別の知識なしで最適な出力が得られる確実さと使いやすさ
日本語対応の3Dプリントソフトウェア「PreForm」は、3Dモデルを最適な向きに自動配置する機能や、サポート材の自動生成機能などを備え、誰でも容易かつ確実に良好な出力が得られる。PCやモバイル端末からでも出力状況や統計情報がいつでも確認できる「Dashboard」を提供
・光造形による優れた出力品質
(「Form 2が走ったら?」というコンセプトで誕生した「Form 2 Runner」。ミニ四駆をベースにしながらも、レジンタンクや電源ケーブルが外せるなど、実物と同様の機構を持つ)
<「Form 2」がもたらす試行の価値>
西川氏は「Form 2」によって、短期間に何度も出力できることの価値を以下のように話しています。「失敗できることはデザイナー自身にとっても重要です。ある失敗をすると同じ失敗はしなくなり、失敗させないよう指導するよりも、敢えて失敗させた方が早く確実に成長します。また、我々は手で触れることのできるプロダクトをデザインしています。ディスプレイの中だけでは解決しないことも多く、実際に出力するプロトタイピングを非常に大切にしています。失敗しないように作るより、数多く失敗して何度も考え直し、試行することで、より素晴らしいプロダクトができると確信しています」
株式会社クリエイティブボックスについて
株式会社クリエイティブボックス(CREATIVE BOX Inc.)は、日産自動車の100%子会社として1987年に設立されました。日産自動車が世界中に持つデザイン拠点のひとつで、神奈川県厚木市にある日産グローバルデザインセンターのサテライトスタジオと位置付けられています。社長は日産自動車のデザイン部門トップである、グローバルデザイン担当 専務執行役員アルフォンソ・アルバイサ氏が務めるなど、事実上日産自動車の一部ながら、他のデザイン拠点では難しい外部とのコラボレーションハブとしての役割や、新しい機材を迅速に導入して評価するラボとしての役割も担っています。
Formlabsについて
Formlabsは強力で身近な3Dプリントシステムを開発、製造しています。ボストンに本社を、ドイツ、日本、中国に支社を置く同社は、MIT Media LabとCenter for Bits and Atoms出身のエンジニアとデザイナーのチームが2012年に設立しました。Formlabsは世界中のエンジニア、デザイナーおよびメーカーのためにプロフェッショナル3Dプリントの業界標準を確立し、教育、歯科学、医療、ジュエリー、調査など、さまざまな業界でイノベーションを加速しています。Formlabsの製品には、SLA方式3Dプリンタ Form 2、SLS方式3Dプリンタ Fuse 1、3Dプリント自動化ソリューション Form Cell、3DデザインのPinshapeマーケットプレイスなどがあります。Formlabsは、クラス最高の3Dプリントソフトウェアに加え、3Dプリント用にさまざまな高性能の素材も独自に開発しています。