アストラゼネカ 【重症の気管支喘息患者さんと治療に携わる医師への調査】喘息が重症化している患者さんの9割に重症の自覚がなく、辛さや不安を抱えていても7割が現在の生活の改善を考えていない

アストラゼネカ株式会社

~新しい治療である生物学的製剤を知らない患者さんは7割
新しい治療薬には現在の治療薬よりもよりよい症状コントロールを期待~

アストラゼネカ株式会社(本社:大阪市北区、代表取締役社長:ステファン・ヴォックスストラム、以下、アストラゼネカ)は、重症の喘息患者さんを取り巻く現状や重症喘息に関わる治療実態を明らかにすることを目的とした患者・医師調査を、国際医療福祉大学臨床医学研究センター 教授 足立 満先生の監修のもと実施しました。調査は、ガイドラインの定義により重症と判断される喘息患者さん ※1(以下、重症喘息患者さん)100名と、重症喘息患者さんの治療に携わる専門医 ※2・非専門医 ※3 それぞれ100名、合計200名を対象としました。
喘息患者さん全体のおよそ5~10% ※4,5が重症の患者さんといわれています。重症喘息は現状、治療の選択肢が少なく、コントロール不良の重症喘息は死に至ることもある過酷な疾患で、患者さんは頻回な症状増悪や、呼吸機能の低下という身体的な負担のほか、生活の質(QOL)の著しい制限など社会経済的な負担を余儀なくされている ※6,7,8 と言われています。今回の調査では、日本の重症喘息患者さんの実状が明らかになりました。

考察1:重症喘息患者さんは、ガイドライン ※4の定義ではコントロール不十分又は不良と判断される状態にも関わらず、自分の喘息の状態は中等症・軽症で、コントロールが良いと考える人が多い

考察2:重症喘息患者さんは日常、風邪を引けない、いつ喘息の発作が起きるかわからない、などの不安を抱えている

考察3重症喘息患者さんの約7割が、現在の生活の改善を考えておらず、そのうち約8割は現在の治療の継続ではこれ以上症状は改善されず現状維持にとどまると考えている

考察4:新しい治療である生物学的製剤について知らない患者さんが7

考察5一方で、重症喘息患者さんは、今の治療よりも自分の症状コントロールを改善し、副作用が少なく、効きめが早いなどの期待に応える新しい治療法があれば、挑戦したいという意欲が高い

考察6:重症喘息治療に携わる専門医の9割以上は生物学的製剤の処方経験があった

考察7:重症喘息治療に携わる医師は、患者さんが新しい治療に対してよりよい症状コントロールを期待していると考えている

考察8:生物学的製剤の処方経験がある医師のうち、生物学的製剤の症状のコントロールや効果の強さ、即効性について同意する医師は約68割だが、「とても同意する」医師は約23

考察9生物学的製剤の処方経験がある医師の約半数は、経口ステロイド薬処方前の早い段階で生物学的製剤の投与を検討するが、実際は経口ステロイド薬の投与開始後に生物学的製剤を追加投与する

考察10:重症喘息治療に携わる医師は、経口ステロイドの長期連用、副作用、依存性や抵抗性を懸念している

考察11:医師と患者さんとのコミュニケーションでは、症状や治療についての情報に比べ、日常の困りごとについては十分に共有されていない可能性がある

[患者調査]

考察1:重症喘息患者さんは、ガイドラインの定義ではコントロール不十分又は不良と判断される状態にも関わらず、自分喘息の状態は中等症・軽症で、コントロールが良いと考える人が多い


患者調査結果 1.ガイドラインの定義ではコントロール不十分又は不良と判断される状態にも関わらず、症状がコントロールされた状態だと思う患者さんが64.0% <参考資料 患者調査結果1参照>

患者調査結果 2.ガイドラインの定義では重症と判断される状態にも関わらず、自分の病状を重症と思わず中等症・軽症だと思っている患者さんが89.0% <参考資料 患者調査2参照>

考察2:重症喘息患者さんは日常、風邪を引けない、いつ喘息の発作が起きるかわからない、などの不安を抱えている

患者調査結果 3.日常生活で辛いと思っていることとして「風邪を引けない」を挙げた患者さんの割合が最も高く65.0 %、続いて、「他の人と同じスピードで歩いたり、階段や坂をのぼったりしにくい」が56.0%、「夜間や早朝の咳による睡眠不足」が53.0%<参考資料 患者調査3参照>

患者調査結果4.日常生活で心配していることとして、「今後の経済面(治療にかかる費用)が心配」を挙げた患者さんの割合が最も高く65.0 %、続いて、「いつ喘息の発作が起きるかわからないのが不安だ」が61.0%、「何をするにも喘息のことが気にかかる」が54.0%、「喘息症状のために学校や仕事に影響が出ることが心配」が53.0%<参考資料 患者調査4参照>

考察3:重症喘息患者さんの約7割が現在の生活の改善を考えておらず、そのうち約8割は現在の治療の継続ではこれ以上症状は改善されず現状維持にとどまると考えている

患者調査結果 5.ガイドラインの定義ではコントロール不十分又は不良と判断される状態にも関わらず、現在の生活の改善を考えていない患者さんが71.0% <参考資料 患者調査5参照>

患者調査結果6.生活の改善を考えていない重症喘息患者さんのうち、現在の治療の継続では「これ以上症状は改善されないが現状を維持すると思う」と回答した患者さんは78.9%<参考資料 患者調査6参照>

考察4:新しい治療である生物学的製剤について知らない患者さんが7割

患者調査結果7.新しい治療である生物学的製剤について知らない患者さんが71.0%<参考資料 患者調査7参照>

考察5:一方で、重症喘息患者さんは、今の治療よりも自分の症状コントロールを改善し、副作用が少なく、効きめが早いなどの期待に応える新しい治療があれば挑戦したいという意欲が高い

患者調査結果8.患者さんが新しい治療法に期待することは、現在の治療より症状をコントロールできることが最多の82.0% <参考資料 患者調査8参照>

患者調査結果9.新しい治療法に対する期待を実現する治療法があれば試してみたい患者さんは82.0% <参考資料 患者調査9参照>

[医師調査]
考察
6:重症喘息治療に携わる専門医の9割以上は生物学的製剤の処方経験があった

医師調査結果1.  生物学的製剤の投与経験がある医師は全体で65.0%。専門医では91.0%、非専門医では39.0%と専門医の比率が高い<参考資料 医師調査1参照>

考察7:重症喘息治療に携わる医師は、患者さんが新しい治療に対してよりよい症状コントロールを期待していると考えている

医師調査結果2. 医師が患者さんに喘息の新しい治療法を提案する場合、患者さんは「現在の治療よりも喘息の症状をコントロールできること」を期待しているという回答が突出して多く78.0% <参考資料 医師調査2参照>

考察8:生物学的製剤の処方経験がある医師のうち、生物学的製剤の症状のコントロールや効果の強さ、即効性について同意する医師は約6~8割だが、「とても同意する」医師は約2~3割

医師調査結果 3.生物学的製剤の処方経験のある医師のうち、生物学的製剤は「しっかりと症状がコントロールできる」、「効果が強く、頼りになる」「即効性がある」の項目において、同意すると答えた割合はそれぞれ78.4%/76.2%/58.5%でしたが、「とても同意する」と答えた割合はそれぞれ21.5%/26.2%/16.2%でした。<参考資料 医師調査3参照>

考察9:生物学的製剤の処方経験がある医師の約半数は、経口ステロイド薬処方前の早い段階で生物学的製剤の投与を検討するが、実際は経口ステロイド薬の投与開始後に生物学的製剤を追加投与する

医師調査結果 4.生物学的製剤の投与を検討するタイミングとしては、治療ステップ4で経口ステロイドを使用しない段階かそれ以前の治療ステップ3の段階と回答した医師が45.0%。一方、実際に投与するタイミングは、治療ステップ4の患者さんに経口ステロイド薬を投与しながら生物学的製剤を投与すると答えた医師が50.0%<参考資料 医師調査4参照>

考察10重症喘息治療に携わる医師は、経口ステロイドの長期連用、副作用、依存性や抵抗性を懸念している

医師調査結果 5. 経口ステロイド薬は長期連用しない方が良いと考える医師は90.0%、 続いて「副作用が懸念される」が88.5 %、「ステロイド依存性やステロイド抵抗性が気になる」が82.0 % <参考資料 医師調査5参照>

考察11:医師と患者さんとのコミュニケーションでは、症状や治療についての情報に比べ、日常の困りごとについては十分に共有されていない可能性がある

患者調査結果10.「日常生活の困りごと」について医師に伝えている患者さんは55.0 %喘息の症状について医師に伝えている割合は67.0~77.0%で、「服薬のことなど、治療上の不安や懸念」について伝えている患者さんは59.0 %でしたが、「喘息のために諦めていることなど、日常生活の困りごと」について伝えている患者さんは比較的低く55.0 %<参考資料 患者調査10参照>

医師調査結果6.診察時「日常生活の困りごと」について患者さんに聞いている医師は67.0%診察時「症状/治療や服薬」について患者さんに聞いている医師は75.5~86.5%でしたが、「日常生活の困りごと」については最も低く67.0%でした。<参考資料 医師調査6参照>

医師調査結果7.患者さんとのコミュニケーションが理想通りに行かない理由は「診察時間が限られているから」が最多の71.0%続いて 「患者さんの病識が不十分だから」が27.0 %、「患者さんがあまり話したがらないから」が25.0 %、「患者さんが喘息日記などの記録を取っていないために正確な症状を把握することが困難だから」が22.0 %<参考資料 医師調査7参照>

今回の調査を監修した国際医療福祉大学臨床医学研究センター 教授 足立 満先生は次のようにコメントしています。「今回の調査で、ガイドラインの定義により重症かつコントロール不十分又は不良と判断される喘息患者さんは、現状の治療では、自分の症状が改善されないであろうというあきらめに似た感情があることが推測できます。また、多くの患者さんが生物学的製剤について知りませんでした。一方、重症喘息患者さんの治療に携わる医師は、患者さんが新しい治療に望んでいるのは“よりよい症状コントロール”であることを認識し、専門医の約9割が生物学的製剤の処方経験を有していましたが、半数が経口ステロイド薬の投与後に生物学的製剤投与を開始していることがわかりました。また、患者さんと医師とのコミュニケーションにおいて、患者さんの症状などの話に比べて日常で困っていることについては会話に上がりづらい可能性があることがわかりました。今後、患者さんと医師のより良いコミュニケーションによって、患者さんが自分の症状が抑えられる新しい治療に出会い、喘息症状によるストレスや不安がより少ない生活を送れることを願っています」



詳細は、参考資料PDFをご覧ください。

※1 重症喘息患者さん:
治療ステップ4で高用量吸入ステロイド薬(ICS)に加えて長時間作用性β2刺激薬(LABA)、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)、テオフィリン徐放製剤、経口ステロイド薬(OCS)、生物学的製剤のいずれか複数を常用しており、これら治療のもとでもコントロール不十分または不良の患者さん
※2 専門医: 一般社団法人日本アレルギー学会が認定する「アレルギー専門医」又は一般社団法人日本呼吸器学会が認定する「呼吸器専門医」
※3 非専門医: 上記いずれの専門医認定も持たない方
※4 一般社団法人日本アレルギー学会 喘息ガイドライン専門部会 監修:喘息予防・管理ガイドライン 2015
※5 一ノ瀬正和監修: 重症喘息-定義、評価、治療に関するERS/ATSガイドライン日本語版-, 2014
※6        Price D, Fletcher M, van der Molen T. Asthma control and management in 8,000 European patients: the REcognise Asthma and LInk to Symptoms and Experience (REALISE) survey. NPJ Prim Care Respir Med 2014; 12; 24: 14009.
※7        Peters SP, Ferguson G, Deniz Y, et al. Uncontrolled asthma: a review of the prevalence, disease burden and options for treatment. Respir Med. 2006: 100(7):1139-51.
※8        Adelphi Real World Respiratory Disease Specific Programme. 2012-2014. [Asthma patient data file], Bollington, UK. Unpublished raw data, cited with permission.


 
以上
 
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重症喘息について
日本では約800万人 ※9が喘息に罹患していると推定されています。欧州呼吸器学会(ERS)と米国胸部疾患学会(ATS)の重症喘息に関するガイドラインによると、重症喘息は、高用量吸入ステロイド薬に加えて、その他の長期管理薬(および/または全身性ステロイド薬)による治療を要する喘息、あるいはこうした治療にもかかわらず「コントロール不良」である喘息と定義され、喘息患者さん全体の5~10% ※4,5にあたるとされています。
コントロール不良の重症喘息は死に至ることもある過酷な疾患で、患者さんは頻回な症状増悪や、呼吸機能の低下という身体的な負担のほか、生活の質(QOL)の著しい制限など社会経済的な負担を余儀なくされます ※6,7,8。
重症喘息の治療には、患者さんの背景や臨床的特徴から、好酸球性、好中球性、アレルギー性、慢性気流閉塞、増悪の繰り返し、ステロイド薬に対する非感受性というフェノタイプ(表現型)が治療選択に応用されています。
重症喘息の治療は経口ステロイド依存を引き起こす可能性があり、経口ステロイドの投与は、体重増加、糖尿病、骨粗鬆症、緑内障、不安感、うつ、循環器疾患および免疫抑制を含む短期または長期にわたる重篤な副作用を起こすことがあります ※10,11,12,13,14。

アストラゼネカにおける呼吸器疾患について
呼吸器疾患はアストラゼネカの注力疾患領域のひとつで、製品ポートフォリオは年々成長し、2017年には世界中の1,800万人以上の患者さんに当社製品をお届けしました。アストラゼネカは、吸入配合剤を中心に、特定の疾患治療のアンメットニーズに応える生物学的製剤や、疾患原因を解明する革新的なサイエンスを通じて、喘息およびCOPD治療を向上させることを目指しています。
アストラゼネカは、呼吸器領域における40年の歴史をさらに発展させており、当社の吸入器技術はドライパウダー吸入器(DPI)、加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)、ならびにAerosphere Delivery Technologyなどに及びます。また、当社の生物学的製剤には、現在米国、EU、日本で承認を取得し他国では薬事承認審査中のファセンラ(抗好酸球、抗IL-5受容体ɑ抗体)、および第IIb相試験の主要評価項目と副次評価項目の達成に成功し第III相試験を開始した tezepelumab(抗TSLP抗体)が含まれます。アストラゼネカは、肺上皮組織、肺免疫および肺再生に焦点を当てた、基礎疾患のドライバーを解明する研究を行っています。

アストラゼネカについて
アストラゼネカは、サイエンス志向のグローバルなバイオ・医薬品企業であり、主にオンコロジー、循環器・代謝疾患、呼吸器疾患の3つの重点領域において、医療用医薬品の創薬、開発、製造およびマーケティング・営業活動に従事しています。また、自己免疫疾患、ニューロサイエンスおよび感染症の領域における一部の疾患に関する活動も行っています。当社は、100カ国以上で事業を展開しており、その革新的な医薬品は世界中で多くの患者さんに使用されています。詳細については  https://www.astrazeneca.com/ または、ツイッター @AstraZeneca (英語のみ)をご覧ください。
日本においては、主にオンコロジー、循環器・代謝/消化器疾患、呼吸器疾患を重点領域として患者さんの健康と医療の発展への更なる貢献を果たすべく活動しています。当社については https://www.astrazeneca.co.jp/ をご覧ください。

※9  厚生科学審議会 疾病対策部会 リウマチ・アレルギー対策委員会 報告書, 2011
※10 Global Initiative for Asthma (GINA). Online appendix. Global strategy for asthma management and prevention. Updated 2017. Available from: http://ginasthma.org/2017-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/. Last accessed November 2017
※11 Hyland ME, Whalley B, Jones RC, Masoli M. A qualitative study of the impact of severe asthma and its treatment showing that treatment burden is neglected in existing asthma assessment scales. Qual Life Res. 2015 Mar;24(3):631-9. doi: 10.1007/s11136-014-0801-x. Epub 2014 Sep 9.
※12 Global Initiative for Asthma (GINA). Online appendix. Global strategy for asthma management and prevention. Updated 2017. Available from: http://ginasthma.org/2017-gina-report-global-strategy-for-asthma-management-and-prevention/. Last accessed December 2017.
※13 Iribarren C, Tolstykh IV, Miller MK, et al. Adult asthma and risk of coronary heart disease, cerebrovascular disease, and heart failure: a prospective study of 2 matched cohorts. Am J Epidemiol. 2012;176:1014-1024.
※14Zazzali JL, Broder MS, Omachi TA, Chang E, Sun GH, Raimundo K. Risk of corticosteroid-related adverse events in asthma patients with high oral corticosteroid use. Allergy Asthma Proc. 2015 Jul-Aug;36(4):268-74. doi: 10.2500/aap.2015.36.3863.

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