川崎重工は、人手不足などの問題を抱える介護施設への適切な介護機器やロボットの導入をサポートする介護業務支援サービス事業(以下、本事業)に参入します。本事業では、一般社団法人 日本ノーリフト協会と協同し、介護施設や介護機器メーカーにおける現場の課題やニーズを把握し、それらをサポートする介護機器やロボットの推薦を行います。また、新たな機器開発や現場への導入・活用・定着までを支援します。
現在、神戸市介護テクノロジー導入促進プロジェクトに参画し、特別養護老人ホーム「六甲の館」(運営:社会福祉法人弘陵福祉会)および介護付有料老人ホーム「ディアージュ神戸」(運営:JR西日本プロパティーズ株式会社)で、実証試験を実施しています。
【介護業務支援サービス事業の特長】
1.介護機器の導入判断に必要なデータの収集および効果の見える化
本事業では、当社技術ノウハウによる行動計測と日本ノーリフト協会が有する介護の知見やノウハウをかけあわせ、介護現場の課題特定を行い、課題にマッチした介護機器の選定を容易にします。あわせて、機器を導入した場合の改善効果も科学的エビデンスによるデータで提供することにより、介護施設における機器導入の判断をサポートします。さらに、機器導入後も行動計測を継続し、機器の定着評価を行うことで、導入から定着までシームレスなサポートを行います。
2.施設入居者のプライバシー保護と介護スタッフの負担を抑えた行動計測・課題特定
介護スタッフの行動計測には、当社が提供する屋内位置情報サービス「mapxus Driven by Kawasaki™※1」を活用します。このサービスは、既存のW-Fi環境で得られる位置情報のみを用いるものであり、画像など個人を特定できるデータの収集を行うことなく、サービスを受ける施設入居者のプライバシーを保つことができます。さらに、介護スタッフが現場での作業の都度手動で記録したり、個別ヒアリングを実施したりといった手間を無くし、効率的に介護業務の「見える化」および「課題把握」を行うことが可能です。
3.現場の課題に即したコミュニティの形成と新たな介護機器の開発支援
介護施設で計測したデータは、介護施設だけでなく、本事業に参加し機器提案などを行う介護機器メーカーにも共有されます。このため、本事業に参加する介護施設や介護機器メーカーのコミュニティ形成が促進され、介護機器メーカーが現場の課題を十分に理解することで、ニーズに合った介護機器の開発につながり、介護業界が抱える社会課題の解決に貢献します。介護スタッフの行動計測データや介護機器の定量評価は、「カワサキデジタルプラットフォーム※2」でデータの管理運用を行う計画です。
屋内位置情報サービス「mapxus Driven by Kawasaki™※1」を活用した介護行動計測(イメージ)
介護業務の「見える化」および「課題把握」データ(例)
日本は、世界に類を見ない超高齢社会を迎えており、厚生労働省によると2040年までに介護人材は約69万人不足するとされています。そのなかでも「介護現場の生産性」と「介護の質」の両立を維持、向上させる取組みが求められており、介護事業者を取り巻く経営環境は厳しさを増しています。また、介護事業者のみならず、仕事をしながら家族を介護する「ビジネスケアラー」の負担増加、労働生産性の低下などの社会課題も深刻化しています。
当社は、介護業界が抱える介護人材不足という課題に対して、介護業務支援サービスを提供し、その解決を目指します。これにより、要介護者の尊厳を守りながら介護業界におけるサステナビリティを実現させ、ひいては、高齢者、介護施設職員、その家族など、介護に関わるすべての方々をケアする社会の実現に貢献していきます。
※1 「mapxus Driven by Kawasaki™」:Wi-Fi電波環境を活用した「屋内」での位置情報とGPSなどで取得する「屋外」の位置情報と地図情報を併せて屋内外空間でシームレスな位置情報を提供するサービス
https://www.khi.co.jp/groupvision2030/mapxus.html
※2 「カワサキデジタルプラットフォーム」:マイクロソフトが提供するAzureをベースとして、ユーザ管理・データ管理などの機能を有したクラウド基盤システム
以 上