繊維・アパレル業界で長年の課題であった、捺染時の水質汚染や在庫過多による生地や衣類の大量廃棄問題などの解決に貢献する、水の使用量を限りなくゼロに近づけたインクジェット捺染プリンター「FOREARTH」のコンセプトに森永 邦彦氏に共感いただき、コラボレーションが実現しました。
2.デザイナー森永 邦彦氏について
森永 邦彦氏は、革新的なファッションとテクノロジーの融合で知られるデザイナーです。森永氏の独自の視点と創造性は世界中で注目を集めています。2003年にファッションは日常を変える装置と捉え活動するブランド「ANREALAGE」を設立しました。2014年にパリ・ファッションウィークでデビューされ、2019年にはモエヘネシー・ルイ ヴィトンが創設した「LVMH PRIZE」で、世界1,700人のデザイナーの中からファイナリスト8人に選出。2021年にはドバイ万博日本館の公式ユニフォームを担当し、2023年にはビヨンセのワールドツアーの衣装を手掛けるなど、従来のアパレルビジネスの領域を超えた表現力は業界に驚きやインパクトを与え続けています。
■森永 邦彦氏からのコメント
今回のコレクションのテーマはオブジェクトです。人間ではなく、無生物にとっての洋服のあり方というものを追求しました。ショーの舞台設定は百年後の世界、22世紀となります。その時にどういう服があって、どういうファッションショーが行われているかということを表現しました。FOREARTHのコンセプトである水を削減するということ、それを洋服の形で表現しようとしました。表現しようとしたものは一滴の水滴のようなドレスになります。通常は人間の体に対して洋服を作りますが、完全な球体形を人の体として捉えて、球体を包み込むようなフリルに溢れたドレスを作りました。このドレス自体は球体が着ている時はオブジェクトの水滴のようなものに見えますが、これはその球体から剥がすと人が着れるドレスに変わります。これまで服作りを続けてくる中で、プリントにたくさんの水を使うことを当たり前のように行ってきました。水を使ってその発色であったり、鮮やかな色彩であったり、テキスタイルの風合いというものが保たれると思っていましたが、今回、FOREARTHで印刷した生地では、水をほとんど使わなくてもとても繊細で鮮やかな表現ができていることと、テキスタイルの風合い自体が全く損なわれずに、しなやかなままで残っているというところに非常に感動しました。ファッションが進化していくために、またクリエーションが進化していくためには、新しいテクノロジーが必要だと思っています。FOREARTHによって今まで表現できなかったことも表現できるようになりますし、それがこれからの未来、22世紀につながっていくということがとても自らのものづくりにとって大事なこととなりました。
3.インクジェット捺染プリンター「FOREARTH」の特長
1)Water Free Concept
水の使用量を限りなくゼロ※まで削減した生地印刷
2)Creative Free
独自開発の顔料インクで柔らかな風合いと、高い堅牢性を両立。フルカラー印刷を多種多様な生地で実現
3)Location Free
水資源に依存しない捺染で、設置場所を選ばず、適地・適量生産により、物流コストや在庫の削減に貢献
「FOREARTH」は、生地の印刷時に水の使用量をほぼゼロにまで減らすことができるため、従来の捺染に必要な大型の前後処理機やスチーマーなどの設備機器が不要になります。そのため、エネルギー消費量とCO2排出量を大幅に削減することにも寄与します。
さらに、繊維・アパレル業界で重要な生地の風合いを生かした柔らかい手触りを実現し、綿、シルク、ポリエステル、ナイロン、混紡など多種多様な生地への高精細な印刷が可能です。
※FOREARTHは、プリント・乾燥のみで全工程が完了します。プリント工程では水を使用せず、ウォーターフリーを実現しました。また、機器のメンテナンスに使用する水の量にもこだわり、循環ベルト洗浄システムを搭載しており、搬送ベルトの洗浄水を循環システムでフィルタリングしながら再利用します。生地1㎏あたりの水使用量を0.02L(当社調べ 2022年)まで削減しました。
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