□代表取締役社長 日髙 祥博コメント
「2023年12月期の連結業績は、過去最高の売上高・営業利益を達成することができました。先進国を中心にアウトドアレジャー需要が落ち着く中、主力製品である二輪車と大型船外機の需要は堅調に推移しました。また、コスト増加に対しての価格転嫁や円安により、増収・増益となりました。
2024年の業績予想(IFRS)は、売上収益2兆6,000億円、営業利益2,600億円(営業利益率10.0%)で、過去最高を更新する計画です。二輪車事業は新興国のプレミアムモデル供給が改善し、マリン事業では大型船外機の新モデル発売と、アジアの堅調な需要が下支えとなる見込みです。ロボティクス事業は下期の需要回復を取り込みます。これにより、2022年~2024年3カ年の中期経営計画の財務目標値を達成する見通しです。
長期ビジョン「ART for Human Possibilities~人はもっと幸せになれる~」の実現に向けて、スピードを上げて変革にチャレンジすることで、全てのステークホルダーの皆さまの期待に応え、感動をお届けできるように取り組んでまいります。」
□連結業績について
当連結会計年度の売上高は2兆4,148億円(前期比1,663億円・7.4%増加)、営業利益は2,507億円(同258億円・11.5%増加)、経常利益は2,420億円(同27億円・1.1%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,641億円(同103億円・5.9%減少)となり、過去最高の売上高、営業利益を達成しました。
なお、当連結会計年度の為替換算レートは、米ドル141円(前期比9円の円安)、ユーロ152円(同14円の円安)でした。
売上高は、二輪車や大型船外機の堅調な需要に加え、サプライチェーンの平常化と物流・生産課題などの改善により供給量が増加したことで、増収となりました。営業利益は、販売台数の増加に加え、原材料などコスト高騰に対する価格転嫁の効果拡大、円安によるプラスの効果もあり、増益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、金利スワップ評価損や為替差損益、投資有価証券評価損および前年の投資有価証券売却益などの影響を受け、減益となりました。
□セグメント別の業績について
【ランドモビリティ】
売上高1兆5,818億円(前期比1,136億円・7.7%増加)、営業利益1,243億円(同369億円・42.3%増加)となりました。
二輪車事業では、欧米において需要が堅調に推移しました。新興国では景気低迷が続くベトナムと中国を除き、アジアを中心に多くの国で需要が増加しました。当社の売上高は、欧米ならびにインドネシア、インド、ブラジルといった新興国で販売台数が増加したことにより、増収となりました。営業利益は、販売台数増加を主因に、価格転嫁や円安によるプラス効果もあり、増益となりました。
RV事業(四輪バギー、レクリエーショナル・オフハイウェイ・ビークル、スノーモビル)では、アウトドアレジャーブーム後に需要が減速する中、当社の出荷も減少しました。一方、前年課題が発生していた米国工場の生産効率が改善したことに加え、円安によるプラス効果もあり、増収・増益となりました。
SPV事業(電動アシスト自転車、e-Kit、電動車いす)では、メイン市場である欧州において在庫調整局面が継続しています。当社も引き続き生産調整を実施しましたが、依然として市場在庫は高い水準で推移しており、解消には時間が掛かる見通しです。売上高・営業利益は、電動アシスト自転車とe-Kitの販売台数が減少したことにより、減収・減益となりました。
【マリン】
売上高5,475億円(前期比305億円・5.9%増加)、営業利益1,137億円(同45億円・4.1%増加)となりました。
米国では大型船外機の需要は堅調に推移しましたが、中小型の船外機の需要は減少しました。一方、欧州では、景気後退懸念により船外機の需要が減少しました。また、中国および東南アジアでは漁業や観光への需要が増加、中南米では漁業への安定した需要が継続しました。当社の販売台数は、新興国で増加、先進国で減少したことにより、船外機全体では減少しました。ウォータービークルは、需要が好調に推移する中、当社の販売台数も増加しました。円安によるプラス効果も加わり、マリン事業全体で増収・増益となりました。
【ロボティクス】
売上高1,014億円(前期比145億円・12.5%減少)、営業利益9億円(同110億円・92.7%減少)となりました。
サーフェスマウンターは、車載・産業機器向けの需要が堅調に推移しましたが、中国経済の低迷が続く中、スマートフォンやパソコンなどの民生機器向け需要は低調に推移し、当社の販売は中国、台湾を中心に減少しました。また、産業用ロボットは日本と韓国でEV電池への投資需要が高まりましたが、中国での販売減少の影響を大きく受けました。一方で、半導体製造装置は生成AI向けの需要が高まり、受注が拡大しました。この結果、ロボティクス事業全体では減収・減益となりました。
【金融サービス】
売上高865億円(前期比243億円・39.1%増加)、営業利益153億円(同22億円・12.6%減少)となりました。
販売台数の増加に伴い販売金融債権が増加するとともに、調達金利の顧客転嫁を進めた結果、増収となりました。一方、資金調達コストの増加、債権増加に伴う貸倒引当費用の増加、ブラジルでの金利スワップ評価損の発生などにより、減益となりました。
【その他】
売上高976億円(前期比124億円・14.6%増加)、営業損失36億円(前期:営業損失12億円)となりました。
米国工場の生産効率改善によりゴルフカーの販売台数が増加し、増収となりましたが、その他セグメント全体では固定費の増加などにより、減益となりました。
□次期連結業績の見通しについて
2024年の業績は、中期経営計画の各種指標を達成する見通しです。新興国の需要はインドネシア、インド、ブラジルがけん引、先進国では米国の高所得者層の消費が堅調に推移すると予想しています。また、海上運賃は減少する見通しです。
リスクとしては、人件費や部品代などのコストの上昇、紅海の物流混乱や為替変動などが挙げられます。また、能登半島地震によるサプライチェーンへの影響については、代替部品の調達などで対応していきます。
連結業績予想については以下のとおりとします。なお、当社は2024年12月期から国際財務報告基準(IFRS)を任意適用します。このため、2024年12月期の連結業績予想はIFRSに基づいて作成し、日本会計基準に基づく2023年度の業績と単純比較しています。
為替レートについては、米ドル140円(当期比1円の円高)、ユーロ150円(同2円の円高)を前提としています。
□利益配分に関する基本方針および当期・次期の配当
当社は、株主の皆様の利益向上を重要な経営課題と位置付け、企業価値の向上に努めています。
当社は、中間配当と期末配当を行うことを基本としており、配当の決定機関は、中間配当については取締役会、期末配当については株主総会としています。中間配当は6月30日、期末配当は12月31日を配当の基準日として定款に定めています。
当期の期末配当は、1株につき72.5円の実施を2024年3月21日開催予定の第89期定時株主総会に上程する予定です。これにより、中間配当金(1株につき72.5円)を加えた年間配当金は145円となります。
また、2022年に発表した中期経営計画で示したとおり、新しい株主還元方針のもと、業績の見通しや将来の成長に向けた投資を勘案しつつ、安定的かつ継続的な配当を行います。引き続き、キャッシュ・フローの規模に応じて機動的な株主還元を実施し、総還元性向は中期経営計画期間累計で40%を目安とします。
当社は2024年1月1日を効力発生日として、普通株式1株につき3株の割合で株式分割を行いました。これにより、次期の配当金は年間50円(中間25円、期末25円)となります。加えて200億円の自己株式の取得を予定しています。