SAS、「ハッカソン2023」の受賞者を発表

洪水予測、災害対応の改善から、敗血症の発見、カーボン・フットプリントの削減まで、
さまざまな社会課題へのチャレンジを評価

AIとアナリティクスのリーディング・カンパニーであるSAS Institute Inc.(以下、SAS)は、地域、業界、テクノロジー、専門分野にわたる23部門の「SASハッカソン(https://www.sas.com/sas/events/hackathon.html)2023」の受賞者を発表しました。受賞者は、ハッカソンに参加した世界各地の企業、大学、政府、およびSASパートナーから選ばれました。

SASは毎年「ハッカソン」を開催しています。今年は、テクノロジー大手でSASのパートナーでもあるIntelからも協力を得ています。

ハッカソンには、数百人のチャレンジ精神旺盛な人々が参加し、1か月間にわたってデジタル技術を駆使し、さまざまな業界のチームが、ビジネスや人道上の問題を解決するために、いかにテクノロジーを応用できるかを競います。

今年は、世界75か国の1,400人以上から参加申し込みがあり、最終的に140の組織から100チーム以上が参加しました。これらのチームには、ビジネスアナリスト、マーケター、業界の専門家、学生だけでなく、熟練したデータサイエンティストやデータ分析の専門家も参加しました。

SASのメンターの協力のもと、各チームはSASのクラウドネイティブの超並列AI・アナリティクスプラットフォームである SAS®Viya®(https://www.sas.com/ja_jp/software/viya.html)や、その他のSASソフトウェア、パートナーテクノロジー、オープンソースツール、およびSASクラウドプラットフォームを使用しました。

SASのグローバルハッカソンプログラムマネージャーであるピーター・ルンドクヴィスト(Peter Lundqvist)は、次のように述べています。「SASハッカソンは、好奇心あふれる人々が互いに競い合い、イノベーションを生み出す場となっています。クラウドのAIは、人々の生活を改善するためのより優れた意思決定を、データから迅速に導き出す力を持っています。ハッカソンの参加チームとそれぞれの所属組織には、その力を活用してもらいました」

総合優勝は誰の手に?
SASは、部門別の受賞者を発表しましたが、「SASハッカソン2023」の総合優勝者の発表は、SASのAI・アナリティクステクノロジーカンファレンス「SAS Explore」において行う予定です。同カンファレンスは、2023年9月11日から14日に、米国ラスベガスで開催されます。
SAS Exploreへの参加申し込みはこちらから。(https://explore.sas.com/event/33f11b50-88c8-4525-ad70-86a5b527d441/websitePage:3169d95a-1f77-45e2-93fd-968feb1a813

気候変動によって引き起こされる洪水の予測と防止対策
インドネシアの首都ジャカルタは1,100万人の人口を擁し、同国経済の中心地です。13本の主要河川が州内を流れ、さらに土地の40%が海面より海抜が低いため、ジャカルタは古くから洪水に悩まされてきました。そして事態は、気候変動によりさらに悪化しています。

そこでジャカルタ州政府は、SASハッカソンでこの問題の解決策を求めました。チームJaWaRA(ジャカルタ水資源分析チーム)には、政府のデータサイエンティストやエンジニアと共に、StarCore Analyticsの関係者が参加しました。同チームは、SASのAI、機械学習、IoT分析を用いて、降水量、水位、河川流量のリアルタイムデータを分析し、洪水の予測と防止策の向上に取り組みました。

JaWaRAの成果は、早期警報システムとして市全域をカバーする大規模な洪水管理システムに統合されました。このシステムには、SAS ViyaとSAS®Analytics for IoT(https://www.sas.com/ja_jp/software/analytics-iot.html)が活用されています。

気候変動により、世界中の都市や地域で洪水のリスク、頻度、深刻さが高まっています。このような脅威の高まりに対応するため、政府や企業は洪水をより的確に予測、管理、軽減するための対策を講じています。これらの取り組みは、人命救助、財産保護、商業の支援に繋がります。ジャカルタやその他の地域では、AIや機械学習、IoT分析といったテクノロジーが役立っています。

「SASハッカソン2023」において、チームJaWaRAは「アジア太平洋」(地域)、「公共部門」(業界)、「機械学習」(テクノロジー)の3部門で優秀賞に選出されました。3部門で受賞したのは、チームJaWaRA以外では、電力会社と消費者向けのエネルギー予測ソリューションで受賞したInsight-O-Meters、1チームだけでした。

SASのグローバルハッカソンプログラムリードであるエイナル・ハルヴォルセン(Einar Halvorsen)は、次のように述べています。「今年のハッカソンでは、チームJaWaRAのような素晴らしい取り組みが目立ちました。SASハッカソンは、人々が力を合わせて変化を起こすことを目指す場です。JaWaRAは3部門で優勝しましたが、広い意味では、すべてのチームと参加者が受賞に値し、またそれぞれが自分達の組織やコミュニティに貢献し続けるための知識、経験、人脈を手に入れたと言っていいでしょう。ハッカソンは単なる競技会をはるかに超えた存在です」

「SASハッカソン2023」の受賞者
受賞者は、100人以上の専門家からなる審査員によって選ばれ、審査は地域、業種、テクノロジー、専門分野別に行われました。受賞者のプロフィールとプロジェクトのビデオは、SASハッカソンのページ(https://communities.sas.com/t5/SAS-Hacker-s-Hub/gh-p/hackathon)にて、受賞チーム名で検索して参照ください。

地域別受賞者
・アメリカ大陸–強制労働の廃止
[米国]:現在、2,760万人もの人々が強制労働に従事させられていると推定されます。これは人権問題だけでなく、ビジネスにも影響を及ぼす問題となっています。顧客、投資家、従業員は、組織の倫理的規範をますます重視するようになっています。そして企業側も、サプライチェーンから強制労働を排除するために、可視性を向上させたいと考えています。非営利団体のHope for Justice、ネバダ大学ラスベガス校、ビンガムトン大学、ドレクセル大学のメンバーからなるこのチームは、SAS Viyaなどのツールを利用して、国、業界、商品別に強制労働の調査ができるビジュアルダッシュボードを開発しました。多くのソースから収集したデータを活用することができるこのダッシュボードにより、強制労働という可視化されていない犯罪がサプライチェーン上で発生している可能性のある商品を予測できます。
・アジア太平洋–JaWaRA [インドネシア]:ジャカルタ州政府とStarCore Analyticsの関係者からなるこのチームは、集中型・統合型の洪水制御システムを開発しました。詳細については上記を参照してください。
・EMEA–EPAM & Linktera4Good[トルコ]:2月にトルコを襲った大地震のような災害が発生したとき、政府、救助部隊、非政府団体は、混乱のさなかに迅速かつ信頼できる情報を入手する必要があります。EPAMとLinkteraのメンバーからなるこのチームは、リソースを効果的に配分し、最も影響を受けやすい人々を支援するための意思決定プロセスを合理化するモデルを開発しました。このソリューションは、SAS Viyaとオープンソースツールを採用し、ソーシャルメディアのデータと検証可能な衛星画像を組み合わせることで、災害対策従事者向けにリアルタイムで検証された情報を生成します。これにより、災害という一刻を争う状況下で、倒壊した建物や通行止めになっている道路の位置など、現地の状況を明確に把握できるようになります。

グローバルな業界別の受賞者
・金融–Santander [米国]:Santander Bankのチームは、銀行口座の取引と連動したオンラインのカーボン・フットプリント追跡ツールを構築しました。このチームは、SAS Viyaとその機械学習機能を利用して、取引の加盟店カテゴリーコードをS&P GlobalのESG(環境・社会・ガバナンス)スコアやその他の調査と紐づけるモデルを作成しました。この追跡ツールを利用すれることで、消費者は購入した商品に関わるCO2排出への影響をリアルタイムで確認したうえで、意思決定を行うことができ、さらに温室効果ガスを削減する方法についての提案を受けることができます。
・エネルギー–The Insight-O-Meters [米国&アジア太平洋]:世界はより多くの電力を必要としており、電力需要は拡大を続けています。NECのメンバーからなるこのチームは、電力会社や消費者に向けて、電力会社のプロセスを改善し、利用状況を把握することで、顧客への情報提供に役立てるためのソリューションを構築しました。スマートメーターのデータやエネルギー予測などを利用したこの多角的なソリューションは、持続可能性を高めつつ、信頼性の高い電力供給を支援します。
・ヘルスケア&ライフサイエンス–AIが生成したヘルスケアに関する合成データ[オランダ]:スタートアップ企業のSynthoのメンバーからなるこのチームは、大病院でのがん研究に役立てるために、病状の悪化と死亡の可能性について、より正確に予測したいと考えていました。実際の健康データは非常に私的なものであり、アクセスすることは容易ではないため、Synthoは合成データを生成しました。これらは、AIの活用により、実際のデータを模倣するという、まったく新しいデータの人工的合成プロセスです。SAS Viyaにより、これらの合成データが実データと遜色なく、モデルの開発に適用可能であることを検証した上で、がん研究に関連する予測を行うための分析を行いました。
・保険–StaSASticians[米国]:イリノイ工科大学とノースウエスタン大学の学生が主導するこのチームは、人々が自分の目標や価値観に合わせて金融投資を行えるようにすることを目指しました。このチームは、SAS Viyaとオープンソースツールを利用して、投資を考える一般人がより良い情報を得られるように、ESG要素について調べるダッシュボードを開発しました。ESG評価は、より持続可能で責任ある投資を行う一方で、長期にわたって高いパフォーマンスを維持することを目標としています。
・製造 - TeamNotilyze [オランダ]:オランダは世界有数のチーズの産地です。チーズ生産のプロセスを最適化できれば、生産量の向上、品質の維持、廃棄物の削減が可能になります。SASのパートナーであるNotilyzeのメンバーによるこのチームは、オランダのチーズ工場のデータを分析し、SAS Viyaを利用することで、チーズ生産プロセスのすべての構成要素を調査するダッシュボードを設計しました。そして、これらをベースに生産量を予測するモデルを構築し、生産過程の調整を提案するAPIを開発しました。
・公共利益–JaWaRA [インドネシア]:上記の説明を参照ください。
・小売 –Fair Factories Clearinghouse[米国]:このチームは、衣料品や繊維製品ブランドの工場監査を行う非営利団体Fair Factories Clearinghouseのメンバーで構成されます。このチームは、企業がESGの高リスク分野を調査し、リスク軽減の優先順位を決定するために役立つ、標準化されたソリューションを開発しました。ハッカソンでは、強制労働と環境規制違反にフォーカスしていましたが、チームがSASを使って開発したアルゴリズムは、ESGのすべての分野で活用することができます。
・通信&ニューメディア–ML Jokers 2.2[セルビア]:Telekom Srbijaのメンバーからなるこのチームは、オフィス空間の有効活用に焦点を当てました。このチームの「Intelligence for Workspace」プロジェクトは、さまざまなオフィスに設置されたIoT機器から、温度、湿度、二酸化炭素、揮発性有機化合物などのデータを収集・分析しました。SAS Viyaを活用することで、チームはエネルギー消費を最適化しつつ、より快適で健康的な職場環境を従業員に提供できることが確認されました。

グローバルテクノロジー分野別の受賞者
・コンピュータービジョン–Critical Thinking Crew [日本]:伊藤忠テクノソリューションズのメンバーからなる本チームは、モバイルアプリとWebカメラを使って、ユーザーの姿勢や心拍数を監視・評価するサービスを開発しました。異常が発生したとき、事前に設定した家族や友人に通知が送信されるようになっています。このアプリは、SAS ViyaとSAS®Cloudの機能を利用したセルフモニタリングアプリです。このアプリの活用により、孤独死を防止することを目標としています。
・アプリファクトリークラウド–The Insight-O-Meters[米国&アジア太平洋]:上記の説明を参照ください。
・予測–algoWatt[イタリア&米国]:このチームは、algoWatt SpA、ジェノバ大学、オークランド大学のメンバーで構成されています。チームは、再生可能エネルギーコミュニティの計画、設計、運用のための意思決定支援ツールの開発に焦点を当てました。
・インテリジェントな意思決定 - Linktera4Insurance [トルコ]:Linkteraは、地震やハリケーンなどの災害発生時にただちに警告を発することで、保険業界の顧客がすぐに対応できるようにしたいと考えています。同チームの災害リスク通知製品(CARNOS)は、SAS ViyaとSAS®Intelligent Decisioningを利用して、ソーシャルメディアなどを発信源とするニュースを分析します。それに加えて、詳細情報(場所や被害状況など)をまとめたビジュアルレポートとアラートで、保険業界の顧客に通知します。この情報を受け取った保険会社は、影響を受ける可能性のある契約者の数などを迅速に判断することができます。
・IoT–REDE[カザフスタン]:Rede Management Consultingのメンバーからなるこのチームは、製造業や鉱業における設備利用の最適化に役立つデジタルツインを開発しました。ハッカソンでは、金の採掘を例に、調査を行いました。実際のセンサーデータの入力には、SAS®Event Stream Processingを使用しました。このソリューションには、エネルギーコストと排出量を削減しながら生産性を最大化するために、オペレーターが機器を調整することを支援するレコメンデーションシステムが含まれています。
・機械学習–JaWaRA [インドネシア]:上記の説明を参照ください。
・自然言語処理 –EPAM & Linktera4Good [トルコ]:上記の説明を参照ください。
・可視化 - Butterflies [英国]:Butterfly Dataのチームは、SAS ViyaをはじめとするSASテクノロジーを利用して、グリーンエネルギー適性評価ツールを開発しました。このツールは、位置情報や、家の方角、天候などのデータを用いて、ユーザーが検討すべきグリーンエネルギーの種類を提案します。

グローバル特別賞
・チャネルへの展開–Fair Factories Clearinghouse[米国]:上記の説明を参照ください。
 学生・若手人材– (⌐■_■) (サングラス) [ポーランド]:ポーランドのNarodowy Instytut Onkologii(国立腫瘍研究所)の学生達からなるこのチームは、ソーシャルメディアのコンテンツを評価し、ボディシェイミング(他人の体形をけなすこと)のような悪意を持った書込みや言動を検出する機械学習モデルを構築しました。
・サステナビリティ–The Insight-O-Meters [米国&アジア太平洋]:上記の説明を参照ください。

・信頼できるAI–IN STEPIN STEP(savINg liveS fightTing nEonatal sePsis) [ポルトガル]:Centro Hospitalar de Lisboa Ocidental(西リスボン病院センター)のメンバーからなるこのチームは、特に早産児にとって生命に関わる感染症の合併症である新生児敗血症の早期の診断と治療に役立つモデルを開発しました。このモデルは、多くの患者の症例データを統合・分析して作成されており、敗血症を正確に予測することで、医療チームが治療により多くの時間を割けるようにしました。

*2023年6月1日に米国SAS Institute Inc.より発表されたプレスリリース(https://www.sas.com/en_us/news/press-releases/2023/june/hackathon-winners-2023.html)の抄訳です。
本原稿はSAS本社プレスリリースの原稿を抄訳したものです。本記事の正式言語は英語であり、その内容および解釈については英語を優先します。

SASについて
SASは、アナリティクスのリーディング・カンパニーです。SASは、革新的なソフトウェアとサービスを通じて、世界中の顧客に対し、データをインテリジェンスに変換するためのパワーとインスピレーションを届けています。SASは「The Power to Know®(知る力)」をお届けします。
*SASとその他の製品は米国とその他の国における米国SAS Institute Inc.の商標または登録商標です。その他の会社名ならびに製品名は、各社の商標または登録商標です。

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この企業の情報

組織名
SAS Institute Japan株式会社
ホームページ
http://www.sas.com/jp
代表者
手島 主税
資本金
10,000 万円
上場
非上場
所在地
〒106-6111 東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー 11F
連絡先
03-6434-3000

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