シュローダー(本社:英国 ロンドン)は、人的資本の価値を評価するための新たなフレームワークを発表しました。このフレームワークには、企業の収益や生産性に人的資本管理がどの程度貢献するか、投資家が理解を深めるため、定性的手法と併せて使用できる、定量的会計指標が含まれます。
オックスフォード大学サイード・ビジネス・スクールのOxford Rethinking Performance Initiativeとカリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)の学術的支援を受けて行われた今回の分析では、人的資本が企業の生産性と収益性を向上させる明確な原動力であり、変化に強い経営体制を持つ企業が投資家に対してより強固なリターンと価値を生み出すことが確認されています。
シュローダー サステナブル・リサーチ・ヘッド アンガス・バウアーのコメント:
「このリサーチは、投資先企業を評価する際、人的資本管理は無視できない要素であることを示しています。景気動向が変化する中でも、優れた人的資本管理を行う企業は、効果的に変化を乗り越え成長を続ける可能性が高いというのが、私たちが分析を行った結果です。業種を超えて人工知能の活用が広がっても、価値を創造するための管理者としての人間の重要性は引き続き高いと考えられます。」
シュローダー サステナビリティ・ストラテジー・APACヘッド マーヴィン・タンのコメント:
「人材は企業にとって重要な資産です。そして、その価値は、優れた人的資本管理を通じて引き出され、さらには研修や能力開発を通じて高めることができます。シュローダーでは、人的資本を評価することで、投資先企業の価値をより深く理解することができると考えています。このフレームワークを活用することで、私たちは投資対象企業をより深く理解することができます。運用チームは、先進的な人的資本管理を行う企業と遅れをとっている企業を見極め、十分な情報に基づいた投資先の決定やエンゲージメントに関する意思決定を行うことができます。」
リサーチから得られた主な知見は以下の通りです。
- 優れた人的資本管理の成果を定義し、測定することができます。また、現在、人的資本に注目すべき構造的・循環的な理由があります。
- 人的資本投資収益率は、さまざまな要因を調整した後でも、複数の期間、大半の業種において、将来の超過収益(関連するベンチマークや市場指数を上回る収益)と正の相関関係があります。
- 人的資本管理がバランスシートや収益に影響を与える経路は複数あると考えられます。
- とはいえ、人的資本の客観的な尺度に焦点をあてすぎることにはリスクが伴います。人的資本分析では、定性評価と定量評価を組み合わせる必要があります。優れた人的資本管理を特定するためのKPI(重要業績評価指標)があれば、変化の推進要因を検討し、人的資本の生産性を最適化する方法を示すことができます。
当リサーチの詳細はこちらをご覧ください。(
https://mybrand.schroders.com/m/3736952b248d16af/original/Human-Capital-Management-Research-Summary-FINAL-10_07_23.pdf)
このフレームワークは、企業とのエンゲージメントの優先順位とアプローチをまとめたシュローダーのエンゲージメント・ブループリントに追加されます。
以上
シュローダーについて
シュローダーは、1804年創業、運用資産額で欧州最大級(約117兆円*)の独立系資産運用グループです。世界38拠点6,000名以上の従業員が連携して資産運用業を行っています。ロンドン証券取引所に上場する一方、引き続き創業家が中核株主として議決権付き株式の約半数を保有し、長期的視点で資産運用業に取り組んでいます。
*2022年12月31日現在7,375億英ポンド、1英ポンド=158.71円換算
日本とのかかわりは古く、1870年(明治3年)、日本初の鉄道敷設のために日本政府が初めて発行した国債の主幹事を、シュローダーが務めたことにさかのぼります。1974年には東京事務所を開設し、日本における事業の本格的な第一歩を踏み出しました。幅広い資産運用サービスを提供する現在も日本株式運用を事業の中核の一つに据え、約150年前と同様、日本の未来への投資を通じて歴史を紡いでいます。