玉川大学観光学部・教育学部(東京都町田市/学長:小原芳明)は、2022年9月26日(月)~12月5日(月)の間で募集した第2回「高校生まちづくりコンテスト」の決勝大会を2023年2月12日(日)、玉川大学キャンパス内で行いました。厳正な審査の結果、全国からエントリーした177チームのうち、以下のチームが入賞しましたので、ご報告いたします。
<観光庁長官賞> 優勝 群馬県立大間々高等学校(群馬県みどり市) 鈴木大晴さん、今泉心優さん
・テーマ:みどりみらいツーリズム―地域資源を生かしたサステナブルな旅行サブスクモデル-
<玉川大学学長賞> 準優勝 Crimson Global Academy(ニュージーランド) 礒津恵凛さん
・テーマ:新しい移動の選択肢WEBUSで地域を活性化させる
<審査員特別賞> 第3位 福井工業高等専門学校(福井県鯖江市) 大澤愛翔さん、高間海友さん
・テーマ:MRで廃校復活大作戦!!
上位3チームの発表概要は後述します。
<玉川大学観光学部長賞> 専修大学松戸高等学校(千葉県松戸市) 大野遊太さん
・テーマ:ラーメンで共生するまちづくり―豊島区を永続可能性都市へ―
<玉川大学教育学部長賞> 南光学園東北高等学校(宮城県仙台市) 盛合彩心さん、森貴洋さん、小林蒼空さん、伊藤葵さん
・テーマ:互いの文化とレベルアップ
<審査員長・元・観光庁長官の田端浩氏(三井住友銀行 顧問・本学客員教授)全体講評>
各チームの発表と提案内容は甲乙つけがたい立派なものでした。自分たちの町の良さ、その価値というものを見つめ直して、それをどのように内外に発信をしていくかということまで考え抜かれた皆さんの発表が、まちづくりや観光と産業の再評価に繋がっていくのだと思いました。地元のことをよく知っていて、地元が抱える課題について普段から問題意識を持っている若い皆さん方が、このコンテストで解決方法を提案することによって地域が変わっていくのではないかと期待しています。
<上位3チームの発表概要>
●群馬県立大間々高等学校 鈴木大晴さん、今泉心優さん
・みどりみらいツーリズム―地域資源を生かしたサステナブルな旅行サブスクモデル-
【発表概要】
2006年に合併した群馬県みどり市は深刻な過疎化が進行しており、地域のさらなる衰退、観光鉄道というだけではなく、地元の足でもあるわたらせ渓谷鐵道の存続危機、観光資源は豊富だが認知度が低いという課題を抱えています。それらを解決するために、四季折々の絶景美があふれるわたらせ渓谷鐵道と昔ながらの人情味あふれる大間々町を散策できる小旅行を手軽に継続的に行う小旅行サブスクモデル「わてツーリズム」を考えました。これにより、地域、観光事業者、訪問者の「三方よし」が実現するはずです。
さらに検討を重ねる中で、桜や紅葉の時期といったハイシーズン以外の楽しみ方を提案する必要性に気づきました。そこで、旅行者へのインタビュー調査の結果から、「わてツーリズム」を発展させ、今ある自然や食、人々の生活の営みを感じてもらう旅「みどりみらいツーリズム」を企画。私たち自身が起業してこのプランを販売することにしました。
資金はクラウドファンディングとふるさと納税を利用して調達します。収支の試算やマーケティングプランの作成、全校生徒でのシミュレーションを重ね、「みどりみらいツーリズム」をみどり市長に提案したところ、是非実現して欲しいと仰っていただきました。私たちの大好きな町のために、住み続けられるまちづくりを、考え実行して行きたいと思います。
●Crimson Global Academy 礒津恵凛さん
・新しい移動の選択肢WEBUSで地域を活性化させる
【発表概要】
品川区には歩きづらい狭い道路や一方通行車線、坂道が多く、高齢者らが交通弱者になっています。一方で、夕方から夜にかけて習い事に通う子供たちの送迎に共働きなどの状況から困っている親が多いのです。この2つの異なる課題を解決するため、人々の交流を増やし地域を活性化させるオンデマンド型交通(DRT)の運用を提案します。DRTバス「WEBUS」によって区民の移動が快適となり、まち全体が活性化することが可能になります。
WEBUSの目的は、交通弱者が多く住む地域で新たな交通手段を提供し、小中学生の習い事や学校までの移動をより安心安全にすることです。幅員が狭い地域でも7-9人乗りのバンなら運行可能で、WEBUSを通じて高齢者のコミュニティづくりを推進することもできます。WEBUSに車内カメラやGPSを搭載し、親が子供の位置情報を確認できるようにします。さらに乗車によってトークン(地域向けの仮想通貨等)が獲得できる仕組みを構築し、地域の経済活性化にも寄与します。事業計画シミュレーションを行った結果、運行車両数が多くなるほど利益率が高くなり、十分に採算可能な事業ということが分かりました。WEBUSによって子供から高齢者まで皆が触れ合う新たなコミュニティを生み出せると考えています。
●福井工業高等専門学校 大澤愛翔さん、高間海友さん
・MRで廃校復活大作戦!!
【発表概要】
人口減少、少子高齢化、学校あたりの生徒数の減少から、鯖江市において廃校となる学校が増加する可能性が高い状況です。地元の人にとっては愛着のある学校の廃校は抵抗感があり、持続可能な社会のあり方として増加傾向にある廃校の再利用促進の計画を立てました。その計画が「MR(複合現実)で廃校復活大作戦」です。
リニューアルした廃校舎に市外の人が宿泊・居住し、地元の人と交流を深めてもらうのです。具体的には、廃校舎を宿泊施設、シェアハウス、交流空間として利用できるようにします。その際に、高専生がMRの技術を活用し、リニューアルする教室のデザインについて地元の人が納得いくまで話せるようサポートします。自立的に利益を挙げることで、廃校舎の維持・管理について持続可能な運営を目指します。それが定住促進や雇用機会の増加につながり、高専生・高校生が地域の住民や企業と協力しまちづくりを行うことで地域活性化にもつながると考えました。
<全体を通しての審査員からのコメント>
木谷周吾氏(小田急電鉄株式会社 観光事業開発部課長)
皆さんのアイデアは非常に考え抜かれていて、どのチームが優勝してもおかしくないという高いレベルのものだったと思います。小田急電鉄が現在、取り組んでいるようなことが皆さんの提案の中にいくつも入っていて、私自身も非常に勉強になりました。
斉藤香代子氏(東日本旅客鉄道株式会社 マーケティング本部 くらしづくり・地方創生部門 観光流動創造ユニット観光戦略室マネージャ―)
審査員の我々が高校生の頃に皆さんのような立派なプレゼンはできなかったと思います。皆さんの実力には只々感心するばかりです。資料の組み立てや詳細なデータ調査なども見事でした。こんな皆さんがいることで、日本の将来は明るいと思えました。
山本泰浩氏(東京海上日動火災保険株式会社 神奈川支店長)
皆さんの発表から、かなり準備をして決勝大会に臨んで来たというのがとても伝わりました。分析的、論理的、独創的なプレゼンばかりでした。地元の良さを活かそうとしているところが大変印象的でした。あえて変えるのではなく、残すことも大事だ、活かすことも大事だという皆さんの思いが強く伝わりました。
富田建蔵氏(観光庁 観光地域振興部 観光資源課長)
人口減少、外国人、観光、二次交通といった喫緊の社会課題を捉えて、それぞれとても素晴らしい提案だった思います。社会人のプレゼンテーションと遜色がなく、地域に対する強い思いがこもったとても良い発表だったと思います。将来、社会に出た皆さんと一緒に社会課題の解決のために働けることを大いに期待しています。
▼本件に関する問い合わせ先
学校法人玉川学園 教育情報・企画部 広報課
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