ESG四半期レポート:2022年第1四半期

シュローダーでは、企業とのエンゲージメントや実態調査など、サステナビリティへの取り組みを掲載したサステナブル・インベストメント・レポートを四半期毎に作成しています。本レポートでは、2022年第1四半期のサステナブル・インベストメント・レポートを構成する内容の一部をご紹介します。
今回のテーマは、ネットゼロに向けた科学的根拠に基づく弊社の取組み、株主総会シーズンにおける企業への期待、削減貢献量の分析フレームワーク概要についてです。


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ステファニー・チャン
インテグレーション ヘッド

ネットゼロに向けた科学的根拠に基づく弊社の取組み:
2022年3月、ネットゼロに向けた目標がScience Based Targetsイニシアチブによって認定された資産運用会社のうち、弊社は運用資産残高において最大の資産運用会社*となりました。本Q&Aでは、これが実際に何を意味するのかご紹介いたします。

Q.シュローダーはこれまでに何を成し遂げたのか?
A. アクティブ運用の資産運用会社として、弊社はネットゼロ・エミッションに取り組み、気候変動がもたらすリスクから運用資産を保護し、移行に伴う機会をお客様に提供しています。そのため、弊社は2021年に科学的根拠に基づく目標を設定・提出し、その達成に向けて取り組んできました。この目標はその後、Science Based Targetsイニシアチブによって認定されました。弊社のコミットメントは、ポートフォリオが2040年までに気温上昇を1.5℃に抑えるという目標と整合性のあるものにします。

Q.なぜScience Based Targetsイニシアチブを重視するのか?
A. 科学的根拠に基づく目標の設定は、確固としたネットゼロの道筋に対する弊社のコミットメントの表れです。弊社はScience Based Targetsイニシアチブが業界をリードする基準になったと考えています。Science Based Targetsイニシアチブのアプローチの一貫性および比較可能性は、変革を促し、実証するために極めて重要です。

Q.シュローダーのコミットメントの範囲は?
A. 弊社のコミットメントは、弊社の事業運営から投資先企業まで、弊社の事業活動に関連する全ての排出量を対象とします。2019年に弊社の事業運営においてはカーボン・ニュートラルを達成し、さらには1.5℃目標実現に向けて、今後10年間の事業運営およびサプライチェーンから生じる排出量削減を目指す、厳しい目標を設定しました。しかしながら、投資先企業による排出量は、弊社の事業運営から生じる排出量の6,000倍に相当し、すべてのポートフォリオで移行が必要になります。

Q.弊社の目標がScience Based Targetsイニシアチブに認定されたことの意味とは?
A. ポートフォリオを移行するにあたり、基準となるポジションと科学的根拠に基づく目標を設定する必要がありました。Science Based Targetsイニシアチブのメソドロジーによって、投資先上場企業およびポートフォリオの炭素排出量と気温への取組みを市場水準に沿って測定することが可能になりました。今後の展開としては、メソドロジーが合意に至れば、さらに多くの資産クラスが弊社の目標に組み込まれると想定しています。
弊社は、Science Based Targetsイニシアチブによる認定を受けた最大の資産運用会社であることを誇りに思っています。これは、気候変動に対するリーダーシップへの当社のコミットメントを示すものであり、今後は同業他社が同様の移行コミットメントを行うことを期待しています。投資先企業に対する詳細かつ広範なエンゲージメントの実施は、弊社の気候変動対策の基盤であり、Science Based Targetsイニシアチブへのコミットメントはそれを支える確固たる証拠を提供します。

*2022年3月時点。

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ティム・グッドマン
コーポレートガバナンス ヘッド

株主総会シーズンにおける企業への期待:
長期的かつ持続可能な企業成長の実現を促す、弊社の議決権行使の方法

弊社は、世界中の数千の企業に送付したレターの中で、議決権行使とエンゲージメントの優先順位を示しました。
弊社は資産運用会社として、投資先企業の株主総会における全ての議案に対して議決権を行使しています。そして、顧客の長期的な利益のために投資先企業が行動するよう、継続的なエンゲージメントを行っています。そのため、企業の長期的な成功に責任を持つ取締役は、サステナビリティに関してより大きな説明責任を負うべきであるという見方を強めています。もしそうでない場合は、取締役の再任に対して反対票を投じることも検討します。投資先企業へのレターでは、取締役の再任に対して反対票を投じる可能性が高い分野を明記しています。

気候変動
弊社は、企業が気候変動に対して十分と思われる行動をとっていないと判断した場合、取締役会議長や特定の委員会の委員を含む取締役に対して反対票を投じる可能性が高くなると考えています。

監査役の独立性およびクオリティ
監査や監査役、監査役の独立性およびクオリティに関して、継続的または深刻な懸念がある場合には、監査委員会委員長に対して反対票を投じる可能性が高くなります。

ジェンダーおよび民族の多様性
英国や欧州、北米では、大企業は少なくとも33%、中小企業は20%の女性取締役比率を実現するように期待しています。弊社は、取締役会におけるジェンダー多様性に関する懸念がある場合、ガバナンス委員会委員長や指名委員会委員長に対して反対票を投じます。さらに英国と北米においては、最低でも一名、非白人の取締役を選任するように大企業に対して求めています。

役員報酬
取締役会の役員報酬に関する継続的または深刻な懸念がある場合には、報酬委員会委員長に対して反対票を投じる可能性が高くなります。

従業員および企業文化の監督
企業文化や人的資本に関して、取締役会が監督責任を果たしていないと判断した場合には、取締役会議長や筆頭取締役を含む、取締役に対して反対票を投じる可能性が高くなります。

もちろん、このような決断を下す際には、その企業に関する経験や企業規模を考慮します。例えば、中小企業は、リソースおよび財務面での制約が大きいことを認識しています。

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削減貢献量の分析フレームワーク概要:
弊社サステナブル投資チームとシンガポール政府投資公社(GIC)との協働によって構築された削減貢献量の分析フレームワークは、弊社の投資分析ツールを拡張しました。

従来の排出量分析は、企業が自身の事業運営やバリューチェーンにおいて排出した炭素排出量に着目し、ビジネスモデルがもつ負の影響を強調するに留まっており、クリーン・テクノロジーを活用することのメリットを考慮していませんでした。
弊社が開発した削減貢献量分析フレームワークは、従来のスコープ 1 、スコープ 2 、スコープ 3 には反映されていない、炭素排出量の多い活動を低炭素な活動で代替することによる、排出量削減への企業の貢献を分析することで、より完全な全体像を提供することが出来ます。
削減貢献量分析フレームワークは、低炭素技術が導入されていない場合のベースラインと比較して削減された排出量を測定するものです。クリーンテクノロジーをより多く活用することで、世界的な脱炭素化の取り組みに欠かせない排出量の削減を実現します。当フレームワークは、バリューチェーン分析に基づいており、学術論文や各業界の文献を活用し、投資可能性と拡張性の観点から、削減貢献量の貢献度が高い活動をとらえます。
当フレームワークは、投資分析での実際の活用が可能です。具体的には、以下2点においての貢献が期待されます。
  1. 従来の炭素排出分析や「グリーン・レベニュー(環境貢献事業の売上高に対する貢献度)」ではとらえることが難しかった、脱炭素社会への移行における真の勝ち組企業を幅広く特定し評価すること。
  2. 共通の測定単位の下、スコープ1、スコープ2、スコープ3における比較を容易にし、気候変動関連のリスクと投資機会の双方を考慮したポートフォリオの構築に向け、統合された全体的なアプローチを可能にすること。
弊社は、削減貢献が高いと期待される19の活動を特定し分析しました。排出削減量を金額ベースに換算し売上げ対比で計測(単位:tCO2e/百万米ドル)すると、仮にこれらの活動が2030年時点に期待される水準で実施された場合、経済全体の炭素排出の約四分の一が削減される可能性があることが判明しました。



2022年第1四半期
エンゲージメント


2022年第1四半期
株主の議決権行使

弊社は、我々には株主の議決権を行使する義務があると考えています。従って、議案を評価した上で、株主に対する受託者責任のもと、議決権を行使します。シェアブロッキング等の理由により制限が設けられていない限り、全ての決議において投票しています。
今四半期は保有する企業が開催したうち約96%にあたる1008回の株主総会において議決権を行使しました。



2022年第1四半期
エンゲージメントの進捗状況


このセクションでは、1年前(今回の場合、2021年第1四半期)に企業へ行った提案に対しての進捗状況を 「達成」、「ほぼ達成」、「ある程度の変化」、「変化なし」、 「改善の必要なし」に分類することにより評価します。


下図は、過去3年間における我々のエンゲージメントの有効性を示しています。我々の提案が実施されるまでには、時間を要すことが伺えます。従って通常、提案を行った12ヵ月後に評価を行い、その後に渡っても進捗を評価する形をとっています。


過去3年間における提案の有効性



以上の説明は、シュローダーESGチームのグローバルベースでの最近の活動実績を参考情報としてご紹介するものです。個別銘柄、業種、国、地域等についての言及は例示を目的とするものであり、当該個別銘柄等の購入、売却などいかなる投資推奨を目的とするものではありません。本レポートの利用者がこれらの情報に依拠したことによって発生した損害について、当社は一切の責任を負いません。また、当社が日本の投資家様向けに設定・運用するファンドでの個別の投資判断と必ずしも一致するものではありません。


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この企業の情報

組織名
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
ホームページ
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/
代表者
黒瀬 憲昭
資本金
49,000 万円
上場
非上場
所在地
〒100-0005 東京都千代田区丸の内一丁目8番3号丸の内トラストタワー本館21 階
連絡先
03-5293-1500

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