アンドリュー・ハワード
サステナブル投資グローバル・ヘッド
キンバリー・ルイス
アクティブ・オーナーシップ・ヘッド
シュローダーでは、ファンドマネジャーやサステナブル投資アナリストとともに、以下のテーマに注目しています。
注目すべきESGエンゲージメントのテーマ
COP26に向けた動きの中で、特に気候変動は大きなニュースとして取り上げられました。今後も引き続きメインテーマとなると思われますが、シュローダーのサステナブル投資チームは、2022年には人的資本管理、人権、多様性、インクルージョンなどの社会的問題により焦点が当てられると予想しています。
また、環境問題への取り組みが気候変動問題だけではなく、生物多様性や天然資源の制約という点においても焦点が当たるようになると考えています。
1. 気候
気候変動への取り組みに対する行動と透明性への要求は、かつてないほど高まっています。2021年初頭、シュローダーは英国を代表する株式指数であるFTSE350の構成企業に対し移行計画を公表するよう書面で要請し、そのエンゲージメント活動を欧州と米国にも拡大しました。
引き続き投資先企業の中でも、最も影響を受けやすい企業を中心に目標の設定を求めていきます。
シュローダー自身もネット・ゼロへの移行を約束しており、エンゲージメントを通じた影響力は、この目標を達成するために不可欠なものとなります。
2. 生物多様性と天然資源の制約
1970年以降、人間が環境に与えた影響(1970年を100として指数化)
このグラフで明らかなように、人間が環境に与える影響は、驚くべき速さで加速しています。生物多様性や天然資源の制約といったトピックは、今後ますます細分化されていくでしょう。
シュローダーのリサーチチームは、すでに森林伐採、持続可能な食と農業、廃棄物管理などの問題に注目しています。
独自の取り組みを開始するだけでなく、自然資本の重要なリスクが事業にどのような影響を与えるかを開示するよう、企業に働きかけるために協働していきます。
3. 人的資本管理
パンデミックは、在宅勤務や労働者の健康と安全、ウェルビーイングに関する方針など、人的資本管理を浮き彫りにしました。
また、近年増加しているギグ・エコノミーや非伝統的な労働形態にも注目が集まっています。
私たちは、労働形態の変化が多くの利益をもたらし、今後も継続する可能性があることを認識していますが、労働者に直接または間接的に依存している企業は、彼らの待遇に対して確実に責任を持つ必要があります。
シュローダーは、危機の初期に企業に手紙を出し、その後もフォローアップを行い、労働者やその他のステークホルダーが可能な限り保護されることを保証する企業を支持することを表明しました。
多くの経済が正常化に向かって停滞している中で、このような優先順位を維持することが重要です。
4. ダイバーシティ&インクルージョン
ダイバーシティ&インクルージョンは、今後も当社のエンゲージメント活動の中で重要な位置を占め、2022年以降も強力なテーマとなるでしょう。
歴史的には、業界全体のダイバーシティに関するエンゲージメントは、取締役会レベルでのジェンダー・ダイバーシティに焦点を当てていました。
私たちは、このテーマを縦にも横にも拡大していくことを計画しています。すなわち、経営陣や管理職からより幅広い従業員まで、また人種、社会経済、LGBTなどの多様性の観点から、このテーマを推進していきます。
英国では、Parker Reviewと呼ばれる取締役会の民族的多様性に関するレビューで、FTSE100の構成企業に対して、2016年に初めて設定された「2021年までに1名」という目標を2021年までに達成するよう求めています。最新のアップデートでは、調査対象となった企業の37%が、取締役会に少数派民族のメンバーがいないことがわかりました。
11月、シュローダーはFTSE100の構成企業にこのテーマについて手紙を出し、2022年からは要件を満たしていないFTSE100の構成企業の指名委員会委員長に反対票を投じることとしました。
5. 人権
私たちは、企業が権利者に与える影響という観点から、人権というテーマを考えることが重要だと考えています。
これには、サプライチェーンなどを通じた労働者や、事業活動の影響などを通じた地域社会、そして企業が提供する製品やサービスを通じた消費者が含まれます。
今年は、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」(UNGPs)が採択されてから10年目にあたります。UNGPsは、国家と企業がビジネスにおける人権侵害を防止し、対処するためのガイドラインです。
今後10年間で、UNGPsの採択と実施を推進し、その規模を拡大するためには、エンゲージメントが必要です。
また、デマ情報やプライバシーの問題など、デジタル上の権利に関する問題も増えてきており、これらは今後も社会的に重要な課題となるでしょう。
また、今回のパンデミックでは、医薬品へのアクセスも非常に重要でした。
6. ガバナンス
2022年、アクティブ・オーナーシップ・チームが注目するテーマは、すべてのESGテーマを支えるガバナンスです。
特に気候変動に関する投票記録や株主決議の精査が進むと予想されます。その他の傾向としては、年次総会における「セイ・オン・クライメット(Say on Climate)」投票や人種問題に関する株主提案、報告書におけるサステナビリティ指標の増加などが挙げられます。
社会とステークホルダーにとって最大の利益となる持続可能な成果を達成するためには、取締役会と投資家の間の建設的な対話が強力なツールとなります。
そのため、これらのテーマに関する社外取締役の考えを理解するためにも、社外取締役との対話を実施していく予定です。
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