株式会社日本設計(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:篠﨑 淳)と、米国Autodesk 社(本社:米国カリフォルニア州/代表取締役社長兼 CEO:アンドリュー・アナグノスト)は、2021 年 10 月に、3 度目の包括契約(EBA ※1 Enterprise Business Agreement)の更新を行いました。
左:日本設計 代表取締役社長 篠﨑 淳
右:Autodesk, Inc. アジアパシフィック アカウント営業本部 シニアディレクター ルー・グレスパン
両社は、2014 年 9 月より、次世代 BIM の実現を目指してパートナーシップを結び、建物のライフサイクルを通じて、オーナー、利用者に BIM の最大限の効果をもたらす建築、都市環境を提供すべく協働で活動を行ってきました。この度の更新により、国内での非競争領域の標準化を推し進め、BIM を国内で本格的に普及していくために、引き続き協業していきます。
業務の効率向上を実現するため、デジタル統合の最適化・標準化および設計・施工・運用でのデータ連携が重要になってきます。両社は今後の実行プランにより、国内の本格的な BIM 普及の実現と、建設業への DX 推進、カーボンオフセット実現に向けて寄与していきたいと考えています。
将来的には、Autodesk のクラウドプラットフォーム(Autodesk Forge(R))を発展させ、業界の垣根を超えた融合(コンバージェンス※2)による新たな価値を提供していきます。
業界の標準化に向けて、両社にて協業したこの 3 年間の到達点、日本設計での取り組み、今後 3 年間のテーマと実行プランは以下の通りです。
1.BIM のワークフローの確立
<これまでの取り組み>
- 2018 年(令和元年)に建築 BIM 推進会議が設置され、国内の BIM 普及が加速する中で、BIM により設計や監理を行うための「設計 BIM ワークフローガイドライン 建築設計三会 第 1 版」が取りまとめられました。これは、初年度に建築 BIM 環境整備部会で検討が行われ、公開された「建築分野における BIM の標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第 1 版)」や、「別添参考資料(たたき台)」の内容を検証し深度化させ、設計をする上での BIM ワークフローを定めたものです。
- 日本設計は、建築 BIM 推進会議の各部会や各団体の活動に積極的に関わり、国内の BIM 標準化整備に全面的に協力しています。
- 国内 BIM 標準化の流れの中、メーカーの BIM オブジェクト提供を促し監修することで、設備や電気の大手メーカーを中心に提供が開始されてきています。
<今後のテーマと実行プラン>
- 国内への BIM ワークフローの定着を図るために、建築 BIM 推進会議の各部会や建築設計三会等の関係団体での活動を通じて、大手企業以外の第 2、第 3 陣の BIM 活用を後押しします。
2.建物の高品質化・高性能化に寄与する BIM の構築
<これまでの取り組み>
- 意匠・構造・設備の分野が共に、Autodesk(R) Revit による同一プラットフォームでの BIM 活用の仕組みを構築し、共通のデータ環境として Autodesk(R) BIM 360(R)のクラウド環境を利用することで、情報共有が容易になっています。
- 実施設計の成果図書を BIM で作成した案件も徐々に増えてきました。超高層や大型案件においても、基本設計を中心に活用が進んできています。
- 世界でも遅れていた電気 BIM について、国内で利用可能な電気系 BIM オブジェクトの整備や、国内電気メーカーからも照明シミュレーションやバスダクトが提供され、実プロジェクトでの活用も始まっています。
- BIM と省エネ適合判定を行うWEB プログラムとが連携可能な仕組みを構築し、2021 年 9 月より実運用を開始しました。
<今後のテーマと実行プラン>
- BIM の本格運用に向けて、意匠・構造・設備分野の連携をさらに深め、合理的な BIM プロセスを確立し、BIM に適した図面表現の完成を目指します。
- BIM の本格運用に向けて、さらなる社内体制構築と社内教育の推進を着実に進めていきます。
- Autodesk Insight の活用など、BIM と連携可能なエネルギーシミュレーションを実用化し、エネルギー効率や環境への最適化に配慮したデザインを促進していきます。
3.DX 推進とビックデータの活用
<これまでの取り組み>
- BIM の標準化を推進してきたことで、建物データベースの骨格を整備することができ、ビックデータ活用の基盤が整いつつあります。
- BIM を基盤とするデジタルデータ連携の仕組みを試行し、今後のデジタルデータ基盤整備の足掛かりをつくりました。
<今後のテーマと実行プラン>
- BIM と連携可能な設計データベースの整備を行い、コスト概算システムや仕様書との連携を実現していきます。
- 全社的に進めている次世代デジタル基盤構想の実現に向けて、様々な部門とのコラボレーションを促進し、創造力と品質力を高め、さらなる価値を提供します。
- 国土交通省が主導する PLATEAU(プラトー)での都市モデルデータとの親和性を高め、様々な利活用につなげていきます。
※1 EBA:大企業ユーザー向けの包括契約。 EBA 契約締結により、Autodesk の製品やクラウドサービス、テクノロジーを自由に切り替えて利用可能なToken Flex と呼ばれるライセンスが提供される。Enterprise Business Agreement の略。
※2 コンバージェンス:個々に分断されているテクノロジーやプロセス、データを融合することで、新たな製品やサービス、エクスペリエンスを創出し、業界そのものを変革していくこと。
BIM とデータベース連携
株式会社日本設計 概要
1967 年創立。社員数 992 名(2021 年 4 月)。建築、土木の設計・監理、都市計画・地域開発などの関連業務、リノベーション業務、コンサルティング業務を行う総合設計事務所。
創立当初より超高層建築の日本におけるパイオニア、1980 年代以降は、「環境」をテーマとして多くの作品を創出。近年は、都市建築を多く手掛けている。社会に求められる新しい価値を創出し、高品質な建築、都市づくりを目指している。
Autodesk, Inc. 概要
1982 年設立。社員数約 11,500 名(2021 年 1 月期)。米国ナスダック市場上場。
建築土木、製造、メディア&エンターテインメント業界における、あらゆるものづくりの変革を実現するプラットフォームカンパニーとして、個別業務の効率化を推進するクラウドベースの CAD/CAM ツールや、より広く業務プロセス全体をサポートし、様々な部門の方々とコラボレーションして使えるようにする連携プラットフォームを提供。より良い未来を築き上げるために、新たな可能性を実現する世界中のイノベーターを支援。