【京都産業大学】規則性がある固体であってもランダムなガラスとして振る舞うことを解明 -- 米国学術雑誌Physical Review Materials(オンライン版)に掲載



京都産業大学理学部の齊藤 国靖准教授らの研究グループは、計算機シミュレーション上で、規則的な結晶とランダムなガラスの中間的な構造をもつ固体を模擬し、それが結晶の物性ではなくガラスの物性を示し、ランダムなガラスとして振る舞うことを明らかにした。




 固体は、規則的な''結晶''とランダムな''ガラス''の二つに分類できる。しかしながら、結晶とガラスの分類は、完全に規則的か、もしくは完全にランダムか、という理想的なものである。現実の固体は、このような理想的な構造をとることは珍しく、むしろ規則性とランダムさが混在している場合が多々ある。窓ガラスの''石英ガラス''であっても、ケイ素原子1個と酸素原子4個から成る四面体構造が、歪んだ状態だが規則的に配置している。すなわち、結晶の''石英''のように完全に規則的ではないが、規則性が存在する。

 本研究では、計算機シミュレーション(注1)上で、規則性(あるいはランダムさ)の程度が異なる構造をもつ固体を模擬(図1)し、それらの物性を調べた。すなわち、完全に規則的でもランダムでもない、規則的とランダムの中間的な構造をもつ固体を模擬した。その結果、''結晶様''(あるいは''ガラス様'')な固体は、規則的な結晶ではなく、ランダムなガラスのように振る舞うことが明らかになった。特に、結晶構造に近い固体であっても、僅かなランダムさが物性を支配する因子となり、ガラスの物性を生み出すことが分かった。

 今回の発見は、ガラスを基準とするアプローチの有効性を提示する。例えば、石英ガラス、合金、柔粘性結晶、液晶などのように、規則性があってもランダムさがある固体に対してはもちろんのことだが、特に、たとえ結晶に近い固体であっても、僅かなランダムさがある場合は有効であると考えられ、固体材料の開発・設計に新しい視点を与えるものと期待できる。

 この研究成果は、2020年11月19日(日本時間)にアメリカ物理学会発行の学術雑誌「Physical Review Materials」のオンライン版に掲載された。

むすんで、うみだす。  上賀茂・神山 京都産業大学


■用語解説
(注1)計算機シミュレーション
 本研究では、''分子シミュレーション''と呼ばれる計算機シミュレーションを実施した。微視的にみると、物質は無数の分子から構成されている。分子シミュレーションは、計算機上で物質を構成する分子一つ一つの熱運動を模擬することによって、物質全体の物性・性質を微視的な立場から調べる手法である。

■関連リンク
・規則性がある固体であってもランダムなガラスとして振る舞う-僅かなランダムさが物性を支配する因子になる-
 https://www.kyoto-su.ac.jp/news/20201119_345_release_ka01.html
・京都産業大学 理学部物理科学科 齊藤 国靖 准教授
 https://www.kyoto-su.ac.jp/faculty/professors/sc/saitoh_kuniyasu.html
・京都産業大学 理学部
 https://www.kyoto-su.ac.jp/faculty/sc/


▼本件に関する問い合わせ先
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FAX:075-705-1987
メール:kouhou-bu@star.kyoto-su.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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