ギリアド・サイエンシズ レムデシビルの第III相臨床試験 中等症新型コロナウイルス感染症患者の結果を発表

― レムデシビルの5日間投与を受けた患者の臨床症状は、標準治療のみを受けた患者より有意に改善 ―
― 新型コロナウイルス感染症の入院患者に対するレムデシビルの有用性を示した先行試験のエビデンスに新たなデータを追加 ―

米カリフォルニア州フォスターシティ、 2020年6月1日 ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は 本日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の中等症入院患者を対象としたレムデシビルの第III相試験(SIMPLE試験)の主要結果を発表しました。試験は、標準治療に加え、現在開発中の抗ウイルス薬レムデシビルの5日間および10日間投与群と、標準治療群とを比較する非盲検試験です。試験では、第11日目に臨床改善がみられる患者の割合は、レムデシビル5日間投与群が標準治療群より65%高いことが明らかにされました(オッズ比(OR):1.65 [95% CI(95%信頼区間): 1.09-2.48]; p=0.017)。レムデシビル10日間投与群の標準治療群に対する臨床改善のオッズ比も肯定的な傾向がみられましたが、有意差はありませんでした(OR:1.31 [95% CI 0.88-1.95]; p=0.18)。いずれの治療群にも、新たな安全性シグナルは認められませんでした。ギリアドは、今後数週間以内に本試験の詳細データを査読論文誌に投稿する予定です。

ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(Brigham and Women's Hospital)の感染症専門医でハーバード大学医学部准教授のフランシスコ・マーティ医師(Francisco Marty, MD)は、「SARS-CoV-2感染症の重症度のスペクトラムとCOVID-19の臨床像に関する私たちの理解は深まりつつあります。今回の試験では、レムデシビルに関する有望な追加データが得られ、疾患の早い段階で治療介入を行い、本剤を5日間投与すれば、臨床転帰が著しく改善する可能性があることが明らかにされました。」と述べています。

レムデシビルは、日本においてCOVID-19の原因ウイルスとなる SARS-CoV-2 感染症に対する治療薬として承認されています。日本以外の国ではレムデシビルは承認されておらず、現在開発中です。米国食品医薬品局(FDA)は、緊急時使用許可として、COVID-19重症患者の治療薬としてレムデシビルを用いることを認めています。緊急時使用許可は一時的な措置であり、正式な新薬承認申請の提出、審査と承認のプロセスに代わるものではありません。

今回の試験では、新型コロナウイルス感染が確定し、肺炎がみられるものの酸素飽和度の低下を認めない患者を1:1:1の比率で無作為化し、非盲検的にレムデシビル5日間投与群、レムデシビル10日間投与群と標準治療群に割り付けました。主要評価項目は、投与から11日目の臨床状態とし、退院から、酸素補給の程度の増加、人工呼吸器の使用、死亡までを指標とする7段階スケールにて評価しました。副次評価項目として、レムデシビルの各投与群と標準治療群の有害事象発現率を比較しました。
第11日目に臨床状態の改善がみられた患者の割合は、レムデシビル5日間投与群は標準治療群より高く、7段階スケールで1段階以上の改善がみられた患者の割合に有意差が認められました(p=0.026)。また、臨床状態が悪化した患者の割合と死亡例の割合は、標準治療群の方がレムデシビル5日間投与群および10日間投与群より高値でしたが、有意差は認められませんでした。

ギリアドのチーフ・メディカル・オフィサーであるマーダッド・パーシー(Merdad Parsey, MD, PhD)は、「私たちはレムデシビルについてこれまでに無作為化臨床試験を3件行い、本剤が臨床転帰を改善することを様々な指標に基づき立証してきました。今回得られた結果は、中等症の患者さんに対してレムデシビルを5日間投与すると、標準治療のみの場合よりも高い臨床的改善効果が得られることを示すもので、レムデシビルの有用性を示すこれまでに発表した試験結果にさらなるエビデンスを加えるものとなりました。米国国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のプラセボ対照試験では、レムデシビルは回復を早めるとともに、より早期に臨床的改善をもたらすことが明らかにされています。ギリアドのSIMPLE-Severe試験では、重症患者に本剤を5日間投与したところ、10日間投与した場合と同様の臨床的改善が認められることが明らかにされました。今回得られたデータは、今後の研究の方向性を示すものでもあり、今後は、疾患のより早い段階での治療介入や重篤例に対する他の治療法との併用療法の検討のほか、小児を対象とした試験、他剤形の開発なども進めていきたいと考えています。」と述べています。

レムデシビルの忍容性は、5日間及び10日間投与群とも概ね良好でした。レムデシビル5日間及び10日間投与群で発現率が5%以上であった有害事象は、悪心(5日間投与群:10%、10日間投与群:9%、標準治療群:3%)、下痢(5%、5%、7%)と頭痛(5%、5%、3%)でした。

本試験で得られた有効性と安全性に関する主な結果を下表に示します。



SIMPLE試験について
ギリアドは、COVID-19が拡大している国々において、レムデシビルを検討する2件の無作為化非盲検多施設共同第III相試験(SIMPLE試験)を開始しました。試験は、米国、中国、フランス、ドイツ、香港、イタリア、日本、韓国、オランダ、シンガポール、スペイン、スウェーデン、スイス、台湾と英国をはじめ世界各地の180の医療機関で実施されました。

1 番目の試験では、重度のCOVID-19症状を呈する入院患者を対象に、レムデシビル静脈内投与の5日間投与と10日間投与の安全性および有効性を評価します。試験の最初のフェーズでは、患者397名を1:1の比率で無作為化し、標準治療法に加え、レムデシビルの点滴静注を5日間または10日間行う群に割り付けました。主要結果は4月29日に発表され、詳細なデータは5月27日にThe New England Journal of Medicine誌に掲載されました。この試験については拡大フェーズを設け、人工呼吸器の使用例を含む5,600名を追加登録することとなりました。

2 番目の試験では、中等度の COVID-19 症状を呈する入院患者を対象に、標準治療に加えてレムデシビルの静脈内投与を5日間または10日間行う群の安全性および有効性を、標準治療のみの群と比較して評価します。試験の最初のフェーズでは、患者600名を1:1:1の比率で無作為化し、標準治療法に加えレムデシビルの点滴静注を5日間または10日間行う群、および標準療法のみ行う群に割り付けました。この試験については拡大フェーズを設け、中等症の患者を最大で1,000名追加登録します。初期の試験結果は本プレスリリースでお知らせした通りであり、拡大フェーズの結果は今後数ヶ月以内に得られる見込みです。

米国におけるレムデシビルに関する重要な情報
レムデシビル(GS-5734™)は、緊急時使用許可により、SARS-CoV-2感染が疑われるか検査で感染が確定し、重度のCOVID-19を呈する患者にのみ用いることが許可されています。SARS-CoV-2は、COVID-19の原因ウイルスです。重症COVID-19とは、室内気下の酸素飽和度(SPO2)が94%以下であるか、酸素補給または人工呼吸器、または体外式膜型人工肺(ECMO)を必要とする場合と定義されています。レムデシビルは静脈内に投与する薬剤であるため、入院中の成人または小児患者で、静注薬剤の使用が臨床上適切とされる患者さんに用いることが認められています。

レムデシビルは現在開発中の新薬候補で、いかなる用途でもFDAの承認を得ておらず、 COVID-19治療薬としての安全性と有効性は確立されていません。レムデシビルの使用は、緊急時使用許可の終了または取り消しがない限り、この許可を妥当とする状況が宣言されている期間にわたり可能です。FDAの緊急時使用許可に関する承認書については、こちらをご覧ください。https://www.gilead.com/remdesivir

レムデシビルに関する臨床データは限られています。本剤の使用に伴い、今までに報告されていない重篤で予測されない有害事象が発現するおそれがあります。警告: レムデシビルの臨床試験において、点滴に伴う反応や肝酵素の上昇がみられています。本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者には本剤を用いないでください。本剤の投与により臨床上問題となる症状・徴候が現れた場合は、本剤の投与を直ちに中止し、適切な治療を行ってください。投与期間中は、臨床状態の観察や臨床検査を適切に行い、有害事象の早期検出に努めてください。レムデシビルの投与開始前と投与開始後は毎日、腎機能と肝機能のモニタリングを行い、 血液生化学的検査と血液学的検査も毎日行ってください。有害事象が現れた場合の投与継続・中止の判断は、各患者について臨床所見に基づくリスク/ベネフィット評価に基づき行ってください。

医療提供者および/または被指名者は、レムデシビルによる治療中に生じたか、本剤との関連が考えられる医療過誤、重篤有害事象や死亡を全てFDA MedWatchに報告する義務があります。これら事象は、発現後7日以内(休日含む)に報告する必要があります。MedWatchへの有害事象報告は、FDAの専用サイト(https://www.fda.gov/safety/medwatch )から送信するか、電話連絡(1-800-FDA-1088)にて行ってください。

レムデシビルに関する重要情報は、上記以外にもあります。FDAは、レムデシビルをファクトシートとともに配布することを許可しています。ファクトシートについては、https://www.gilead.com/remdesivir を参照してください。 医療提供者は、医療提供者向けファクトシートをよく読み、緊急時使用許可の下でのレムデシビルの使用と必要事項についての詳細を確認してください。

ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズは、医療ニーズがまだ十分に満たされない分野において、革新的な治療を創出、開発、製品化するバイオファーマ企業です。会社の使命は、生命を脅かす病を抱える世界中の患者さんのために医療を向上させることです。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35か国以上で事業を行っています。

ギリアドの新型コロナウイルスへの対応に関する詳細については、こちらをご覧ください。https://www.gilead.com/purpose/advancing-global-health/covid-19

将来予想に関する記述
本プレスリリースは、1995 年米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスクや不確定要素などの要因を含む場合があります。レムデシビルは現在開発中の新薬候補で、いかなる用途でもFDAの承認を得ておらず、COVID-19治療薬としての安全性と有効性は確立されていません。レムデシビルに関連して現在実施中の試験や追加して行われる臨床試験において良好な結果が得られない可能性があるほか、ギリアドおよびその他の団体がこれら試験のうちの1件またはそれ以上を予定通りに完了することができないか、または試験の中止に至る可能性もあります。また、ギリアドがレムデシビルの開発中止に至る戦略的判断を下す可能性、FDAまたはその他の規制当局がレムデシビルを承認しない可能性、あるいは承認された場合にもその使用に大きな制限がつく可能性もあります。開発中止により、レムデシビルが製品化されない可能性があります。これらのリスクや不確定要素、その他の要因により、実際の結果が「将来予想に関する記述」と著しく異なったものとなる可能性があります。本記述の内容は確定したものではありませんのでご注意ください。これらのリスクやその他のリスクについては、米国証券取引委員会に提出している、2020年3月31日までの四半期のギリアド社四半期報告書(フォーム10-Q)で詳細に説明しています。将来予想に関する記述はすべて、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドは将来予想に関する記述を更新する義務を負いません。



本件に関するお問合わせ先
ギリアド・サイエンシズ株式会社 広報部
E-mail: JPPublic.Affairs@gilead.com
TEL:03-6837-0790
FAX:03-5224-5270

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組織名
ギリアド・サイエンシズ株式会社
ホームページ
http://www.gilead.co.jp
代表者
ルーク ハーマンス
資本金
0 万円
上場
非上場
所在地
〒100-6616 東京都千代田区丸の内グラントウキョウサウスタワー 16F
連絡先
03-6837-0055

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