ギリアド・サイエンシズ「コロナ禍におけるHIV診療に関するオンライン調査」をアジア各国にて実施 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でHIV治療機会の減少を経験していることが明らかに

―アジア地域全体を対象とした初の調査で治療影響への規模と今後の混乱防止に向けた治療継続計画の必要性を示す―

ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)はこのたび香港発として、アジア各国におけるHIV治療(検査、治療と予防を含む)へのアクセスと提供に対し、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を調べるオンライン調査を実施し、その結果を発表しました。調査では、HIV陽性者とHIV感染リスクの高い人々(以下「ハイリスク者」)は、コロナ禍において検査や薬剤の服用などの必要不可欠な治療の中断や遅延を余儀なくされていることが明らかになりました。HIV陽性者が580万人を超え、毎年30万人が新たにHIVに感染し、AIDS関連疾患により約16万人が死亡する地域でHIVケアが中断されると、HIVの伝播が増加する、死亡者が数千人増加するといった重大な影響を招く可能性があります1,2。今回のアジア地域で収集したデータからは、現在みられるギャップや障壁に関する知見が得られ、HIVに不可欠な医療サービスを持続するために実施可能な行動についての洞察を提供しています。

1 
UN Joint Programme on HIV/AIDS (UNAIDS). (2020). UNAIDS Data 2020.
2 UNAIDS, press release, 11 May 2020. The cost of inaction: COVID-19-related service disruptions could cause hundreds of thousands of extra deaths from HIV.


調査結果は、アジア・太平洋地域の10カ国の回答者1,265名の結果に基づきます。回答者1,265名のうち667名はHIV陽性者、455名がハイリスク者、および143名は抗HIV薬を処方する医療関係者でした。回答者全体のほぼ50%が検査、治療や予防療法などを受けるための病院や検査・治療施設への来院が減少していると回答しました。Kantar Health社による回答の分析結果によると、以下のことがわかりました。

  • COVID-19パンデミックの影響はHIV検査で最も大きく、特にハイリスク者の検査に大きな影響を及ぼしています。回答したハイリスク者のほぼ半数(47%)が、コロナ禍においてHIV検査の頻度が低下したと報告しています。検査を阻む主な障壁として、パンデミックによる移動制限(35%)や、新型コロナウイルス感染に対する懸念(42%)が挙げられました。
  • COVID-19パンデミックは、医薬品の処方や服用継続にも大きな影響を及ぼしています。医療関係者の約60%は、ハイリスク者に対する HIV予防薬*の処方が減少したと報告しており、ハイリスク者の約42%はCOVID-19パンデミック以降はHIV予防薬の服用頻度が減少したか、服用を中止したと回答しました。また、医療関係者の約43%は、HIV陽性者への抗HIV薬の処方が減少したと報告しています。処方中断の主な原因の一つとして、移動制限が挙げられました。(*本邦においては未承認)

  • HIV薬への長期にわたる継続的なアクセスが、大きな懸念事項です。HIV陽性者の51%とハイリスク者の44%は、コロナ禍における抗HIV薬とHIV予防薬へのアクセスを懸念しています。

マラヤ大学医学部部長で国際エイズ学会の理事長であるアディーバ・カマルザマン教授Dr. Adeeba Kamarulzaman)は、「COVID-19パンデミックは、全世界的にHIVに関する医療サービスの提供に重大な影響をもたらしており、低所得国、高所得国ともに影響が生じています。治療へのアクセスと提供の中断は、HIV陽性者とハイリスク者に悪影響を及ぼし、合併症のリスクが高まる可能性があります。今回の調査は、検査、治療と予防へのアクセスが大きく損なわれていることを示しており、今後の公共医療の危機やサービス中断の防止法として遠隔医療による地域分散等の対策強化が必要であることを示す内容でもあります。」と述べています。

今後の医療アクセスと提供のための遠隔医療の採用
コロナ禍における医療提供に遠隔医療が活用されており、調査に参加した処方箋発行者の大部分(72%)が今後は遠隔医療が簡便で効率の高い方法として採用され、より多くのHIV陽性者やハイリスク者に治療を提供することができると期待しています。調査に参加した医療関係者の約85%がパンデミックの進行中に電話(60%)やビデオ通話(32%)でHIV陽性者やハイリスク者に対応し、半数以上(57%)が処方を継続しました。これに対し、HIV陽性者とハイリスク者の約34%は、遠隔医療サービスのうちで最も良い点は、医薬品へのリモートアクセスであることと述べ、続いて電話(33%)とビデオ通話(28%)での診察が受けられる点を挙げました。

今回、日本における調査のサポーターとして協力いただいた順天堂大学大学院 医療看護学研究科 特任教授井上洋士先生は、「日本における動向としても、COVID-19がHIV検査数の減少に大きく影響しており、アジア各国での結果と一致しているといえます。一方、処方やアクセスにおいては本邦では電話診療等の遠隔診療の緩和、さらに医療関係者や調剤薬局の方々の努力により、服薬継続への影響は最小限に食い止められているのではないかと思います。しかしながら、今後も続くと思われるコロナ禍の新しい生活様式において、HIV検査数を増加させるだけでなく、HIV治療で最も重要な服薬アドヒアランスを確実に維持し、多くの患者さんが必要とするメンタル面でのサポートを直接対面では会いにくい状況の中でどのように実施していくか、これらの検討が重要です。」と述べています。

ギリアド・サイエンシズのメディカルアフェアーズ担当バイスプレジデントのベティ・チャン(Betty Chiang)は、「今回の意識調査は、パンデミックの先行きがみえない今、必要不可欠なHIV治療へのアクセスを確保することが公衆衛生上重要な項目であることを示しています。ギリアドは、公衆衛生当局から医療関係者、患者団体や市民社会に至るHIVコミュニティと連携し、治療におけるブランクを解消し、この厳しいコロナ禍においても、またコロナ後の時代においても、引き続きHIVケアサービスを継続してまいります。」と述べています。


調査について
「コロナ禍におけるアジアのHIV診療に関するオンライン調査」と題した調査は、2020年10月から11月中旬にかけてアジア地域の10の国・地域(香港、インド、日本、マレーシア、フィリピン、シンガポール、韓国、台湾、タイおよびベトナム)にてギリアド・サイエンシズの資金提供によりKantar Health社が実施しました。調査は、アジア地域の各国・地域の学会、HIV患者団体やケアセンターにて実施しました。HIV陽性者667名、ハイリスク者455名、抗HIV薬を処方する医療関係者143名からなる1,265名が調査に参加し回答しました。調査は、コロナ禍におけるHIV治療へのアクセスの現状、ギャップや障壁を評価する目的で行われました。調査結果はコロナ禍がHIV治療に及ぼす影響を明らかにするものであり、保健医療システムやHIVコミュニティがHIVケアサービスを継続し、さらなる混乱を招かないために活用できる戦略に関する洞察を提供しています。

ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズ・インクは、医療ニーズがまだ十分に満たされない分野において、革新的な治療を創出、開発、商業化する研究志向のバイオファーマ企業です。ギリアドは、生命を脅かす病を抱える世界中の患者さんの治療法に変革をもたらし、より簡便な治療を提供するべく活動を展開しています。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35か国以上で事業を行っています。 ギリアド・サイエンシズに関する詳細は、www.gilead.com をご覧ください。
本件に関するお問合わせ先
ギリアド・サイエンシズ株式会社 広報部
E-mail: JPPublic.Affairs@gilead.com
TEL: 03-6745-0850

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この企業の情報

組織名
ギリアド・サイエンシズ株式会社
ホームページ
http://www.gilead.co.jp
代表者
ルーク ハーマンス
資本金
0 万円
上場
非上場
所在地
〒100-6616 東京都千代田区丸の内グラントウキョウサウスタワー 16F
連絡先
03-6837-0055

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