ギリアド・サイエンシズ、開発中のlenacapavirの有効性が26週間持続することを示すデータをレトロウイルス・日和見感染症会議(CROI)で発表

―lenacapavirは多剤既治療耐性HIV感染者においてウイルス学的抑制を維持―
―レイトブレーキングセッションで発表された前臨床データはHIV予防を目的とする長期間作用型の薬剤として、lenacapavirのさらなる開発を支持―

ギリアド・サイエンシズ(本社:米カリフォルニア州フォスターシティ、ナスダック:GILD、以下「ギリアド」)は本日、現在開発中の長期間作用型HIV-1カプシド阻害剤 lenacapavirをすでに多くの薬剤で治療を受け、多剤耐性がみられるHIV-1感染症の患者さんを対象にした第II/III相CAPELLA試験の追加結果を発表しました。データは、既に発表されている主要評価項目の肯定的な結果をさらに裏づける内容です。今回発表された有効性に関する新たな中間結果は、治療選択肢が限られ、アンメットメディカルニーズが高く、治療が困難な患者さんらにlenacapavirを6カ月に1回皮下投与したところ、26週間にわたりウイルス学的抑制が得られたことを示しています。今回の解析対象は、現在実施中のCAPELLA試験の維持療法期のデータで、lenacapavirを最適なバックグランドレジメンと併用投与したところ、初回の皮下投与から26週が経過した参加者の73%(n=19/26)でウイルス量が検出限界を下回りました(<50 copies/mL)。データは、第28回レトロウイルス・日和見感染症会議(バーチャルCROI 2021)にて発表されました。

ギリアドのウイルス治療領域シニアバイスプレジデントのダイアナ・ブレイナード(Diana Brainard, MD)は次のように述べています。「多くの治療歴がある多剤耐性HIV感染がみられる人々の一部は、現在使用可能な治療レジメンではウイルス量が抑制された状態を維持することができません。CAPELLA試験は、現治療でウイルス検出限界を上回るHIVがみられ、多剤耐性のために残る治療選択肢がほとんどない治療が困難な患者さんを対象としました。試験では最適なバックグランドレジメンにlenacapavirを追加投与したところ、被験者の大部分は26週の時点でウイルス学的抑制に到達しました。CAPELLA試験の中間結果は、lenacapavirが将来のHIV治療レジメンの基礎をなす長時間作用型薬剤となる可能性を示しています」

lenacapavirは、HIV-1感染症の治療を目的とする長時間作用レジメンの基盤として他の抗レトロウイルス薬と併用する薬剤として開発中です。lenacapavirは、HIVのカプシドコアの脱殻を阻止し、ウイルスRNA/DNAの核への転座におけるカプシド蛋白の機能を阻害し、また、カプシドコアの構築を阻止することにより、HIVの複製を阻害するファーストインクラスのカプシド阻害薬となる可能性があります。lenacapavirは、承認されれば、HIV-1感染症の治療薬として初のHIVカプシド阻害薬となる可能性があります。2019年5月、FDAは、多くの治療歴のある多剤耐性のみられるHIV-1感染者に対して他の抗レトロウイルス薬と併用投与する薬剤として開発するlenacapavirを画期的治療薬に指定しました。

CAPELLA試験の試験責任医師で、ニューヨーク・プレスビティリアン・クイーンズ病院感染症科部長のソラナ・セガール-モラー医師(Sorana Segal-Maurer, MD)*は次のように述べています。「抗レトロウイルス療法は大幅な進歩を遂げ、HIV感染者の多くでは、指示通り服薬すればウイルスを抑制できるようになりました。しかしながら、私が診察する患者さんの中には、複雑な服薬スケジュールが守れない患者さんもおられ、ウイルスを抑制し続けることができず、薬剤耐性が生じてしまうおそれがあります。この問題は、まさにアンメットニーズを示すもので、多剤耐性がみられるために現在ある薬剤でウイルスが抑制できる治療レジメンを構築することが困難なHIV感染者に新たな治療選択肢が必要であることを示しています。CAPELLAの結果は、lenacapavirの6カ月に1回皮下投与する長時間作用型薬剤としての可能性を示すもので、完全な治療レジメンの一部として本剤を用いることで、このような患者さんの多くでウイルスを抑制し、薬剤耐性を克服できる可能性が期待される内容でした」

ギリアドは、CAPELLA試験の新たな中間結果の他にも、lenacapavirの類縁物質であるGS-CA1によるHIV曝露前予防(PrEP)を非ヒト霊長類で検討した前臨床試験の結果を発表しました。この試験では、GS-CA1を低用量(150 mg/kg)、高用量(300 mg/kg)またはプラセボを1回注射し(各群8匹)、その後最長で15週間にわたりSHIVの直腸内接種を毎週、接種量を上げつつ行い、その後24週間にわたり観察しました。プラセボ群では8匹中8匹に感染がみられたのに対し、GS-CA1の低用量群では8匹中2匹、高用量群では8匹中5匹には感染がみられず、感染リスクがそれぞれ86%(p=0.0061)および96%(p=0.0002)低下しました。CA-CA1群での感染は、薬物濃度が著しく低下した後に生じました。これらの前臨床データは、長時間作用型カプシド阻害剤がHIV感染予防に有用である可能性を示すもので、将来的にはlenacapavirの単独投与によるHIV感染予防効果について臨床研究を進める上で有用と考えられます。

ギリアドは既に、シスジェンダーの思春期女性と若年成人女性を対象にlenacapavirを6カ月に1回注射するPrEPとしての有用性を評価する計画を発表しています。さらに、男性と性行為をするシスジェンダー男性、トランスジェンダーおよびノンバイナリージェンダーの人々を対象としたlenacapavirによるPrEPを検討する試験も計画しています。いずれの試験も、2021年に開始する見込みです。

バーチャルCROI 2021では、上記以外にもlenacapavirのデータが発表され、薬物相互作用の可能性、軽度から中等度の肝機能障害を有するHIV感染者における用量反応や、耐性プロファイルに関する所見が示されました。CAPELLA試験に関するさらなるデータは、今後学会で発表する予定です。

lenacapavirは開発中の化合物であり、各国の規制当局のいずれからも承認されておらず、その安全性と有効性は確立されていません。現在、HIV感染やエイズの治癒をもたらす治療薬は存在しません。

CAPELLA (NCT04150068) 試験について
CAPELLAは第II/III相無作為化二重盲検プラセボ対照グローバル多施設共同試験で、多くの治療歴のある多剤耐性HIV-1感染症の患者さんを対象にギリアドが現在開発中の長時間作用型HIV-1カプシド阻害剤 lenacapavirを検討する試験です。CAPELLAには、HIV感染症の男性と女性が参加し、北米、欧州とアジアの研究施設で実施中です。

CAPELLA試験では複数のクラスのHIV薬に耐性を示し、現治療でもウイルス量が検出可能である患者さん36例を盲検下でlenacapavirまたはプラセボの14日間の経口投与に2:1の割合で割り付け(無作為化コホート)、その間は現行の失敗したレジメンを続行しました(機能的単剤療法)。さらに36名の患者さんを追加し、非無作為化コホートとして検討しました。主要評価項目は、無作為化コホートにおける機能的単剤療法終了時点のHIV-1 RNAのベースラインからの減少度が0.5 log10 copies/mL 以上となった患者さんの割合としました。

この試験では主要評価項目を達成し、無作為化コホートのlenacapavir投与群では14日間の機能的単剤療法の期間中にベースラインとの比較でウイルス量の臨床上意義ある減少(≧0.5 log10 copies/mL以上)がみられた被験者の割合が、プラセボ群を有意に上回りました(88% vs. 17%, p<0.0001)。機能的単剤療法の実施中のlenacapavir投与群(n=24)のウイルス量の平均減少量はプラセボ群(n=12)との比較で有意差がみられました(-1.93 log10 copies/mL vs. -0.29 log10 copies/mL, p<0.0001)。

14日間の機能的単剤療法期に続き、無作為化コホートの被験者はlenacapavirの非盲検投与と最適化したバックグランドレジメンの併用を開始し、非無作為化コホートは第1日からlenacapavirと最適化したバックグランドレジメンの併用を開始しました。本試験の維持療法期は現在も継続中で、lenacapavirの6カ月に1回の皮下投与と最適化したバックグランドレジメンの併用療法の安全性と有効性を評価しています。

lenacapavirの忍容性はおおむね良好でした。本試験で現在までに高頻度でみられた有害事象は、注射部位の腫脹(22%)、紅斑(18%)および結節(18%)でした。試験薬に関連する重篤な有害事象はなく、投与中止に至った有害事象も認められませんでした。参加者のうち2例に試験治療下でカプシド変異が現れましたが、その後もlenacapavirの投与を継続し、ウイルス抑制が再度得られました。

詳細については、こちらをご覧ください。https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04150068

lenacapavirについて
lenacapavirは、HIV感染症の治療と予防を目的として現在開発中の長時間作用型HIV-1カプシド阻害剤です。lenacapavirの作用機序は多段階にわたり、現段階で承認を得られている抗ウイルス薬のクラスとは異なるもので、HIV感染症の患者さんやHIV感染リスクの高い人々に対する長時間作用型レジメンの開発に新たな道筋を作る薬剤として開発されました。大部分の抗ウイルス剤はウイルス複製の1段階のみに作用しますが、lenacapavirはHIVのライフサイクルの複数の段階を阻害するよう開発された薬剤で、現在ある薬剤クラスとの交差耐性は認められていません。

lenacapavirの安全性、有効性と用量は、現在実施中の複数の臨床試験で評価中です。AIDS 2020で発表された現在実施中の第I相試験のデータからは、HIV治療試験と予防試験のいずれにおいてもlenacapavirの6カ月に1回の皮下投与を検討可能であることが示されています。IDWeek 2020において、ギリアドはシスジェンダーの女性、男性と性行為をする男性とトランスジェンダーの人々に6カ月に1回注射するPrEP薬としてのlenacapavirを評価する計画を発表しました。これらの試験は、2021年に開始する見込みです。


ギリアド・サイエンシズについて
ギリアド・サイエンシズは、すべての人々にとって、より健康な世界の実現を目指し、30年以上にわたり医療の革新を追求し、飛躍的な進歩を遂げてきたバイオ医薬品企業です。当社はHIV、ウイルス性肝炎、がんなどの生命を脅かす疾患の予防と治療のため、革新的な医薬品の開発に取り組んでいます。カリフォルニア州フォスターシティに本社を置き、世界35カ国以上で事業を行っています。ギリアドは30年以上にわたり、HIV領域におけるリーディング・カンパニーとして、治療、予防、検査、治療連携、および治療研究の進歩を推進してきました。現在、世界中で何百万人ものHIVと共に生きる人が、ギリアドまたはギリアドの製造パートナーから提供される抗レトロウイルス療法を受けています。

ギリアドの将来予想に関する記述
本プレスリリースは、1995年米国民事証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)で定義される「将来予測に関する記述」に該当し、いくつかのリスクや不確定要素などの要因を含む場合があります。これにはlenacapavirやGS-CA-1の試験を含む現在実施中、および今後の臨床試験で良好な結果が得られない可能性があるほか、これらの試験のうち 1 件またはそれ以上を現在見込まれている日程で完了できない、また試験の中止に至る可能性もあります。また、ギリアドがlenacapavirまたはGS-CA1の開発を中止する戦略的な判断を下す場合や、FDAやその他の規制当局がlenacapavirやGS-CA1を承認しない可能性があり、また承認されても著しい制限が課される場合もあります。その結果、lenacapavirやGS-CA1が製品化されない可能性があります。過去の事実以外のすべての記述は、将来予想に関する記述とみなされる可能性があります。これらのリスクやその他のリスクについては、米国証券取引委員会に提出している臨時報告書(フォーム8-K)、四半期報告書(フォーム10-Q)および年次報告書(フォーム10-K)で随時詳細に説明しています。これらのリスクや不確定要素、その他の要因により、実際の結果が「将来予想に関する記述」と著しく異なったものとなる可能性があります。 過去の事実以外のすべての記述は、将来予想に関する記述とみなされる可能性があります。このような将来予想に関する記述は将来の業績を保証するものではなく、リスクや不確定要素を含むものであるため、将来予想に関する記述のみに依拠することのないようご注意ください。将来予想に関する記述はすべて、ギリアドが現在入手できる情報に基づいており、ギリアドは将来予想に関する記述を更新する義務を負いません。

*ソラナ・セガール-モラー医師(Sorana Segal-Maurer, MDは、Gilead Sciences, Inc. より顧問料を受けています。
本件に関するお問合わせ先
お問い合わせ先:
ギリアド・サイエンシズ株式会社 広報部
E-mail: JPPublic.Affairs@gilead.com
TEL: 070-2492-5176

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この企業の情報

組織名
ギリアド・サイエンシズ株式会社
ホームページ
http://www.gilead.co.jp
代表者
ルーク ハーマンス
資本金
0 万円
上場
非上場
所在地
〒100-6616 東京都千代田区丸の内グラントウキョウサウスタワー 16F
連絡先
03-6837-0055

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