京都高島屋で、2017年12月14日(木)から、「用の美とこころ 民藝展」(展示即売)を開催します。(12月18日まで)
大正時代末期に、思想家の柳宗悦(1889-1961)を中心に、陶芸家の濱田庄司、河井寬次郎、バーナード・リーチらが提唱した民芸運動は、高価で贅沢な美術品ではなく、名もない工人が作った、日常の生活道具が持つ無意識の美しさを知ろうという運動でした。
やがて、民芸運動は大きな共感を呼び、柳が、全国から蒐集した民芸品を展観する「日本民藝館」が1936年(昭和11年)、東京・駒場の地に設立されます。以来、優れた民芸品の蒐集や保存、展覧会の活動などがなされ、2016年10月に日本民藝館は創設80周年を迎え、本年は、民芸提唱から90年を迎えました。
高島屋は当初から民芸の普及を応援してきました。「日本民藝館」の設立に先立って、約2万点を展示即売した「現代日本民藝展覧會」を日本橋と大阪の高島屋で開催(1934年、1935年)し、日本で初めての大規模催として話題になり、「日本民藝館」設立の機運につながるなど、民芸と長きにわたって関わってきました。高島屋はこれからも、生活文化を創造し、伝統を継承していく百貨店として、「美しい暮らしのお手伝い」の観点から、誠実につくられた民芸の器や道具をご紹介していきたいと考えています。
「用の美とこころ 民藝展」では、全国の民芸品約1万点を一堂に展示・即売します。
【会場構成】
民芸のこころを伝える「配り手」であり、民芸運動と共に歩み、現在も「民芸のセレクトショップ」として注目を集める3つの名店〔鳥取たくみ工芸店、くらしのギャラリー(岡山県民芸振興株式会社)、銀座たくみ〕を会場でご紹介して販売します。あわせて、高島屋のバイヤーが各地をめぐり、「作り手」たちと出会って集めた、各地の貴重な民芸が勢ぞろい。約1万点を展示・即売いたします。
■柳宗悦の民芸運動の継続・実践を担う、「配り手」たち
○鳥取たくみ工芸店(鳥取県)
昭和7年に誕生した日本初の民芸店。柳宗悦の民芸運動に共感した吉田璋也が設立し、民芸の美(用の美)を日常の生活に取り入れるため、自らがプロデューサーとなって現代の用途に合わせて新たにデザインや、製作の指導を行い、普及する活動(=「新作民芸運動」)を行いました。鳥取の窯元の器や工芸品などが揃います。
【牛ノ戸焼】鳥取県 染分 6寸皿(径約18cm)4,644円(10点限り)
○くらしのギャラリー(岡山県)
昭和22年設立。終戦後、各地方での民芸運動が活発に動き始める中、創設者の杉岡泰も帰郷した岡山で、初代倉敷民藝館館長・外村吉之介、大原美術館・大原総一郎、天満屋百貨店・伊原木伍郎の協力のもと、天満屋百貨店の売場の一角で民芸品の販売・普及活動を開始。岡山だけにとどまらず、全国の作り手とともに、「今の暮らしに寄り添う民芸品」の頒布活動を行っています。今回は、倉敷ガラスや倉敷本染手織研究所、美作めんつなど、岡山の手仕事をご紹介します。
〈倉敷ガラス〉酒瓶(高さ約28cm)24,624円(現品限り)
※色・サイズ違いがあります。
○銀座たくみ(東京都)
昭和8年設立。柳宗悦、河井寬次郎、濱田庄司、吉田璋也たちにより、地方の民芸品を振興し、現代生活に適したものとして普及するための店として東京・銀座に作られました。日本民藝協会も半年あとに発足し、共同して高島屋での150坪以上の会場を使って、全国から集めた民芸品の展示即売会を昭和9年に開催しました。その後も80余年にわたって日本や海外の民芸の品や手仕事を支え、広め続けています。
【型染め】静岡県〈大橋秀雄〉のれん「春の器」(丈約124cm・綿100%)
28,080円(3点限り)※柄は一例です。
■現代の、民芸の「作り手」たちの意欲作を一堂に
【商品一例】
○長野県 松本民芸家具
昭和23年、民芸運動に参画した池田三四郎が300年以上続く信州・松本の伝統的木工を継承すべく創業し、初期民芸運動を牽引してきた柳宗悦、バーナード・リーチなどの諸先達によって育てられてきた松本民芸家具。今も変わらず国産の広葉樹材を用い、伝統の手仕事により生み出された家具を展示販売いたします。
〈松本民芸家具〉猫脚ウィンザーチェア
(約63×65×高さ116.5〈シート高さ45〉cm)
298,080円※受注生産
○愛知県瀬戸市 瀬戸本業窯
江戸時代の後期の創業で約250年の歴史をもつ瀬戸焼の窯元。民芸の思想に基づき、創業以来、手仕事による実用陶器を作り続けています。可愛らしくてどこか上品な黄瀬戸や、伝統的な柄で描く麦わら手や馬の目など、瀬戸の土と釉薬が醸し出す、味わい深い器が揃います。
〈瀬戸本業窯〉麦わら手めし碗(径約13.5×高さ7cm)3,456円
■まだまだ出会える!民芸の精神を受け継ぐ、話題の店や作り手たち
○plug(兵庫県)
六古窯のひとつとされる丹波焼をはじめ、丹波布など、古くからものづくりが根付く土地、丹波篠山や、周辺地域の作家作品を紹介する生活道具店。丹波焼を中心に、暮らしの中で使いやすいモノ、暮らしに根ざしてものを作る職人たちの実用品にこだわり、独自の感性で選定し提案しています。
〈前野直史〉slipware(スリップウェア)角皿(約28×24cm)
21,600円(2点限り)
■岡山県 須浪亨商店による「ワークショップ」
日時:2017年12月15日(金)
午後1時~「い草 鍋敷き」
午後3時~「い草 瓶かご」 (所要時間:各回約60分)
場所:7階催会場内にて
参加費:各回2,160円 / 定員:各回先着8名様
※12月14日(木)から、会場にて先着順で受付。
※小学生以下の方は、保護者の方がご同伴ください。
■特別企画「民藝運動フィルムアーカイブ」映像公開(観覧無料)
日時:各日午前10時~午後7時30分(1回約30分)
※ただし、12月15日(金)は、午後4時30分から。最終日は午後6時30分まで。
場所:7階催会場内特設コーナーにて
カナダ人映画監督マーティー・グロス氏は、40年以上にわたり日本の民芸運動に関する映像・録音記録を、各方面の協力を得て収集・保存してきました。これらの記録を修復し、デジタル化をしたうえで、バーナード・リーチ、濱田庄司らのナレーションとともに再構成して、民芸運動を人類の確かな記憶としてとどめようとする取組みが、「民藝運動フィルムアーカイブ」です。
ここには、マーティー・グロス氏自身が、晩年のバーナード・リーチから直接託された貴重な映像フィルムや、録音素材が多く含まれています。未公開・未発表の記録も多く、それらを通じて柳宗悦や濱田庄司、バーナード・リーチら先駆者たちの活動や、当時のものづくりの現場の様子をうかがい知ることができます。
民芸活動は世紀を超え、国境を越えて受け継がれる、日本の重要な文化運動です。しかしながら、社会状況の変遷とともに、初期民芸運動が関わった技術の中には、後継者不足などの問題により、すでに姿を消してしまったものや忘れ去られようとしているものも多く見受けられます。またそれらを記録した古いフィルムも同様に、容赦ない時の経過による劣化を免れることは大変困難です。そのため、これらオリジナルフィルムの修復や、デジタル化が急がれています。
マーティー・グロス氏は、自身のライフワークとしてこの作業に取り組むと同時に、度重なる来日の都度、関係者らへの取材やインタビューを重ねてきました。民芸運動・文化の保存のための助成や寄付などが、その活動を支えています。この「民藝運動フィルムアーカイブ」は、平成30年を目途に一応の完成を見込こめるに至っており、完成後には美術館・博物館などで公開するとともに、DVD化や、カナダ・トロント大学との共同事業として、オンライン公開の「デジタルアーカイブ化」も計画されています。今回は、高島屋で開催する「民藝展」のために貴重な記録映像を編集。会場で公開します。
※手作りのため、サイズ・色・風合いなど仕上がりが1点ずつ異なります。
※価格は消費税を含む総額にて表示しております。
【開催概要】
用の美とこころ 民藝展【展示即売】
会 期:2017年12月14日(木)~12月18日(月)
会 場:京都高島屋 7階催会場(京都市下京区)
時 間:午前10時~午後8時 ※最終日は午後7時閉場
協力:日本民藝協会
【高島屋 用の美とこころ 民藝展 特設サイト】
http://www.takashimaya.co.jp/store/special/mingei/
【お問い合わせ】
京都高島屋
京都市下京区四条通河原町西入真町52
TEL:(075)221-8811(代)