昭和大学歯学部・徳島文理大学薬学部・理化学研究所らの共同研究グループが毛包と表皮の形成における亜鉛の役割を解明



徳島文理大学(学長:桐野豊)薬学部の深田俊幸教授(昭和大学歯学部兼任講師・理化学研究所客員研究員)、昭和大学(学長:小出良平)歯学部の美島健二教授、理化学研究所(理事長:松本紘)らの共同研究グループは、生体内の亜鉛が皮膚の毛包と表皮の形成に重要であることを、マウスと培養細胞を用いた研究から明らかにした。この成果は『米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America)』(電子版)に米国東部時間10月23日(月)午後3時(日本時間10月24日(火)午前4時)に掲載された。




【本研究成果のポイント】
・亜鉛の輸送体「ZIP10」は毛包と表皮の形成に必須
・「ZIP10」は上皮性組織を造る細胞の生存に必要
・毛や皮膚の形作りにおける亜鉛の新たな役割解明に貢献

 亜鉛は生命活動に必要な微量元素の1つであり、生体内における亜鉛は、皮膚・骨・筋肉に多く存在している。何らかの原因によって生体内の亜鉛量が減少すると、皮膚炎や骨密度の低下などを発症する「亜鉛欠乏症」となる。特に、皮膚表皮の脆弱化や脱毛は亜鉛の欠乏によって現れやすい症状の一つとして知られており、これらの組織の形成や維持に亜鉛が重要な役割を果たしていると考えられている[1]。しかし、これまで表皮や毛を形成する細胞での亜鉛の働きは十分に解明されていなかった。

 深田教授らの共同研究グループ[2]は、皮膚の毛包に限局的に発現する亜鉛の輸送体(亜鉛トランスポーター)[3]「ZIP10」に注目し、その役割についてマウスと培養細胞を用いた実験から解明に挑んだ。その結果、ZIP10が欠損すると表皮の形成が著しく阻害され、皮膚のバリア機能[4]が失われることが分かった。また、毛包の形成も阻害されて、ZIP10の欠損が毛の形成にも支障をきたすことが判明。さらに詳細に調べると、毛や表皮などの上皮性組織の形作りに重要な転写因子であるp63の活性が、ZIP10の欠損によって低下することが分かり、ZIP10が輸送する亜鉛がp63の活性制御に関与していることが明らかになった。

 今回の成果は、亜鉛トランスポーターZIP10が毛や皮膚の形成に必要であることを示している。今後、ZIP10の機能を詳細に調べることで、毛や皮膚に関連する病気においてZIP10が有用な治療ターゲットとなることが期待される。

※研究内容の詳細は添付PDF参照

■原論文情報
<著者>
 Bin BH, J. Bhin, M. Takaishi, K. Toyoshima, S. Kawamata, K. Ito, T. Hara, T. Watanabe, T. Irie, T.Takagishi, SH. Lee, HS. Jung, S. Rho, J. Seo, DH. Choi, D. Hwang, H. Koseki, O. Ohara, S. Sano, T. Tsuji, K. Mishima, *T. Fukada. (*corresponding author)
<論文タイトル>
 Requirement of zinc transporter ZIP10 is epidermal development: implication of the ZIP10-p63 axis in epithelial homeostasis
<論文および雑誌情報等>
 Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 2017


【補足説明】
[1]参考文献:Zinc Signals in Cellular Functions and Disorders, Fukada T, Kambe T (eds), Springer, 2014
[2]共同研究グループ
 深田俊幸(徳島文理大学・昭和大学・理化学研究所)、川真田朗子・伊藤伽奈・高岸照久・原貴史(徳島文理大学)、入江太朗(岩手医科大学・昭和大学)、Bum-Ho Bin・美島健二(昭和大学)、 高石樹朗・佐野栄紀(高知大学)、豊島公栄・辻孝・渡辺隆・小原収・古関明彦(理化学研究所)、 Jinhyuk Bhin(The Netherlands Cancer Institute)、Su-Hyon Lee・Haeng-Sun Jung(Bio Solution Corporation)、Sangchul Rho(Pohang University of Science and Technology)、Juyeon Seo(Amorepacific R&D)、Dong-Hwa Choi(Gyeonggi Institute of Science & Technology Promotion)、Daehee Hwang(Daegu Gyeongbuk Institute of Science and Technology)
[3]亜鉛トランスポーター
 生体内の亜鉛の恒常性維持を担う亜鉛の輸送体で、その機能と構造的特徴からZIPとZnTトランスポーターに分類される。
 参考文献:Hara T. et al., Journal of Physiological Sciences, 2017, 67: 283-301.
[4]皮膚バリア機能
 体表面を被っている皮膚には、肌の水分を保持したり、外部から異物が侵入するのを防ぐ役目があり、これを皮膚バリア機能という。角質を含む表皮や皮脂膜が皮膚のバリア機能の役目を担っている。

▼発表者問い合わせ先
・深田俊幸 徳島文理大学薬学部 病態分子薬理学研究室 教授
 昭和大学歯学部 口腔病態診断科学講座 口腔病理学部門 兼任講師
 理化学研究所統合生命科学研究センター 研究員
 TEL: 088-602-8593
 FAX: 088-655-3051
 E-mail: fukada@ph.bunri-u.ac.jp

・美島健二 昭和大学歯学部 口腔病態診断科学講座 口腔病理学部門 教授
 TEL: 03-3784-8168
 FAX: 03-3784-2870
 E-mail: mishima-k@dent.showa-u.ac.jp

▼報道担当問い合わせ先
・徳島文理大学 広報企画官 戸川友美
 TEL: 088-602-8611
 FAX: 088-626-6264
 E-mail: togawa@tks.bunri-u.ac.jp

・学校法人昭和大学総務課(広報担当)
 TEL: 03-3784-8059
 FAX: 03-3784-8012
 E-mail: press@oft.showa-u.ac.jp

・理化学研究所広報室(報道担当)
 TEL: 048-467-9272
 FAX: 048-462-4715
 E-mail: ex-press@riken.jp

【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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組織名
昭和大学
ホームページ
http://www.showa-u.ac.jp/
代表者
小出 良平
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未上場
所在地
〒142-8555 東京都品川区旗の台1-5-8

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