昭和医科大学(東京都品川区/学長:上條由美)の有馬牧子准教授(医学部医学教育学講座)をはじめとする研究グループは、40~60歳の就労女性を対象とした大規模調査により、更年期症状の重さと、更年期を含む女性の健康課題について話しやすいと感じられる職場かどうかが、仕事の生産性と関連していることを明らかにしました。本研究成果は、国際学術誌『International Journal of Environmental Research and Public Health』に掲載されました。
■研究の背景
日本では働く女性の割合が年々増加しており、更年期世代の女性が長く健康に働き続けられる環境づくりが重要な課題となっています。更年期症状には、ほてりや発汗、睡眠障害、気分の落ち込みなど多様なものがあり、日常生活だけでなく仕事のパフォーマンスにも影響を及ぼすことが知られています。しかし、これらの症状が実際に仕事の生産性とどのように関連しているのか、また職場環境の要因がどのように関わるのかについては、十分なエビデンスがありませんでした。
■研究の方法
本研究では、日本全国の40~60歳の就労女性4,000名を対象にウェブ調査を実施しました。更年期症状の評価には「簡略更年期指数(SMI)」、仕事の生産性の評価には「WHO-HPQ(世界保健機関の生産性指標)」を用い、さらに「職場で女性特有の健康課題について話しやすいと感じるか」という認識について評価しました。これらのデータを統計解析し、更年期症状および職場環境と仕事の生産性との関連を検討しました。
■主な研究結果
更年期症状が重いほど、仕事の生産性が低い傾向がみられました
職場を「健康課題について話しやすい」と感じている女性では、仕事の生産性が高い傾向が認められました
更年期症状と仕事の生産性の関係には、職場環境に対する認識が関わっている可能性が示されました
■研究の意義
本研究は、更年期を個人の問題としてのみ捉えるのではなく、「職場環境」という視点から支援を考えることの重要性を示しています。働く女性が健康課題について安心して相談できる雰囲気づくりや、理解ある職場文化の形成が、仕事の生産性の向上や働きやすさにつながる可能性があります。
本研究成果は、企業や組織における更年期支援の取り組みを検討する上で、重要なエビデンスとなることが期待されます。
■今後の展望
今後は追跡データを用いた縦断解析を進め、更年期症状や職場環境の変化が仕事の生産性にどのような影響を与えるのかをさらに検証していく予定です。
■論文情報
・掲載誌:International Journal of Environmental Research and Public Health
・論文タイトル:Menopausal Symptoms, Perceived Workplace Openness, and Work Productivity among Japanese Women: Baseline Findings from a Large-Scale Cohort Study
・URL:
https://www.mdpi.com/1660-4601/23/2/186
■研究支援
本研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の支援を受けて、「ヘルスケア社会実装基盤整備事業」における研究開発課題「簡略更年期指数(SMI)のエビデンス整理と労働生産性との関連に関する研究」として実施されました。
■研究協力機関
立命館大学、愛知医科大学、帝京大学、公益社団法人女性の健康とメノポーズ協会
▼本件に関する問い合わせ先
昭和医科大学 医学部 医学教育学講座 准教授
有馬 牧子
TEL: 03-3784-8592
E-mail: makiko39@med.showa-u.ac.jp
▼本件リリース元
学校法人 昭和医科大学 総務部 総務課 大学広報係
TEL: 03-3784-8059
E-mail: press@ofc.showa-u.ac.jp
【リリース発信元】 大学プレスセンター
https://www.u-presscenter.jp/