アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)は、この度、都内在住の18歳~69歳の男女1100人に対し、「芸術文化体験についての実態調査」を実施いたしました。
近年、訪日外国人の消費傾向は「爆買い」から「コト消費」の時代に移り変わり、日本の芸術文化への関心が高まりつつあります*1。2016年の世界都市力ランキング*2では「文化・交流」分野で、東京は5位にランクイン。「文化・交流」都市として広く評価されるとともに、芸術文化の力を活用し、創造的な都市として発展してきました。しかしその一方で、実際に生活を送っている東京都民は、どれほど芸術文化に親しんでいるのでしょうか。
世界各国の人々、メディアが東京に集結する2020年は、ホスト国として日本が誇る芸術文化を世界に発信するまたとないチャンス。今回の調査では、五輪開催都市である東京に住む人々の、芸術文化への関心度や行動の実態の一端が明らかになりました。
〈調査結果サマリー〉
1. 8割以上が、「芸術文化を“ライブ”で体験・鑑賞することは大切」と回答
10代~60代の男女の78.2%が「芸術文化に興味がある」と回答しており、その理由としては、「好きだから(79.8%)」が最も多く、次いで「知識や教養を養うことができるから(28.1%)」となりました。また84.4%が、「芸術文化を“ライブ”で体験・鑑賞することは大切」と回答。関心度の高さが明らかになりました。
2. 一方、過去1年間の芸術文化体験の頻度は? 「月1回」以上は、約2割程度
過去1年間の芸術文化体験の頻度を見てみると、文化体験への関心に反して、月に1回以上、ホール、映画館、美術館などに直接足を運んで芸術文化を体験・鑑賞している人は、23.4%という低い結果に。体験・鑑賞をしない/しないと思う理由としては、「お金がかかるから(48.5%)」、「時間がなかなかとれないから(35.5%)」などが挙げられました。
3. 芸術文化体験の中身を見てみると・・・? “ライブ”体験の機会が圧倒的に少ない
過去1年間に足を運んで体験・鑑賞したものを問うと、「舞踊(バレエ、ダンス等)」、「伝統芸能(歌舞伎、日本舞踊、能・狂言、伝統音楽等)」、「芸能(お笑い、漫才等)」など、“ライブ”で楽しむ分野の体験機会が圧倒的に少ない、という都民の実態が浮き彫りになりました。年代によっては1割にも満たないほど。「映画(劇映画、ドキュメンタリー、ショートフィルム、ライブビューイング、野外上映等すべて)」は約7割で体験機会が多く、それに次ぐのが「美術(絵画、彫刻、陶芸、写真等)」、「音楽(オーケストラ、ロックフェス等)」などで、ともに4割程度という結果でした。
4. 都民が求めているのは、「無料」「街中で開催」のアートイベント!
日常的に芸術文化に触れている人は少なかったものの、関心度自体は高い。「どのようなアートイベントなら足を運んで体験・鑑賞したくなると思うか?」という問いに対しては、「無料であること(49.9%)」、「街の広場などで開催され、予約が必要ない(35.5%)」が目立つ結果となりました。
■調査結果のまとめ
今回の調査結果から、全ての年代において芸術文化体験への興味・関心度は高いものの、日常的に直接足を運んで体験・鑑賞をする人は少ないということが明らかになりました。原因として多く挙げられたのは、交通費やチケット代などのお金がかかることや、時間が中々とれないこと。だからこそ、「無料である」、「街の広場などで開催され、予約が必要ない」といったアートイベントであれば足と運びたくなると回答した人が多いという結果になりました。
■「文化プログラム」とは?
IOCが定めるオリンピック憲章に、「オリンピズムはスポーツを文化、 教育と融合させ、 生き方の創造を探求するものである」と明記されています。この精神に基づき、アーツカウンシル東京は、文化面のレガシーを2020年以降に継承し、文化都市東京として、映画、音楽、美術、演劇、伝統芸能等、現在様々なジャンルの「文化プログラム」を、街中の広場など、野外での開催を中心に展開しています。「文化プログラム」が盛り上がれば、日本が誇る芸術文化の魅力を世界に発信する機会が増加します。2020年に向けて、今、東京のいたるところで行われる趣向を凝らした多彩な「文化プログラム」に足を運んでもらい、オリンピック・パラリンピックの「参加者」として開催気運を高めていただきたいと思っております。
■アーツカウンシル東京がこの秋展開する、街中で行われる「文化プログラム」
・「六本木アートナイト2017」/ 日程:9月30日(土)・10月1日(日)/場所:六本木エリア
生活の中でアートを楽しむという新しいライフスタイルの提案と、大都市東京における街づくりの先駆的なモデル創出を目的に開催する、一夜限りのアートの饗宴です。今回のテーマは「未来ノマツリ」。メインプログラムのアーティストに決定した、写真家・映画監督の蜷川実花が贈る美しく妖艶な世界にご期待ください。
・「東京大茶会2017」/日程:10月7日(土)・8日(日)/場所:江戸東京たてもの園、10月21日(土)・22日(日)/浜離宮恩賜庭園
都内の庭園と野外博物館において、様々な茶道の流派が一堂に会する大規模な茶会を催し、お茶の文化とそれを育んできた江戸・東京の文化を国内外へ紹介します。本格的な茶席をはじめ、秋空の下で楽しむ野点や初心者向けの茶道教室など、茶道に馴染みのない方や海外の方などが「お茶の文化」に親しみ、気軽に楽しめる茶会です。
・「MOTサテライト2017秋」/日程:10月7日(土)~11月12日(日)の23日間/場所:清澄白河エリア、東京藝術大学・アーツ・アンド・サイエンス・ラボ
東京都現代美術館が改修のための休館中に、清澄白河地域周辺のギャラリーやカフェなどの協力を得て開催するアートプロジェクトです。作品展示だけでなく、ワークショップ、パフォーマンス、トークイベントなど多彩なプログラムを提供します。第2回目となる今回は、様々な視点からのプロジェクトを地域と連携して展開します。
・「アンサンブルズ東京2017」/日程:10月15日(日)/場所:東京タワー
音楽家・大友良英のディレクションのもと、「プロジェクトFUKUSHIMA!」と共に、参加したすべての人たちが、それぞれの立場やあり方を超えて、自分たちの手で音楽の場を作り上げる音楽祭です。今年のゲストはUA、坂本美雨等。
・「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり2017」/日程:11月11日(土)・12日(日)/場所:神楽坂エリア
伝統と現代が融合する神楽坂エリアの毘沙門天善國寺や赤城神社、神楽坂通り、石畳の路地などを舞台に、数々の粋でスタイリッシュな伝統芸能ライブを開催します。また、芸者衆とのお座敷遊び体験、スタンプラリーなど、外国の方や若い世代の方も、誰もが気軽に楽しく日本の伝統文化・芸能、そして“まち”と出逢える2日間です。
<調査概要>
調査名:芸術文化体験についての実態調査
調査主体:アーツカウンシル東京
調査方法:インターネット調査
調査対象:東京都の18歳~69歳の男女 1100人
調査期間:2017年8月10日~8月15日
参考:*1:観光庁「訪日外国人消費動向調査 平成28年年間値」
http://www.mlit.go.jp/common/001179430.pdf
*2:森記念財団 都市力戦略研究所 世界の都市総合力ランキング(GPCI) 2016
http://www.mori-m-foundation.or.jp/ius/gpci/
●アーツカウンシル東京
世界的な芸術文化都市東京として、芸術文化の創造・発信を推進し、東京の魅力を高める多様な事業を展開しています。新たな芸術文化創造の基盤整備をはじめ、東京の独自性・多様性を追求したプログラムの展開、多様な芸術文化活動を支える人材の育成や国際的な芸術文化交流の推進等に取り組みます。また、2020年に向けて、文化プログラムを牽引するプロジェクトを展開しています。
- 本件に関するお問合わせ先
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公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京
アーツカウンシル東京広報代行: 株式会社プラップジャパン 岩坂、金子、松葉
TEL:03-4580-9106 FAX:03-4580-9132
E-mail:artscouncil-tokyo@prap.co.jp