金沢大学(石川県金沢市)は4月27日、富山県南砺市に「金沢大学五箇山セミナーハウス」を開所した。これは、2014年12月に同市と締結した包括連携協定に基づいて、地域社会の形成および発展に寄与するため、世界遺産である五箇山相倉合掌造り集落内に設置されたもの。同大の教育研究の活動拠点の一つとして、学生や研究活動での利用に加え、同大のさまざまな研究を地域住民に紹介する講座を「シリーズ 世界遺産で学ぶ」などの継続したシリーズとして実施する予定。
金沢大学は2014年12月に富山県南砺市と包括連携協定を締結。この協定に基づき、地域社会の形成および発展に寄与するため、同市の支援を得て世界遺産である五箇山相倉合掌造り集落内に「金沢大学五箇山セミナーハウス」を開所した。
今年4月27日に行われた開所式では、田中幹夫南砺市長からの激励の言葉の後、山崎光悦学長から、「定期的なセミナーハウス利用を通して、地域のみなさんとの交流を深め、学生の人間力強化に繋げたい」とのあいさつがあった。続いて、南砺市議会の山本勝徳南砺市議会議員、相倉地区の山崎博司区長からのあいさつがあり、その後、同セミナーハウス看板の除幕が行われた。
開所式の後には、セミナーハウスの内覧会と特別講演を実施。特別講演では、福森義宏理事(社会貢献担当)が「微生物による塩硝生成のメカニズム」と題し、かつて五箇山地区が塩硝の産地として有名だったことに触れ、土中で塩硝が生成される仕組みについて微生物学の視点から講演した。また、講演後には、田中南砺市長や集落の方々から多くの質問があり、活発な質疑応答が行われた。
7月2日には、ミニ講座「シリーズ 世界遺産で学ぶ」を開催。第1回となる今回は、福森義宏理事のあいさつの後、人間社会研究域歴史言語文化学系の中村慎一教授が、「文化遺産から文化資源へ −金沢大学の取組み−」と題して、文化遺産の普遍的な価値をどう捉えるかということや、文化遺産を学術研究や教育、観光の「資源」と捉えるということ、民族や宗教的なアイデンティティーのよりどころとしたときに起こる利害の衝突などについて、考古学の視点も加えて分かりやすく解説。また、人間社会研究域附属国際文化資源学研究センターを中心とした、国内外における同大の文化資源学研究のさまざまな活動や2015年度に開始した超然プロジェクト(※)「文化資源マネジメントの世界的研究・教育拠点形成」についても紹介した。
会場では、地域住民や自治体職員など多くの方が熱心に聴講し、講義後には活発な質疑応答が行われた。最後には、山崎学長から「今後のセミナーハウスの活用については、講座開催だけではなく、冬の雪の多い時期に学生を連れてくることなども予定しているので、ご協力をお願いしたい」とのあいさつがあった。
今後も金沢大学五箇山セミナーハウスでは、学生や研究活動での利用に加え、同大のさまざまな研究を地域の住民に紹介する講座を継続したシリーズとして実施していくこととしており、第2回は9月17日を予定している。
◆金沢大学五箇山セミナーハウス 概要
・所在地: 富山県南砺市相倉126-1(屋号 助市)
・面積: 81.15平方メートル
・構造: 合掌造り茅葺き平屋建て
(※)超然プロジェクト:金沢大学に優位性のある学術領域を中核とした世界的な研究拠点形成をめざす研究に対して、研究費等を支援するもの
●金沢大学HP
http://www.kanazawa-u.ac.jp/
●富山県南砺市HP
http://www.city.nanto.toyama.jp/cms-sypher/www/index.jsp
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