北海道初※1、省エネルギー設計のみで実現したNearly ZEBオフィス竣工~環境性能の向上と地域資源の活用を両立、北海道産トドマツを構造材に採用した寒冷地モデル~

 株式会社日建設計(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大松敦、以下「日建設計」)は、北海道札幌市に建設を進めていた北海道オフィスが2025年11月30日に竣工し、2026年1月より本格稼働を開始したことをお知らせします。

<日建設計 北海道オフィス>

 豊かな自然と先進的な取り組みが共存する北海道では、脱炭素化や地域資源の活用など、持続可能な社会の実現に向けた動きが加速しています。一方で、冬季の暖房負荷や建物のエネルギー消費など、寒冷地ならではの課題も多く存在します。日建設計は、こうした地域の課題と可能性の両面に向き合い、2022年に北海道日建設計を合併。建築・都市・環境の知見を結集し、地域社会とともに未来志向の拠点づくりを進めてきました。
 今回の北海道オフィス(以下「本オフィス」)は、その象徴となる拠点として、積雪寒冷地における「Nearly ZEB」※2の実現や、北海道産木材ブランド「HOKKAIDO WOOD」に位置づけられるトドマツを採用した建築など、環境性能の向上と地域資源の活用の両立を追求した取り組みを具現化しています。

■ 北海道初の「Nearly ZEB」を支える設計と、「ZEB」への挑戦
 本オフィスは、寒冷地特有の課題である「冬の暖房エネルギー」に対し、自然エネルギーを最大限に活用する設計を採用しました。最大の特徴は、太陽光発電などの再生可能エネルギーの活用(創エネ)に頼ることなく、建物の断熱性能や空調システムの最適化といった「省エネルギー」の追求のみで、基準の75%以上のエネルギー消費量を削減する「Nearly ZEB」を達成した点にあります(2026年1月、BELS※3認証にて評価取得済)。これは、建築そのものの性能を極限まで高めた北海道初の試みであり、設計段階で掲げた高い環境性能を、竣工した本建物においても具現化しています。 
 高断熱・高気密といった建物の基礎性能に加え、寒冷地モデルとして以下事例などのシステムを採用し、快適な室内環境を実現しています。
  • 西側の「インナーテラス」:建物の西側に設けられた屋外と室内の中間に位置する空間です。冬は日射を取り込みつつ、厳しい寒さから執務室を守る「緩衝帯(クッション)」となって暖房エネルギーを節約します。一方、夏場や中間期には自然の風の通り道となり、熱を逃がすことで快適な室内環境をつくります。
  • 地下水(井水)熱交換システム:年間を通して温度が一定である地下水の熱を利用する仕組みです。夏は冷たく、冬は暖かい熱エネルギーを空調に活用することで、少ない電力で効率よく冷暖房を行うことができます。
 また、将来の「ZEB」達成に向け、次世代太陽電池の導入検討の一環として、「ペロブスカイト太陽電池※4」の実証実験を竣工後より開始しました。本実験では、積雪の影響を受けない「屋内」の西側ガラスに電池を設置し、冬場(12月~3月末)における発電効率を検証します。

  
      <屋外と室内の中間に位置し       <屋内側から窓ガラスに設置された
    空調負荷を低減するインナーテラス>       ペロブスカイト太陽電池>

■ “やわらかい木”北海道産トドマツを「建物の骨組み」に
 本オフィスでは、伐採・加工・建設をすべて北海道内で完結させる「地産地消」を徹底しました。特に、柔らかい材質のため構造材には不向きとされてきた北海道産トドマツを、板を重ね合わせて強度を高める「CLT」※5に加工し、建物の構造材として活用しています。また、床材にはトドマツを圧縮加工して硬さを増したものを試験採用しました。自社ビルでその強度や耐久性を検証し、これまで使いにくかった国産木材の新たな活用モデルとして、日本各地への展開を目指します。なお、CLT構造材の端材は階段や家具、ベンチとして余すことなく利用。また、製材に不向きな周辺材を外装材としてデザインに生かすなど、「ウッドロスゼロ」にも貢献しています。北海道産トドマツをこれほど積極的に活用する試みは、市街地のオフィスとして先進的な事例となります。

  
  <執務室天井に表しの    <CLT端材はベンチや階段に利用>  <周辺材を外装材に活用>
 北海道産トドマツ構造CLT>

■ 自然な交流を生むネイバーフッド型レイアウトと「PYNT北海道」の設置
 働き方の多様化に対応し、コミュニケーションを自然に誘発する空間設計を行いました。執務室は完全なフリーアドレスではなく、部署ごとの領域を緩やかに融合させた「ネイバーフッド型」のレイアウトを採用しました。部署間の垣根を取り払うことで、まるで近隣住民同士のような自然な交流を促します。
 また、1階には共創活動の拠点「PYNT北海道」を設置します。ここは、社員のエンゲージメントを高める場として活用するとともに、社会課題の解決に向け、社内外の専門家や地域の方々をつなぐ「共創空間」として運用していく予定です。さらに、バリアフリーやジェンダーへの配慮として、フロアの特性に合わせて「多機能トイレ」と「男女別トイレ」を適切に配置し、誰もが快適に利用できる環境を整備しました。

     
   <自然な交流を誘発する仕掛け>  <社内外の人々をつなぐ共創空間「PYNT北海道」>

■ 今後の展望
 今後は本オフィスを、北海道の課題解決に貢献する場として運用していきます。大学と連携し、新しい働き方が社員の生産性や満足度(ウェルビーイング)にどのような影響を与えるか、客観的な指標を用いて調査・分析を行う予定です。オフィス運用で得られた省エネの実績や、道産材活用の知見は、お客様や地域社会へ広く共有し、北海道の脱炭素化と持続可能な社会づくりに貢献してまいります。「社会環境デザイン」をミッションに掲げる日建設計では、今後も環境や社会の課題解決に向けた取り組みを推進してまいります。

※1:再生可能エネルギーの活用(創エネ)によるエネルギー消費量の相殺を行わず、建物の断熱性能向上や空調システムの最適化といった「省エネルギー設計」の追求のみでNearly ZEBを達成したオフィスビルの事例が北海道初
※2:Nearly ZEB(ニアリーゼブ):国が定める基準のエネルギー消費量から75%以上を削減した建物
※3:BELS:建築物省エネルギー性能表示制度
※4:ペロブスカイト太陽電池:薄く軽量で柔軟性があり、室内の明かりや曇天などの弱い光でも効率よく発電できる次世代の太陽電池
※5:CLT(Cross Laminated Timber):板の向きを直角に重ねて接着し、強度を高めた木材パネル

■ 建築概要
住所:〒060-0002 札幌市中央区北2条西14丁目3-6 / 敷地面積: 688.05㎡ / 建築面積: 502.60㎡ / 延べ面積: 1,382.37㎡ / 階数: 地上3階、塔屋2階 / 最高高さ: 19.87m / 構造: RC造、一部木造、鉄骨造 / 施工者:株式会社大林組 札幌支店

■ 日建設計について
 日建設計は、建築・土木の設計監理、都市デザインおよびこれらに関連する調査・企画・コンサルティング業務を⾏うプロフェッショナル・サービス・ファームです。1900年の創業以来125年にわたって、社会の要請とクライアントの皆様の様々なご要望にお応えすべく、顕在的・潜在的な社会課題に対して解決を図る「社会環境デザイン」を通じた価値創造に取り組んできました。これまで⽇本、中国、ASEAN、中東で様々なプロジェクトに携わり、近年はインド、欧州にも展開しています。
URL:https://www.nikken.jp/ja/
本件に関するお問合わせ先
株式会社日建設計  広報室  Tel. 03-5226-3030  e-mail:webmaster@nikken.jp

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この企業の情報

組織名
株式会社日建設計
ホームページ
https://www.nikken.co.jp/ja/index.html
代表者
大松 敦
資本金
4,600 万円
上場
非上場
所在地
〒102-8117 東京都千代田区飯田橋2丁目18番3号
連絡先
03-5226-3030

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