自然分娩を助産師チームが担う「院内助産」を開設しました

学校法人藤田学園

~医師のタスクシフト推進と、妊娠・出産に対する多様なニーズに応えるために~

藤田医科大学病院(愛知県豊明市沓掛町田楽ケ窪1番地98、病院長:白木良一)総合周産期母子医療センターは、正常産(自然分娩)を助産師が主体的に担う「院内助産」を開始しました。本取り組みにより医師のタスクシフト推進を図るとともに、多様化する出産ニーズに対応していくことをめざします。

■院内助産とは…
 妊婦さん自身の「産む力」と、赤ちゃんの「生まれる力」を最大限に引き出し、自然なお産ができるように助産師が中心となって支援する分娩システムです。正常な経過をたどっている妊婦さんを対象に、基本的に助産師のみで分娩を行います。


妊婦さんに寄り添い、きめ細やかにサポート
院内助産の実施に向け、産科外来内に助産外来を設置。ここでは助産師がバースプランの作成から、妊娠中の管理、出産後の授乳や沐浴指導、育児のアドバイス、生後1カ月健診まで、切れ目なく妊婦さんに寄り添い、きめ細やかなサポートを行います。分娩スタイルや立ち合いなども、妊婦さんの希望やご家族の意向を最大限に尊重し、相談して決定していきます。


妊娠中は医師と助産師が交互に診察
 妊娠22週までは医師が診察し、以降2週間毎に医師または助産師が交互に妊婦健診を行います。妊娠経過途中に異常症状が発生した場合は、医師と助産師が協議し、院内助産継続か否かを判断します。

安心・安全な出産を支える大学病院の多職種連携
愛知県の総合周産期母子医療センターに指定され、多くのハイリスク出産を手掛ける当院では、産科医、小児科医、救急医、麻酔科医などの専門医が365日24時間体制で常駐しており、院内助産中に医療処置が必要な場合にも迅速な対応が可能です。また、マタニティブルーや不眠などのメンタルケアに対しても、臨床心理士や医療ソーシャルワーカーなどと連携し、多職種で妊婦さんを支えられるのも大学病院だからこその強みといえます。


高度な技術を持つ助産師チームが担当
日本助産評価機構の実践能力評価で習熟段階レベルⅢと認められたアドバンス助産師を中心に、40例以上の分娩経験を持ち、かつ当院の基準を満たした助産師たちがチームで担います。当院では71名の助産師有資格者のうち、22%となる16名がアドバンス助産師の認定を受けています。

【開設の目的と背景】
・多様化する出産ニーズに応え、質の向上をめざします
価値観の多様化に伴い、妊婦さんやご家族の出産に対するニーズも多様化しています。「豪華なクリニックで産みたい」「無痛分娩がいい」「大きな病院が安心」など、その声も様々です。院内助産は、いうなれば『助産院のきめ細やかなケアと、大学病院の安心感』を融合させた新しい出産のカタチといえます。大学病院の充実した環境の中で、リラックスして出産に臨んでいただくことをめざします。

・産科医のタスクシフト・シェア推進へ向けて
当院では、2024年4月より段階的に施行される医師の労働時間上限規制の適用に向け、さまざまな施策を推し進めています。「院内助産」の取り組みについても、産科医のタスクシフト・シェアの一環として位置付けています。

・助産師のさらなる専門性の向上へ
助産師は、医師の指示を受けることなく正常分娩を行える専門職であり、妊娠中から分娩、産後まで一貫して母子ケアを担います。年間で手掛ける約600件の分娩のうち半数以上がハイリスク分娩の当院では、それに携わる助産師たちも高度な技術を有しており、院内出産の取り組みによりさらなる専門性の向上が期待されます。産科医不足が深刻化する中、助産師が正常分娩を担い、多職種や自治体が後方支援するモデルケースを確立することで、地域における安心・安全な出産・育児環境の創出と、助産師の活躍推進に寄与していきたいと考えます。

【藤田医科大学病院 総合周産期母子医療センター 2022年度の分娩データ】
 分娩件数   600件(うち6割が帝王切開)
 母体搬送   158件  
 合併症妊婦    82%

 

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