【東芝エネルギーシステムズ】令和5年度 再生可能エネルギーアグリゲーション実証実験開始のお知らせ
~発電量予測技術や市場取引戦略技術の高度化を通して収益性のさらなる向上を目指す~
東芝エネルギーシステムズ株式会社
東芝ネクストクラフトベルケ株式会社
~発電量予測技術や市場取引戦略技術の高度化を通して収益性のさらなる向上を目指す~
本事業は、分散エネルギー源(DER注3)の活用の拡大と再エネの有効活用の環境を整備し、再エネの普及拡大を通じたカーボンニュートラルの達成に貢献することを目的として行われるものです。再エネアグリゲーター8社および実証協力者5社でコンソーシアム注4を組み、6種類注5に及ぶ全国の約100のエネルギーリソースを用いて、昨年度までの実証に引き続き、発電量予測精度、インバランスの低減や市場取引における収益性などを評価します。
本日開始する実証実験は、昨年度までの実証で用いた東芝ESSとドイツのネクストクラフトベルケ社が共同開発した再エネバランシングシステム「REBSet®」について、機能拡張や高度化を図った上で、評価を行います。
発電量予測精度に関しては、昨年度の実証では太陽光発電に比べ風力発電の発電量予測の誤差が大きかったことを踏まえ、風力発電では新たに深層学習で算出する局所的な風速予測の結果を利用した発電量予測手法(図1)を追加します。また太陽光発電および風力発電ともに、アプローチの異なる複数の発電量予測手法の各予測誤差に応じて最適なバランスで組み合わせることで精度向上が期待できる統合手法(図2)を取り入れ、予測精度の向上を目指します。
インバランスの回避や収益性の向上に関しては、上記の発電量予測精度の向上に伴う効果に加え、蓄電池の制御技術アルゴリズムの高度化による効果の向上を目指します。加えて、従来は発電した電力を電力卸売市場にのみ入札していたのに対し、新たに需給調整市場(三次調整力②)注6も想定し、より高値で入札する市場取引戦略技術(図3)も取り入れてさらなる収益性の向上を目指します。
また、昨今、出力制御注7の発動頻度が増加傾向にあり、再エネ発電事業者やアグリゲーターにとって収益に影響を及ぼす新たなリスク要因となっています。今年度の実証では、そのリスク対策として、出力制御により抑制を受けた発電量を蓄電池に充電しておき、適切なタイミングで放電する計画を作成する蓄電池制御技術(図4)も評価します。
東芝グループおよび本コンソーシアムは、再エネアグリゲーション事業のさらなる発展を通じ、カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。
(注1) 正式名称は、「令和5年度 蓄電池等分散型エネルギーリソース次世代技術構築実証事業費補助金(再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業)」
(注2)発電計画と発電実績の差分のこと。差分量に応じてインバランス料金が発生する
(注3)Distributed Energy Resources
(注4)コンソーシアムメンバー:
コンソーシアムリーダー
・東芝エネルギーシステムズ株式会社
再エネアグリゲーター(8社)
・アーバンエナジー株式会社
・NTTアノードエナジー株式会社
・株式会社関電工
・日本工営エナジーソリューションズ株式会社
・日本電気株式会社
・北海道電力株式会社
・株式会社ユーラスグリーンエナジー
・東芝エネルギーシステムズ株式会社
実証協力者(5社)
・ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社
・豊田通商株式会社
・一般財団法人日本気象協会
・PAG Renewables合同会社
・東芝ネクストクラフトベルケ株式会社
(注5)太陽光発電、風力発電、水力発電、蓄電池、EV、エコキュート
(注6)2021年4月に開設された、一般送配電事業者が電力供給区域の周波数制御・需給バランス調整を行うために必要となる調整力を調達するための市場。三次調整力②では、電力を供給する前日時点において対象発電所の供給能力に余裕がある場合に入札することが可能。
(注7)電力の需給バランスを保つために、一般送配電事業者の指示により発電事業者が発電所の出力を制御すること。
図2: 複数の発電量予測手法を最適に統合
図3: 需給調整市場(3次②)も想定した市場取引戦略技術
図4: 出力制御に対応した蓄電池運転計画の作成