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新日本製鐵株式会社(社長:宗岡 正二 以下、「新日鉄」)が拡販を進めてきた直線形鋼矢板を用いた「鋼矢板セル工法」が、香港の大型インフラプロジェクトである香港人工島建設工事の護岸構造用として採用される(直線形鋼矢板で約10万トン)ことが決定致しました。
今回の採用に至った背景としては、下記が挙げられます。
(1)新日鉄及び日鐵商事株式会社(社長:今久保 哲大 以下、「日鉄商事」)が本件の基本設計段階から発注者、コンサルタントに対して提案してきた直線形鋼矢板を用いた「鋼矢板セル工法」が、希少動物(ホワイト・ドルフィン)が生息する施工区域に適したエコロジー工法であること。
(2)工事現場が香港国際空港に隣接していることから厳しく設定されている空頭制限をクリアーできる工法であること。
(3)新日鉄が製造する直線形鋼矢板の有する製造可能長さ、継手の嵌合強度等の仕様及びこれまでの国内外における豊富なプロジェクト経験に裏打ちされた「製造、設計・施工、デリバリーに関する一貫した支援」について、発注者、コンサルタント、ゼネコンから高く評価されたこと。
一つのプロジェクトで直線形鋼矢板が約10万トンという規模で使用されるのは、国内外の案件において過去最大(cf. 東京湾横断道路の木更津人工島建設工事では約2万トンの直線形鋼矢板を使用)です。
(プロジェクトの概要)
本件は、香港とマカオの間を結ぶ約40kmの連絡道路を建設する大型プロジェクトの内、香港側の入出境管理施設設置を目的として、香港国際空港の東側に築造される香港人工島(略称;HKBCF Hong Kong Boundary Crossing Facilities)の建設工事です。
HKBCFの発注者は、香港特別行政区政府路政署、工事の施工は中国の大手ゼネコンである中国交通建設の海外事業子会社である中国港湾工程有限責任公司(China Harbour Engineering Company Limited 以下、「CHEC」)であり、新日鉄・日鉄商事はCHECに対して、本件で使用される直線形鋼矢板約10万トン全量を納入することになっています。
HKBCF建設工事は、香港行政長官(曽蔭権;ドナルド・ツァン)出席のもと12月14日に現地で開催された起工式を皮切りに、50ヶ月の工期で完成する予定です。
HKBCFの全周は6.14km、護岸築造に必要とされる円筒形セルは134基で、セルに使用される直線形鋼矢板は、新日鉄八幡製鉄所(福岡県北九州市)にて製造し、2012年1月から約1年間で納入していく予定です。
(鋼矢板セル工法の概要および特長)
鋼矢板セル工法は、個々の直線形鋼矢板を円形に嵌合させることで直径約30mの円筒形セルを形成し、その後、設置現場に運搬し、そのセルを所要の深さまで打ちこんだ後、土砂等をセル内に中詰めする打設する工法です。直線形鋼矢板は埋め立て護岸構造用として使用されています。
当工法は、あらかじめ波浪の影響の少ない場所で円筒形セルを製造し、現場で打設するため、短工期での施工が可能です。また、従来工法である石積み工法、コンクリート・ケーソン工法等で必要とされる地盤改良工事が不要である点で、本件のような環境配慮地域に適したエコロジーな工法という特長を有しています。
(新日鉄の直線形鋼矢板の特長)
新日鉄の直線形鋼矢板は、他メーカーと比較して以下の優れた特長を有しています。
(1) 製造可能長さ38m
・本件のような大水深・大深度工事においても直線形鋼矢板の縦継ぎ箇所を最少化することで、工期を大幅に短縮することが可能
(2) 最大嵌合強度5,880KN/m
・直線形鋼矢板の嵌合部が高い引張り強度を有するため、セルの構造信頼性が向上すると共に、セルの大径化が可能
・セルの大径化による安定性向上から、海底への根入れ長さの短縮と使用鋼重の削減が可能
(3) 最大嵌合回転角度10°
・嵌合回転角度が大きいことから、嵌合作業をスムーズにすることができると共に、打設も容易
新日鉄は、本工法に関する日本国内で培った豊富なエンジニアリング経験と納入実績を礎として、開発・製造・品質・技術・営業が一体となった鋼材ソリューション活動を展開しており、今後とも新興国や資源国を中心に大型インフラ整備事業が期待される海外建設市場において、直線形鋼矢板の更なる拡販に注力しつつ、各国の社会資本整備に貢献して参ります。
(お問い合わせ先)
新日本製鉄(株) 総務部広報センター 03-6867-2146
日鉄商事(株) 総務法務部 03-6225-3545
以 上