リコーと東京大学 社会連携講座「“はたらく”に歓びを」を開設
~ 個人やチームの創造性や働きがいを向上させる未来の働き方の共同研究を開始 ~
株式会社リコー(社長執行役員:山下良則、以下、リコー)と国立大学法人東京大学大学院工学系研究科(研究科長:染谷隆夫、以下、東京大学)は、社会的課題の解決と産業の発展に寄与する共同研究を目的とした社会連携講座※1「“はたらく”に歓びを」を本日開設しました。リコーは、創業100年を迎える2036年に向けて、「“はたらく”に歓びを」をビジョンに掲げています。業務の効率化や生産性の向上を超え、はたらく人が人ならではの創造力を発揮することで、充足感や達成感、自己実現の実感につながる、“はたらく”の変革をお届けすること、これが私たちの使命であると考えています。今回の東京大学との社会連携講座開設は、その実現に向けた取り組みの一つとなるものです。
近年、労働人口減少に伴う労働力の低下が社会問題になってきており、今後もより加速すると予測されています。はたらく人一人ひとりに対する成果や業務効率の向上が求められる一方、個人が実行できる業務の量や質には限界があり、限られた時間の中でより高い価値を創出する必要があります。
リコーは、この課題を解決するためには、はたらく人が自らの意思で“はたらく”に対して前向きになっていくことが必要だと考えています。一つの方向性として、人が“はたらく”ことに対して前向きになる状況を特定することができれば、それを活用して働きがい(内発的動機)を引き出し、はたらく人のウェルビーイング(歓び)やパフォーマンス(創造性)を高め、さらには会社としてのベネフィット(業績向上)にもつなげることができるのではないか*という仮説を立て、検証を進めます。
*参考文献:国連 持続可能な開発ソリューション・ネットワーク発行 世界幸福度調査(World Happiness Report)2013 「主観的ウェルビーイングの客観的ベネフィット」
本講座では、人がそのような“はたらく歓び”を実感できる働き方や職場環境のあるべき姿を描くとともに、その実現に向けた技術・事業・サービスの開発に取り組み、働きがいと経済成長が両立する持続可能な社会への貢献を目指します。リコーの技術・ノウハウに裏付けられたオフィス向けソリューションの実績と、東京大学の卓越した学術的知見・技術というお互いの強みを連携することで、技術分野における相互の知的・人的・物的資源の交流や、共同研究開発活動の推進による新しい価値の創造を図ります。
※1公益性の高い研究課題について、東京大学と企業等が共同研究を行うものであり、東京大学と企業等との契約に基づいて企業等が負担する共同研究経費によって運営されます。包括的な社会課題テーマのもと、従来、自然発生的であった企業と各研究者との共同研究で限界のあった異分野の研究者との連携や、複数の研究者とチーム結成が可能となります。
1.社会連携講座設立の目的
様々な産業・ビジネスにおける“はたらく”を、認知工学、認知科学、組織心理、情報科学などの様々な学理からの多面的なアプローチによって探究し、一人ひとりの働きがいの向上、個人と組織をともに活性化させるためのソリューションを実現するコア技術の創出を目指すとともに、“はたらく歓び”にあふれる社会の実現に資する知識・技術基盤の確立を目指します。
併せて、産業の現場との連携や学際的研究を通して、人間中心の視点に立った産学協創・学理融合の実現、促進に資する次世代人材の発掘・育成を目指します。
2.社会連携講座の概要
【設置期間】2022年12月1日 から 2025年11月30日(3年間)
【代表教員】松尾豊(東京大学大学院工学系研究科 技術経営戦略学専攻 教授)
松尾教授が、本社会連携講座の特任教授を兼務します。
【研究内容】
「“はたらく”に歓びを」につながる重要な要素として「創造性」に着目し、「創造的タスクを行うときの個と組織の状態・メカニズムはどうなっているか?」という重要な問いを解明します。リコーの技術・ノウハウに裏付けられたオフィス向けソリューションの実績と、東京大学の持つ卓越した専門性を掛け合わせ、組織をまたいだ包括的な研究活動を進めることで、シナジーの創出を目指します。
【期待される成果】
はたらく人が人ならではの創造力を発揮するための状態やメカニズムの解明に取り組み、「“はたらく”に歓びを」の実現に資する知識およびコア技術を獲得・活用することで、産業基盤の競争力を高めるとともに、“はたらく歓び”を支え、高めることに関連した新しいビジネスシーズを創出します。