グラフで示すバリュー株投資の意義
ファンドマネジャー
バリュー株式チーム
「世界に変化が起こるほど、変わらないものがある」という言い回しがあります。これが最も当てはまる領域の一つが、バリュー株投資であると考えています。
家庭用電気の出現や自動車の開発、コンピューターや計算機、インターネットの誕生など、人類は歴史上、大きな変化に直面してきました。この100年間で生活は激変しましたが、変わらないものがあります。それは、人間です。人間は感情に左右されて投資判断を行う傾向があるため、人間が恐怖を感じる時は市場は下落し、貪欲な時は上昇します。このような市場環境において、バリュー株投資は一貫して成果をあげてきました。それを説明する4つのグラフを以下に示します。
まず、時価総額(市場が評価した価値つまり株価、ME)と簿価時価比率(株主資本簿価BE÷株価MEで算出)という2つの独立した項目を用いて、年次でリバランスされるポートフォリオを想定し、それぞれのパフォーマンスについて分析を行いました。
株主資本簿価(BE) - 純資産とも言います - は、理論上は企業の資産から負債を引いた価値となります。一方、株価(ME)は時価総額と同じ意味であり、市場における全発行済み株式の価値の合計となります。
グロース、ニュートラル、バリューの各ポートフォリオを定義するために、簿価時価比率(BE÷ME)のブレイクポイントをそれぞれ30パーセンタイル、70パーセンタイルとします。ポートフォリオは毎年リバランスされるので、グラフのデータは市場で最も割安な30%の銘柄によるポートフォリオとして定義され、常にバリュー株ポートフォリオを表しています。
グラフ1はバリュー株ポートフォリオが長期間にわたり堅調に推移したことを示しています。1926年6月に1万ドルを投資したとすれば、現在の投資額は10億ドル以上になっています。これに対して、割高なグロース株ポートフォリオを購入したとすれば、投資額は9,470万ドルとなるにすぎません。
グラフ1:割安な銘柄の購入により得られるリターンの優位性
しかし投資期間として100年間をかけられる投資家は多くないため、より短い期間のリターンではどのようになっているかを見てみましょう。
グラフ2は、10年毎にバリュー株ポートフォリオが市場のリターンを上回り、プラスのリターンを達成していることを示しています。2010年から2020年までの10年間は明らかに異常値(憂慮すべきもの)ですが、このグラフは5年間のフォワード累積リターンを示していることから、2010年から2020年のデータが完全に揃うまでまだ3年間あり、従って水平線の右上、つまりアウトパフォームの領域になるまで時間があることになります。
グラフ2:バリュー株の2010年以降のアンダーパフォームは例外的であり、標準的な環境ではない
グラフ3:バリュー株の過去5年毎のリターンは広範な領域でアウトパフォームする
最後に、足元の投資機会の多さは、歴史的にいずれの時点よりも多くなっています。グラフ4は、グロース株ポートフォリオに対するバリュー株ポートフォリオのバリュエーションが史上最低水準に近いことを示しています。2022年4月までに市場は大幅に修正しましたが、株価バリュエーションの格差は依然として非常に大幅なものとなっています。
グラフ4:足元の投資機会は相対的に非常に多い
歴史は将来のパフォーマンスの指針ではありませんが、貴重な教訓を与えてくれます。そして、100年近い歴史から得た重要な教訓は、「物事が変われば変わるほど、変わらないものがある。」ということだと考えています。世界に変化が起こるほど、バリュー株投資は魅力的な投資戦略であり続けるのです。
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