欧州データ流通構想「GAIA-X」で進化する企業・組織間データ連携

NTTデータ先端技術株式会社

~データ交換で必須となる「コネクタ」の最新動向~

欧州では世界に先駆け、多数の企業・組織間でデータ主権を保護しながらデータ連携を行う仕組みづくりが進んでおり、欧州のデータ流通構想である「GAIA-X」(※1)には、2022年3月時点で300を超える企業・組織が参画し、データ主権の考え方からデータ連携のアーキテクチャに至るまで活発な議論が行われています。これに伴い、NTTデータ先端技術では、NTTデータなどと共同で企業・組織間の安全なデータ連携に関する研究開発を推進しており、7月27日にNTTデータが公開した、データ交換のためのプロキシとして働くコンポーネントである「コネクタ」に関するホワイトペーパーの策定にも貢献しています。

ホワイトペーパー「Dataspace Connector調査報告書 ~IDS-RAM, Eclipse Dataspace Connectorの概要~」(2022年7月27日公開):
https://www.nttdata.com/jp/ja/-/media/nttdatajapan/files/news/information/2022/072700/072700-01.pdf

欧州のデータ流通構想「GAIA-X」から一歩進んだ「業界別データ流通プラットフォーム」
ドイツ・フランス政府が立ち上げたデータ流通構想「GAIA-X」では主に、「企業がデータ連携する際のコントロールやガバナンスを担うソフトウェアの開発」、「クラウドやエッジに適用可能なポリシーやルールの策定」、「分散型システムがフェデレートする仕組みの規定」を主導しており、企業・組織間データ連携の枠組みの構築を担っています。自動車業界では、この「GAIA-X」で提唱される主要な技術のひとつである「IDS(International Data Spaces)」(※2)を用いて、ドイツの自動車メーカーやサプライヤーなど約1,000社が相互かつ安全にデータを流通することが可能なプラットフォーム「Catena-X」(※3)を2022年夏に立ち上げる予定です。これにより、ドイツの自動車関連企業と取引する日本企業も「Catena-X」を利用したデータ流通を求められることが想定されますが、この場合、欧州のポリシーでデータを管理されるため、日本のポリシーでデータを保護することが困難になります。こうしたなか、欧州のデータスペース(※4)と相互接続しながらも、日本のポリシーで安全にデータを管理できる仕組みの実現に向けた実証実験が活発に行われており、今後、自動車業界のみならず他業界でも同様の動きが広がることも見据えて技術開発が進んでいます。

図1:データ主権を保護できるデータ流通プラットフォームの全体像

グローバルで広がるデータ連携の輪に加わるための「コネクタ」
「GAIA-X」などの取り組みを通じてデータ連携の概念や枠組みが急速にまとめあげられつつありますが、複雑な要素が絡み合っていることから一企業がエコシステムに参画するには何から取り組んだら良いのか分かりづらい状況のなか、エントリポイントとして「コネクタ」を推奨します。「コネクタ」とは、データ交換のための仲介役として働くコンポーネントで、これを利用することで他の企業・組織と繋がり、安全なデータ連携を実現します。

 
図2:IDSAが提唱するリファレンスアーキテクチャモデル内のコネクタの位置づけ

「コネクタ」は単一ではなく、ドイツの「フラウンホーファー研究所」が主に開発している「Dataspace Connector」や、「Eclipse Foundation」のもとで開発が進んでいる「Eclipse Dataspace Connector」(以下「EDC」)などのオープンソースソフトウェアが挙げられます。当初は、「Dataspace Connector」が先行的に開発されていましたが、現在では「EDC」の開発が活発で、その傾向は主要開発者であるMarkus Spiekermann氏の講演内で「EDC」のコンセプトが「Catena-X」などで受け入れられつつある旨の言及があったことなどから間接的に推測できます。「EDC」の開発プロジェクトは、計画された技術的なマイルストーンに基づいて実施されており、「GAIA-X」と共同でハッカソンが開催されるなど、活発な活動が行われていることがうかがえます。

 
図3:開発マイルストーンおよびハッカソン開催状況

2022年7月27日に公開したホワイトペーパー「Dataspace Connector調査報告書 ~IDS-RAM, Eclipse Dataspace Connectorの概要~」では、「EDC」に加えて「Dataspace Connector」の詳細や動作の様子を解説しています。今後もNTTデータ先端技術では、「コネクタ」に限らず、NTTデータなどとの共同開発で得られた知見を順次発信してまいります。

※1 GAIA-X:2019年10月にドイツ政府・フランス政府が発表したセキュリティとデータ主権を保護しつつデータ流通を支援するためのデータ流通構想
※2 IDS(International Data Spaces):International Data Spaces Association(IDSA)が定めている技術仕様の体系
※3 Catena-X:ドイツの自動車メーカーやサプライヤーなどが運営し、部品情報などのデータを関係する企業間で安全に流通するプラットフォーム
※4 データスペース:単一のポリシーで管理されるデータ空間

参考情報
・データ主権を保護できるデータ流通プラットフォームの実現に向けた共同開発
https://www.nttdata.com/jp/ja/news/release/2022/042701/

※記載されている商品名、会社名、団体名は、各社の商標または登録商標です

NTTデータ先端技術について
NTTデータ先端技術は、NTTデータグループの技術面を支える中核会社として1999年に設立されました。基盤・ソフトウェア・セキュリティの3本柱のソリューション事業を通じて、お客様に価値を提供することを目指しています。NTTデータ先端技術に関する詳細な情報については、https://www.intellilink.co.jp/ をご覧ください。

本件に関するお問い合わせ先
NTTデータ先端技術株式会社
ソフトウェアソリューション事業本部
デジタルテクノロジー・インテグレーション事業部
クラウドインテグレーション担当
E-Mail:dti-sales@intellilink.co.jp

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