地球温暖化対策として、優先すべきは『住宅の高性能化』「脱炭素社会の実現に向けた住宅の高性能化について」報告書を公表
2021年11月に開催された第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)では、年限付きでカーボンニュートラルを表明した国は150か国以上にのぼり、日本もすでに「2050年カーボンニュートラル」を宣言しています。環境省によると住宅を含む家庭部門のCO2削減目標は66%(2013年度比)と他の部門に比べて最も高い数値が設定され、住宅の「断熱」による省エネルギー化は、重要な施策の一つとして位置づけられています。
株式会社LIXIL(以下 LIXIL)は、これらの状況を報告書「脱炭素社会の実現に向けた住宅の高性能化について」にまとめて公表いたします。
https://newsroom.lixil.com/ja/2022011701
そして、高性能化のキーワードとなるのが「断熱」です。窓、床、壁、天井など外気と接する部分の断熱性能を高めることで、家庭のCO2排出源の4分の1を占める冷暖房のエネルギー消費を大幅に抑えることが可能になります。仮に、日本の住宅の約7割で使用されている単板ガラス(1枚のガラス窓)を、断熱効果の高いトリプルガラスの窓に換えた場合、熱の流出をおよそ80%抑え、CO2削減量は年間1,509万トンにのぼると推計されます。
日本の住宅の高性能化は欧州などに比べて遅れており、日本の既存住宅の約9割は現行の省エネ基準を満たしていません※4。また、LIXILが独自に行った住まいに関する意識調査(N=4700)によると、断熱への関心は高い人が多いものの、「断熱リフォームをしたことも、検討したこともない」との回答が8割以上にのぼるなど、行動に移すまでは至っていないのが実情です。
しかし、脱炭素化社会の実現のためには、住宅の高性能化は避けて通れない問題です。なかでも断熱効果の高い「窓」の果たす役割は非常に大きく、地球温暖化対策に向けたドライバーになり得ます。実際、複層ガラス以上の省エネ窓の市場は世界でも確実に拡大しており、その市場規模は2027年に2019年比8.1%のCAGRで成長すると見込まれています※5。
こうした状況を踏まえ、LIXILは製品・サービスの普及を通じて、日本の住宅の高性能化を推進し、誰もが願う豊かで快適な住まいの実現に貢献していきます。
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※1 出典:世界銀行「GROUNDSWELL PARTII―ACTING ON INTERNAL CLIMATE MIGRATION」より
※2 創エネ・省エネ・断熱で家のエネルギー収支をゼロ以下にする住宅
※3 出典:小出 瑠・小嶋 公史・南齋 規介・Michael Lettenmeier・浅川 賢司・劉 晨・村上 進亮(2021)「 国内52都市における脱炭素型ライフスタイルの選択肢:カーボンフットプリントと削減効果データブック」Ryu Koide, Satoshi Kojima, Keisuke Nansai, Michael Lettenmeier, Kenji Asakawa, Chen Liu, Shinsuke Murakami (2021) Exploring Carbon Footprint Reduction Pathways through Urban Lifestyle Changes: A Practical Approach Applied to Japanese Cities. Environmental Research Letters. 1608400165の脱炭素型ライフスタイル選択肢による1人1年あたり温室効果ガス排出量(カーボンフットプリント)の最大削減効果から一部抜粋
※4 国土交通省2019年社会資本整備審議会資料より
※5 Reportocean.com「エネルギー効率の高い窓市場調査レポート」より