労働力不足などの農業現場の課題解決に向けたナシ栽培スマート農業の実証を開始 ―自動追従ロボットによる運搬支援、気象データに基づく農薬散布適正化、AI生育診断―

NTT東日本

 このたび、千葉県が代表機関を務めるコンソーシアム(千葉県ナシ栽培スマ農コンソ)では、千葉県市川市および成田市のナシ農園をフィールドに、ロボットやAI、ICTを活用したスマート農業技術の体系化に向けた実証事業を開始しました。労働負荷の軽減や気候変動などへの対応のため、
 ①ヒトを自動で追従する運搬ロボット作業車
 ②ほ場ごとの気象データに基づく病害発生予測と農薬散布適正化ナビゲーション
 ③ナシ園の棚下から画像を収集し、AIが生育解析を行うシステム
について実証します。
なお、本事業は農林水産省事業「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト」を活用しています。

1.本実証の背景と対応する課題
 千葉県はニホンナシの産出額、栽培面積ともに全国1位を誇ります。二ホンナシは海外からの需要も高まっているため、生産量や品質の向上に期待が寄せられています。一方で、農業全体の課題である高齢化・労働力不足により、その生産量は減少傾向にあります。また、気候変動の影響による生育ステージのばらつきにより、作業適期の判断が困難になっており、生産量や品質に影響が生じています。

 具体的な課題として、夏季に行う収穫作業は収穫台車を人力で押しながら果実を摘むため、労働強度の高い作業となっています。また、高品質のナシ生産に欠かせない病害虫の薬剤防除について、昨今の気候変動により適期実施するタイミングの判断が難しくなっています。さらには、開花の時期も年々早まっていることから、従来通りの生育予測では農繁期の雇用調整や出荷予測も困難になっています。海外からのニーズにも合った高品質のナシを効率よく生産するため、本コンソーシアムではロボット、AI、ICTなどの先端技術を活用したデータ駆動型のスマート農業システム構築のため、以下の実証事業の取り組みを開始しました。

 

2.事業内容と期待される成果
 本事業では市川市、成田市にほ場を持つヤマニ果樹農園で以下の実証に取り組んでいます。

 

3.コンソーシアム推進体制
 ナシ生産に係る諸課題の解消に向け、千葉県を代表機関として、コンソーシアムを結成し、令和3年度から2年間、スマート農業技術の実証事業に取り組みます。コンソーシアムには農家や農業関連団体のほか、ICT、自動化技術、農業用ロボットなどの技術を持つ企業などが参加し、ほ場の環境データの取得と解析による予測技術、および省力化機械の導入に向けた実証を行います。

 

 本実証課題は、農林水産省「スマート農業技術の開発・実証プロジェクト(課題番号:果3C2リ、課題名:千葉県ナシ栽培におけるスマート農業技術の体系化に向けた技術開発及び実証)」(事業主体:国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)の支援により取り組んでいます。

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