「シュローダー機関投資家調査2021」 調査結果を発表 ~今後5年間の機関投資家の年率トータルリターン見通しは世界的に改善、サステナブル投資のパフォーマンスに対する懸念は後退~

シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社

シュローダー(本社:英国 ロンドン)は、世界の機関投資家のコロナ禍における投資見通しやサステナブル投資に対する意識を把握することを目的に「シュローダー機関投資家調査2021」を実施しました。本調査は、26の国/地域の750の機関投資家を対象に、2021年2月~3月にかけて実施しました。対象とする機関投資家の運用資産総額は約26.8兆ドルにのぼります。

本調査では、コロナ後を見据えて、機関投資家の年率トータルリターン見通しが改善したことがわかりました。また、パフォーマンスに影響を与える要因として、新型コロナウイルスの感染拡大のような世界的危機が引き続き多く挙げられた一方で、金融緩和の縮小を挙げる投資家が昨年比で大きく増加しました(23%→51%)。

サステナブル投資については、新型コロナウイルスの影響によってより重視されるようになったと回答した機関投資家が過半数(52%)となりました。また、サステナブル投資に課題があると考える機関投資家が大半(80%)を占める一方で、サステナブル投資がパフォーマンスを低下させるという懸念は後退する傾向にあることが明らかになりました(2019年48%、2020年45%、2021年38%)。


<調査結果概要>
機関投資家の年率トータルリターン見通しは改善
2021年は、世界の機関投資家のトータルリターン見通しは改善してきており、今後5年間の見通しに対して、より前向きな回答が得られました。(図1)

図1:今後5年間の年率トータルリターン予想


金融緩和の縮小がパフォーマンスに影響
新型コロナウイルスの感染拡大のような世界的危機は依然としてパフォーマンスに影響する要因と考えられていますが、世界的な景気減速と同様に、1年前の調査結果と比べて大幅に減少しています。グローバルな景気見通しの改善から、金融緩和の縮小による流動性低下を懸念する投資家が増加しました。また、規制や気候変動リスクの影響を挙げる投資家も増加しました(図2)。

図2:今後12カ月のパフォーマンスに大きな影響を与えると考える要因


サステナブル投資の重要性は高まる
世界の機関投資家におけるサステナブル投資の重要性は高まっており、全体の52%の機関投資家が新型コロナ危機の影響でサステナブル投資をより重要視するようになったと回答しました。欧州では特にその傾向が強く、62%が重要視するようになったと回答しました。(図3)

図3:新型コロナ危機はサステナブル投資の役割に対する見方にどの程度影響したか

また、世界の機関投資家のうち、サステナブル投資を行わない投資家はわずか8%で、2020年の11%から減少しました*。
*「サステナブル投資にどの程度課題を感じますか?」の質問に対し「サステナブル投資を行わない」と回答した投資家の割合。


サステナブル投資においてパフォーマンスを懸念する投資家は減少、グリーンウォッシングが最大の課題
サステナブル投資のパフォーマンスに懸念を持つ機関投資家は約38%で、3年連続で低下しました(2018年51%、2019年48%、2020年45%)。サステナブル投資が投資リターンを阻害するとの考えは後退しているようです(図4)。
しかし、サステナブル投資を行う上で、投資家には依然として課題が残っています。投資家にとっての最大の課題は引き続き「グリーンウォッシング」(59%)であり、昨年調査の60%とほぼ変わらない結果となりました。
また、透明性と報告データの欠如(53%)も多くの投資家が課題としてあげました。リスク評価・管理の難しさ(2020年33%、2021年46%)やコストを挙げた投資家(2021年23%、2022年34%)も大きく増加しました。(図4)

図4:サステナブル投資を行う上での課題

地域別では、異なる傾向がみられました。グリーンウォッシングはすべての地域で多くの投資家が課題と回答しましたが、欧州で、コスト(27%)やパフォーマンスに対する懸念(29%)を挙げた投資家は他地域と比較しても少数でした(図5)。北米ではパフォーマンスに対する懸念が相対的に多く挙げられました。

図5:サステナブル投資を行う上での課題(地域別)


多くの投資家がサステナブル投資の意思決定に外部機関の評価やデータを活用
サステナブル投資の意思決定に使用するデータソースとして、外部機関のESG評価やインデックスなどのデータを利用する企業が多く見られました(図6)。一方で、世界の投資家のうち54%は社内分析を行っており、地域別では、欧州の59%が他の地域を上回りました(北米53%、アジア・パシフィック51%、中南米49%)。

図6:サステナブル投資における意思決定において利用するデータソース


シュローダー サステナブル投資グローバルヘッドのアンディ・ハワードのコメント:
「新型コロナ危機は私たちの生活のあらゆる側面に影響を与えており、サステナブル投資も例外ではありません。投資資産をサステナブルな分野に振り向けたいと考える投資家の意向は、新型コロナ危機によって鮮明になってきました。世界経済がコロナ前の水準に戻るには時間がかかりますが、その回復を持続的なものにするのは多くの人々にとって重要な目標です。
投資家としてこの変化をサポートするために、やるべきことがたくさんあります。サステナブル投資に対して投資家が感じる懸念や課題を、これまで以上に明確な報告と情報開示によって払拭する必要があると考えています。
一方で、サステナブル投資に対して、投資家が長年抱いてきたパフォーマンスへの懸念が解消されつつあることは、心強いことです。私たちは、サステナブル投資と着実なリターンは相反するものではなく、サステナビリティに対する考え抜かれた取り組みが長期的な投資リターンを実現するための核心であると考えています。」


シュローダー・インベストメント・マネジメント 機関投資家営業部長 藤田学のコメント:
「低金利や金融緩和の縮小懸念など、本邦機関投資家が直面する悩みはグローバルに共通している点も多くあります。こうした調査レポートがお客様のポートフォリオ運営において参考になれば幸いです。
調査結果にもある通り、昨年の新型コロナ危機を経て、日本のお客様の間でもサステナブル投資への関心の高まりがさらに加速していると感じています。一方で、サステナブル投資を行う上ではまだまだ問題が多いという点もグローバル共通です。日本でもお客様によって関心事や取り組み状況が異なるため、課題は多岐にわたると認識していますが、例えば保険会社のお客様からは、ESGインテグレーションやインパクトの可視化、情報開示などについてのご相談が増えています。
また、欧州では規制面を含めた取り組みが先行していることもあり、欧州における知見やシュローダー・グループの先進的な取り組みについての情報発信に対する期待が大きいと認識しています。重要性が高まるサステナブル投資については、新しい投資戦略を投入することに加えて、お客様の持つ課題に対する一助となるような情報発信や対話を継続していきたいと考えています。」


調査結果の詳細はこちらをご参照ください。
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/asset-management/institutional-investors/institutional-investor-study/


【調査の概要】
本調査では、年金基金、保険会社、公的機関、各種財団・基金など、26兆8,000億ドルの資産を運用する750の機関投資家から回答を得ました。本調査は、2021年2月から3月にかけて、世界各地で実施されました。回答者の内訳は、北米204、欧州(南アフリカを含む)275、アジア・パシフィック205、中南米66でした。


以上



■シュローダー・グループのESGの取組み
「質の高いコーポレートガバナンス体制を確立し、本業を通じて、環境や社会の変化および課題解決に対応する企業は、長期的に企業価値の向上と持続的成長が期待できる」という考えのもと、シュローダーは20年以上、ESGの要素を取り込んだ運用を実践しています。
ESGの観点を加味した運用を通じて、社会や環境にインパクトを与える真の企業価値向上を促すと同時に、社会や経済全体の利益となり、投資収益の拡大にも繋がることを目指しています。

■シュローダー・グループの概要
シュローダー・グループは、資産運用サービスを通じてよりよい未来への貢献を目指す、英国屈指の独立系資産運用グループです。ロンドン証券取引所に上場しています。1804年の創業以来200年以上にわたり、年金基金から機関投資家、個人投資家まで、世界の投資家に、長期的な視点に立ち幅広い投資ソリューションを提供しています。現在、運用資産総額は約107兆円*に上ります。
日本とのかかわりは古く、1870年(明治3年)、日本初の鉄道敷設のために日本政府が初めて発行した国債の主幹事を、シュローダーが務めたことにさかのぼります。1974年には東京事務所を開設し、日本における事業の本格的な第一歩を踏み出しました。幅広い資産運用サービスを提供する現在も日本株式運用を事業の中核の一つに据え、約150年前と同様、日本の未来への投資を通じて歴史を紡いでいます。
※2021年6月末現在。* 7,004億英ポンド、1英ポンド=153.32円換算。
※本資料におけるシュローダー・グループとは、シュローダーplcを直接もしくは間接的に親会社とする会社などを言います。

その他のリリース

話題のリリース

機能と特徴

お知らせ