【東芝】当社初の独立型スタートアップ企業の設立による新規事業の創出
再生医療における細胞の安定培養を実現する、細胞培養管理プラットフォームの迅速な社会実装を目指す
当社がベンチャーキャピタルとともにスタートアップ企業を立ち上げ、従業員が独立して経営株主として事業の推進を担うことで新規事業の創出を行う試みは、当社として初めての事例となります。本事例では、当社とBeyond Next Ventures株式会社が出資を行いますが、Cytoronix社の独立性を担保するため、議決権の過半は経営株主が有しており、経営の自由度の最大化と多様な資金調達が可能になります。
当社は、「東芝Nextプラン」に基づき2019年1月に発足した新規事業推進室において、オープンイノベーションにより有望な新規事業を迅速に創出する活動を推進しています。
今回、外部化する細胞培養管理事業は、細胞を培養して増やし、所望の状態や量にして患者に投与する再生医療の拡大と普及に不可欠な事業です。細胞培養においては「培養結果がばらつく」「ばらつきを管理するには大きな装置が必要」といった課題がありますが、当社は、ばらつきを抑え細胞を安定的に培養することに必要な細胞モニタリング装置の小型化を当社独自の技術で実現し、それを効果的に運用するクラウドウェアからなる細胞培養管理プラットフォームを開発しました。今後、測定されたデータを分析するアルゴリズムを継続的に改善・強化するとともに、研究から量産まで様々なフェーズのお客様に導入いただける装置開発や、お客様のフェーズごとに最適化したサブスクリプションモデルでのご提供を目指します。
再生医療分野は、多種多様なシーズ開発による事業機会の到来に伴い、激しい競争が繰り広げられている新しいビジネス領域です。開発したシーズを、タイミングを逃さず事業につなげるためには、迅速な人材・事業投資が必要不可欠です。こうした環境の中、当社は、細胞培養管理事業を外部化することが、本事業の価値提供を最大化するための最善なスキームであると考えました。またBeyond Next Ventures株式会社は、医療・ライフサイエンス領域を中心に、多数の技術系スタートアップへの投資を通じて、その事業化・成長支援に豊富な実績を有しており、当社とは医療系ベンチャー企業の探索や協業の検討において業務提携(注2)を行っていることから、本スキームの実現に最適なパートナーと考えています。
当社は、今回の事業の外部化スキームを、研究開発の成果を迅速に社会実装し、社会課題の解決や社会への新たな価値提供を実現するための新しい事業創出の手法の一つに位置づけています。このスキームを通じて、社内外に存在する高い挑戦意欲をもった人材に対して組織の壁を超えて活躍の場を広げるとともに、これらの人材との連携を強化することで、シーズ開発を起点とした事業の創出とオープンイノベーションによるエコシステムの形成を実現してまいります。
【サイトロニクス株式会社の概要】
会社名: サイトロニクス株式会社(英語名称: Cytoronix Inc.)
代表者: 代表取締役 今井快多
設立: 2021年5月14日
営業開始日:2021年7月1日
資本金: 190百万円(資本準備金を含む)
従業員数: 2名
所在地: 神奈川県川崎市幸区新川崎7番7号
事業内容: 細胞培養管理のための装置及びソフトウェアの研究開発および提供
ウエブページ: https://cytoronix.com
注1 Beyond Next Ventures株式会社:2014年8月創業の技術系スタートアップへのインキュベーション投資に特化した独立系ベンチャーキャピタル。医療・ライフサイエンス領域を中心に、多数の技術系スタートアップへの投資と、その事業化・成長支援を手掛けており、同社が運営するBeyond Next Ventures2号投資事業有限責任組合よりサイトロニクス社への出資を行う。医療系ベンチャー企業の探索や協業を目的として2019年より当社と業務提携中。
Beyond Next Ventures株式会社 URL https://beyondnextventures.com/jp/
注2 当社とBeyond Next Ventures株式会社の業務提携についてのプレスリリース:https://www.global.toshiba/jp/news/corporate/2019/05/pr1001.html