「遠隔栽培指導センタ(通称:コックピット)」の開設について
全農 高度施設園芸推進室は、収量の向上やそれに伴う経営の改善を目的として、2016年より施設園芸生産者向けに現地訪問による栽培指導を行っています。それを補完する手段として、環境や生育調査データを電子メールやSNS等で受け取り、遠隔での助言や支援を実施しています。
しかしながら、実際の作物状態をはじめ、圃場の状況などを考慮したリアルタイムな情報共有ができないという課題を抱えています。また、栽培技術者の不足により、すべての要望にお応えできていないこと、さらにはコロナ禍により訪問そのものが制限されるなど、昨今の社会情勢において、遠隔での栽培指導は喫緊に拡充する必要があると考えています。
一方NTT東日本は、地域社会の一員として一次産業の課題解決をめざす取り組みを進める中「担い手不足への対処」「新規就農者支援」「データを活用した儲かる農業の実現」への期待が高まっていることから、これらにお応えする手段として、ICTや自社アセットを活用し、限られた栽培技術者の活躍の場を広げる遠隔栽培指導の取り組みについて検討を進めていたところです。
そこで両社は、スマートデバイス※を活用し、施設園芸生産者と圃場の映像、音声、環境や生育調査データを共有する遠隔栽培指導センタ(以下、コックピット)をNTT中央研修センタ内に共同で整備し、実証を開始することに合意しました【図1】。
コックピットを活用することで「生産現場とリアルタイムに情報を共有」し、「実訪問と近い精度」で、また「コロナ禍においても安心、安全」に遠隔栽培指導を可能にし、より多くの生産者の要望に応えることをめざします。
本実証は、全農、NTT東日本に加え農業ICT分野での専門性を持つパートナー企業(株式会社NTTアグリテクノロジー/本社:東京都新宿区、代表取締役社長:酒井 大雅)と連携して進めてまいります。
また、実証開始は2021年秋とし、全農グリーンリソース株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:福井 秀憲)の施設園芸栽培コンサルサービスとしての展開を視野に実用化を検討します。
※:ネットワークに接続可能で多種多様なサービス・機能を利用できる端末(例 スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチ、スマートグラス 等)