- クローン病の確認にPillCam(r)カプセル内視鏡が最適な診断ツールのひとつであることが試験で立証される。粘膜治癒のモニタリングにもカプセル内視鏡の価値を強調する試験結果が報告される -
※このプレスリリースはギブン・イメージング社2011年10月31日の発表を翻訳したものです
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ギブン・イメージング社(NASDAQ: GIVN、イスラエル・ヨクネアム)は本日、クローン病の検出とモニタリングにおけるPillCam(r) SBの価値を強調した新しい試験データを発表しました。特異的な炎症マーカーや他の症状を示す患者に対するPillCam(r) SBのクローン病診断率が高いことが試験で確認されました。この高い診断一致率によって、医師はPillCam(r) SBカプセル内視鏡検査の適格患者を特定して、クローン病検出を向上することによってクローン病の診断率を向上させることができます。
さらに、別の試験では、治療を受けている小腸クローン病患者の粘膜治癒の評価に、PillCam(r)カプセル内視鏡検査とルイススコアを組み合わせることが有益であると確認されました。今月初めの『European Journal of Medicine』誌に1つの試験結果が発表され、もうひとつの試験結果の要約が、10月28日から11月2日までメリーランド州ナショナル・ハーバーのゲイロードナショナルリゾート&コンベンションセンターで開催されている2011年米国消化器病学会年次学術集会で発表されました。ギブン・イメージング社はこの会議期間中、ブース番号1601で機器展示を行っています。
アトランタ消化器病学会の会員であるDoug Wolf, M.D.は次のように述べています。
「多くのクローン病患者は、確定診断を得るまでに長い期間を要して、何種類もの検査を受けています。その結果、治療は遅れ、追加費用はかさみ、不必要な苦痛を強いられています。特異的な血清炎症マーカーと他の症状を示す患者は、PillCam(r)カプセル内視鏡検査の適格患者であることが分かりました。カプセル内視鏡検査を実施すれば、クローン病を早期に診断し、治療を早期に開始することができます。PillCam(r)を使用すれば、クローン病患者のケアに有益な効果をもたらします。」
■クローン病検出におけるPillCam(r) SBの適用
慢性腹痛を訴える患者におけるカプセル内視鏡検査の有効性と臨床転帰を評価した新しい非盲検プロスペクティブ試験の結果が、今月上旬、『European Journal of Medicine』誌に発表されました。3カ月以上もの間腹痛を訴え、それまでの診断検査では確定診断が得られなかった患者72例が試験に組み込まれました。カプセル内視鏡の総合診断率は44.4%でした。カプセル内視鏡所見による診断率は、同様の症状を示す患者および異常な炎症マーカーを示す患者、すなわち、ESR(赤血球沈降速度)とCRP(C反応性タンパク)の値が異常な患者において、それぞれ66.7%と90.1%と有意に上昇しました。研究者らは、慢性腹痛で異常な炎症マーカーを示す患者に対するカプセル内視鏡の診断率は高く、臨床診療における有用性が認められると結論しています。さらに、カプセル内視鏡所見と炎症マーカーの組み合わせは、疾患活動性の評価と疾患再発の予測に有用であり、臨床管理に効果をもたらすとしています。
この知見は、「Are Inflammatory Markers Abnormal in Patients with Suspected Crohn's Disease Undergoing Video Capsule Endoscopy?(クローン病の疑いでカプセル内視鏡検査を実施した患者の炎症マーカーは異常か?)」と題して、米国消化器病学会年次学術集会で報告されたポスター発表(抄録P1120)においても支持されました。ペンシルベニア州フィラデルフィアのペンシルベニア大学およびニューヨーク州ニューヨークのMontefioreメディカルセンターの研究者らは、クローン病が疑われるためにカプセル内視鏡検査を実施した56例の患者において、炎症マーカー(ESRとCRP)が異常であったかどうかを評価しました。試験の報告者らは、カプセル内視鏡検査を受けた患者の炎症マーカーは異常を示す傾向にあり、一方、カプセル内視鏡検査でクローン病が認められなかった患者の大半は異常な炎症マーカーを示さなかったと結論しています。
「Predictive Factors That May Differentiate 'Suspected' Crohn's Disease from 'Definitive' Crohn's Disease - A Prospective Cohort Study(クローン病の疑い例と確定例を鑑別する予測因子―プロスペクティブなコホート試験)」と題した多施設共同試験の追加データ(抄録P707*)では、小腸クローン病の確定診断に役立つ特異的な因子の必要性が強調されています。排便習慣の変化、腹痛、炎症マーカーの上昇、体重減少や貧血などの追加症状を伴うものと定義されるクローン病の疑い例80例が試験に組み込まれました。クローン病の有無を調べるために、すべての患者にカプセル内視鏡検査と大腸内視鏡検査(ileocolonoscopy)を実施しました。全体で20例がクローン病と確定診断されました。試験の報告者らは、この患者集団の中から、カプセル内視鏡検査と大腸内視鏡検査の両方またはいずれかでクローン病と診断された患者においては、体重減少、腹痛、および貧血がクローン病確定診断の予測因子である可能性があると結論しています。
■粘膜治癒のモニタリングにおけるPillCam(r) SBの適用
「Open Label Investigation of Mucosal Healing in Patients with Small Bowel Crohn's Disease Treated with Certolizumab Pegol Assessed by Wireless Capsule Endoscopy(セルトリズマブペゴール治療を受けている小腸クローン病患者の粘膜治癒をカプセル内視鏡検査で評価した非盲検試験)」と題したポスター発表(抄録P721**)では、中等度~重度のクローン病患者に対するセルトリズマブペゴール(CZP)の効果のモニタリングにPillCam(r)カプセル内視鏡検査が有益であることが報告されました。平均16.6年間にわたってクローン病を患っている5例の患者が試験に組み込まれました。最初の1カ月は2週間に1回、その後5カ月間は月に1回、CZPが投与されました。ベースライン時(ルイススコア1,976点)、16週間後、26週間後にカプセル内視鏡検査を実施してルイススコアを算出しました。試験終了時、ルイススコアは平均639点まで低下し、5例中4例はPillCam(r)カプセル内視鏡検査によって有意な粘膜治癒が確認されました。試験の報告者らは、CZP治療を受けている小腸クローン病患者の粘膜治癒を評価するには、カプセル内視鏡検査とルイススコアの組み合わせが有益な診断検査となると結論しています。
さらに、「Prospective Evaluation of the Usefulness of Patency Capsule in Crohn's Disease(クローン病におけるパテンシーカプセルの有用性に関するプロスペクティブな評価)」と題した試験(抄録P344)では、PillCam(r) SBカプセル内視鏡検査適格患者の選択におけるPillCam(r)パテンシーカプセルの価値が再確認されました。ポルトガル・ポルトのSao病院の研究者らは、クローン病患者およびクローン病が疑われる患者に実施した150件のPillCam(r) パテンシーカプセル検査の結果を分析し、その結果、PillCam(r)カプセル内視鏡検査を滞留リスクなしで実施できる患者の特定に、PillCam(r)パテンシーカプセルは有効であると結論しています。
*この試験は、ギブン・イメージング社からの企業助成金による支援を受けました。Dr. Jonathan Leighton、Dr. Stanley Cohen、Dr. Ervin Toth、Dr. David Cave、Dr. Ernest G. Seidman、Dr. Rami Eliakim、およびDr. Ian Gralnekは、ギブン・イメージング社のコンサルタントです。
**この試験は、UCB社からの企業助成金による支援を受けました。
■クローン病について
クローン病とは、小腸の内側の粘膜が炎症を引き起こし、消化管のあらゆる部分に影響を及ぼしうる慢性疾患です。症状には、下痢、腹痛、体重減少、直腸出血などが挙げられます。クローン病患者の約50%は、小腸の終末部(回腸末端)と盲腸で診断されています。この部位は、回盲部としても知られています。クローン病のその他の症例は、大腸のみ、小腸のみ(十二指腸、空腸、回腸のいずれか一つまたは複数)、胃または食道のうち、一つ以上に影響を及ぼす可能性があります。(1) 米国人の約500,000人がクローン病に罹患しており、約20%は何らかの炎症性腸疾患(IBD)と直接的な関連があります。(2) 男性、女性の性差はなく発症します。原因は不明ですが、最も支持されている学説は、炎症の原因となるウイルスまたは細菌に免疫系が反応しているという説です。(3) 治療選択肢は、重症度に応じて、栄養補助剤、薬物の投与、手術などがあります。現在のところ、この疾患の根治法はありません。(4)
(1) qurlyjoe.bu.edu/cduchome.html Inflammatory Bowel Disease Frequently Asked Questions.
(2) Crohn's and Colitis Foundation of America (ccfa.org)
(3) National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases (niddk.nih.gov)
(4)
http://www.nhlbi.nih.gov/health/dci/Diseases/ida/ida_causes.html
■PillCam(r) SBについて
PillCam(r) SBカプセル内視鏡のサイズは11mm x 26mmで、重量は4グラム未満です。現在の第二世代PillCam(r) SB 2は撮像カメラと光源を内蔵し、毎秒2枚の速度で画像を転送し、1回の検査で50,000枚以上の画像を撮影します。PillCam(r) SB カプセル内視鏡は、2001年に米国食品医薬品局(FDA)より認可を得て、その臨床適応は、1,500件以上の権威ある医学専門誌での論文によって臨床的に実証されています。2歳以上の患者の小腸を可視化する非常に精度が高く、患者にやさしいツールです。PillCam(r) SBは、小腸診断のゴールドスタンダードです。
PillCam(r)カプセル内視鏡には、カプセルの滞留と誤嚥、皮膚刺激のリスクがあります。PillCam(r) パテンシーカプセルには、カプセルの滞留と誤嚥のリスクがあります。また、内視鏡的に留置することにより、他のリスクが発生する場合もあります。合併症が発生した場合は、医療的、内視鏡的、外科的介入が必要になることがあります。詳細については、ユーザーマニュアルまたは
http://www.givenimaging.com をご覧ください。
■ギブン・イメージング社について
ギブン・イメージング社は、2001年にカプセル内視鏡という新たな分野を切り開いて以来、消化管診断ツールの世界的リーダーとして、消化管の可視化、診断、モニタリングのための画期的な幅広い製品を医療従事者に提供しています。ギブン・イメージング社は、小腸、食道、大腸(大腸用カプセル内視鏡PillCam(r) COLONは米国では未認可)を撮像するPillCam(r)カプセル内視鏡をはじめ、業界をリードする高解像度マノメトリのManoScan(tm)、ワイヤレスのBravo(r) pHシステムの、Digitrapper(r) pH、各種インピーダンス製品など、広範な製品ポートフォリオを取り揃えています。ギブン・イメージング社は、消化管領域に画期的なイノベーションを起こし、消化管領域が抱える臨床ニーズを満たすことに取り組んでいます。ギブン・イメージング社の本社はイスラエルのヨクネアムにあり、米国、ドイツ、フランス、日本、オーストラリア、ベトナム、香港に子会社があります。
詳細については、
http://www.givenimaging.com をご覧ください。
■日本法人 ギブン・イメージング株式会社について
ギブン・イメージング株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:河上正三)は、世界で初めてカプセル内視鏡を開発し、現在世界のカプセル内視鏡市場において豊富な経験を持つギブン・イメージング社(Given Imaging Ltd. 2001年NASDAQ 上場)の日本法人であり、日本におけるカプセル内視鏡の製造販売会社です。
http://www.givenimaging.co.jp
注)日本では、PillCam(r) SB およびPillCam(r) SB 2カプセル内視鏡(小腸用)が承認されています。大腸用のPillCam(r) COLON、およびPillCam(r) COLON 2、食道用のPillCam(r) ESO 2は承認されておりません。
また、患者さん向けの情報サイトとして、「カプセル内視鏡 飲むだけドットコム」を運営しており、カプセル内視鏡と小腸疾患に関する情報を提供しています。
http://www.nomudake.com