新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響に関する全国調査(2021年2月調査・速報)/新型コロナウイルス感染拡大後、運動・スポーツ実施率は減少

公益財団法人 笹川スポーツ財団

運動・スポーツ実施時の各種感染対策を講じる割合の増加なども明らかに



「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進する公益財団法人笹川スポーツ財団(所在地:東京都港区 理事長:渡邉一利 以下:SSF)は、昨年6月、10月に続き、2021年2月2日(火)~5日(金)にも『新型コロナウイルスによる運動・スポーツへの影響に関する全国調査』を、全国の18歳から70歳代を対象に実施いたしました。

新型コロナウイルス感染拡大後、6月から継続的に行った調査から、新型コロナウイルスは運動・スポーツへさまざまな影響を及ぼし、種目別運動・スポーツ実施率や感染症対策などの変化が明らかとなりました。

以上、趣旨ご理解賜り、本件につきましてお取り上げいただけましたら幸いです。

▼公式ウェブサイト
https://www.ssf.or.jp/thinktank/policy/covid19_03_202102.html

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【主な調査結果】

1.新型コロナウイルス感染拡大前と拡大後を比較し、多くの種目で運動・スポーツ実施率が減少

図表1図表2

運動・スポーツを行った者の割合は新型コロナウイルス感染拡大前(20192月~20201月)の54.3%に対し、感染拡大後(20202月~20211月)は50.4%3.9ポイント減少した。

■新型コロナウイルス感染拡大前・後で実施率が減少した種目

1位 散歩(ぶらぶら歩き)        実施率 3.7ポイント減
2位 ボウリング/海水浴/サイクリング  実施率 1.6ポイント減
5位 筋力トレーニング/水泳       実施率 1.5ポイント減


 2.運動・スポーツ実施時の、各種感染対策を講じる割合の増加
(図表3)

運動・スポーツを実施する際に気を付けていること (※2月調査) 
1位 三つの密(密閉・密集・密接)の条件が揃う場所で運動・スポーツを実施しないようにする
   64.5% (10月調査時 48.0%)
2位 マスクの着用や咳エチケットに配慮しながら運動・スポーツを実施する
   49.8% ( 同 35.4%)
3位 人と人との間隔を意識して運動・スポーツを実施する
   45.4% ( 同 39.5%)


3.運動・スポーツ時の新型コロナウイルス感染症対策実施における男女差
(図表4)

10月、2月調査のいずれも、女性のほうが感染に気をつけながら運動・スポーツを実施する傾向にある。

■運動・スポーツを実施する際に気を付けていることで男女差の大きい感染対策2月調査)
1位 マスクの着用や咳エチケットに配慮しながら運動・スポーツを実施する 
   11.3ポイント差(男性44.7%、女性56.0%)
2位 筋力トレーニングやヨーガなど自宅で行える運動・スポーツを中心に実施する
   10.0ポイント差(男性25.4%、女性35.4%)
3位 少しでも体調に異変を感じたら運動・スポーツの実施は控える
   9.1ポイント差(男性35.1%、女性44.2%)

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研究担当者コメント

新型コロナウイルス感染拡大前(2019年2月~2020年1月)と感染拡大以降(2020年2月~2021年1月)の運動・スポーツ実施状況を比較したところ、その割合は54.3%(100-「運動・スポーツは行っていない」45.7%)から50.4%に減少した。また運動・スポーツ実施時に気を付けていることは、「特に気を付けていることはない」が10月調査から2月調査にかけて6.9ポイント減少(18.4%→11.5%)した一方で各対策を講じる割合が増加し、人々がより慎重な姿勢で運動・スポーツを実施している様子がうかがえる。

2020年2月以降、二度の緊急事態宣言の発令に伴うスポーツ施設の休業・営業時間短縮や外出自粛要請、感染者数の増加などが少なからず、運動・スポーツ実施率減少という結果に反映されていると考えられる。加えて、研究機関等から出される感染リスクのシミュレーションとその対策に関する情報がこの1年で蓄積し、以前とは異なる新しい運動・スポーツ実施のかたちとして定着してきている。

【笹川スポーツ財団スポーツ政策研究所 政策オフィサー 鈴木貴大】

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主な調査結果

1.種目別運動・スポーツ実施率―—減少はコロナ感染拡大の影響か


国内において新型コロナウイルスの感染が拡大した20202月からの1年間の種目別運動・スポーツ実施状況について、6月に実施した調査結果の新型コロナウイルスの感染拡大前である20192月~20201月の1年間と比較した(図表1)。全体の実施状況をみると「運動・スポーツを行っていない」は20192月~2020145.7%、20202月~2021149.6%と非実施者の割合は増加している。

20202月~20211月の種目別実施率をみると、「ウォーキング」27.4%が1位、以下、「散歩(ぶらぶら歩き)」15.8%、「筋力トレーニング」11.1%、「ジョギング・ランニング」6.5%、「体操(軽い体操、ラジオ体操など)」4.9%と続く。実施率上位5種目は20192月~20201月の結果と同様であったが、実施率は「ウォーキング」を除く種目で減少していた。

図表1 種目別運動・スポーツ実施率


種目ごとの実施率の変化
種目ごとの変化をみると、「散歩(ぶらぶら歩き)」3.7ポイント減(19.5%→15.8%)と減少幅が最も大きく、以下、「サイクリング」(5.3%→3.7%)と「ボウリング」(3.6%→2.0%)1.6ポイント減、「筋力トレーニング」(12.6%→11.1%)と「水泳」(4.2%→2.7%)1.5ポイント減と続く。「ウォーキング」は27.6%から27.4%とほとんど変化はみられず、新型コロナウイルスの影響を受け実施しなくなった人がいる一方で、身体活動量維持のために新たに始めた人も一定数いると推察される。

感染拡大後、実施率はほとんどの種目で減少しており、2020年4月の緊急事態宣言の発令に伴うスポーツ施設の休業や外出自粛要請、その後の感染者数の増加、二度目の一部地域における緊急事態宣言の発令など新型コロナウイルスは人々のスポーツ実施に大きな影響を及ぼしたと考えられる。

図表2 種目別運動・スポーツ実施率の変化(増減ポイント数)



2.運動・スポーツを実施する際に気をつけていること――様々な感染対策を講じる傾向

図表3には2020年10月~2021年1月に、何らかの運動・スポーツを実施した人に、実施する際に気を付けていることをたずねた結果を示した。変化を比較するため、10月調査(2020年6~9月)の結果も合わせて記載している。2月調査では、「三つの密(密閉・密集・密接)の条件が揃う場所で運動・スポーツを実施しないようにする」64.5%が最も高く、「マスクの着用や咳エチケットに配慮しながら運動・スポーツを実施する」49.8%、「人と人との間隔を意識して運動・スポーツを実施する」45.4%と続く。

10月調査と比較すると、「特に気を付けることはない」以外のすべての項目で割合が増加した。両調査とも最多で選択された「三つの密(密閉・密集・密接)の条件が揃う場所で運動・スポーツを実施しないようにする」は、16.5ポイント(48.0%→64.5%)であったほか、「マスクの着用や咳エチケットに配慮しながら運動・スポーツを実施する」は14.4ポイント増(35.4%→49.8%)であった。

図表3 運動・スポーツをする際に気を付けていること(10月調査との比較)




3運動・スポーツ時の新型コロナウイルス感染症対策実施における性別の傾向

さらに図表4では性別での10月調査、2月調査の結果を示した。「特に気を付けることはない」は、男性は8.7ポイント減22.3%→12.6%)、女性3.4ポイント減(13.6%→10.2%)であった。また2月調査の性別による差をみると、「マスクの着用や咳エチケットに配慮しながら運動・スポーツを実施する」11.3ポイント差(男性44.7%、女性56.0%)が最も大きく、「筋力トレーニングやヨーガなど自宅で行える運動・スポーツを中心に実施する」10.0ポイント差(男性25.4%、女性35.4%)「少しでも体調に異変を感じたら運動・スポーツの実施は控える」9.1ポイント差(男性35.1%、女性44.2%)と続く。

男女で実施種目が異なることも考慮する必要はあるものの、両期間とも女性のほうが感染に気をつけながら運動・スポーツを実施している。
2020年秋以降、国内の新型コロナウイルス感染者は、10万人から30万人と急激に増加し、20211月には政府から再び一部地域に対し緊急事態宣言も発令され、三密の環境やマスクの着用など感染リスクに関するさまざまなシミュレーションも発表された。このような状況が重なったことで、これまで以上にさまざまな対策をとりながら運動・スポーツ実施したいという意識が表れたと推察される。

 図表4 【男女別データ】運動・スポーツを実施する際に気をつけていること

※性差(ポイント):女性の割合-男性の割合


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調査概要

【調査目的】
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、人々のスポーツ活動の機会が奪われている。また、感染封じ込めのための人と人との接触を減らす取り組みを通じて、多くの国民の身体活動量・運動量が大きく減少することが危惧されている。こうした環境下で、国民の身体活動・運動の実施状況やスポーツ観戦等のニーズがどのように変化しているのかを調査する。

【調査方法】
1 )調査手法:インターネット調査
2 )調査委託機関:株式会社クロス・マーケティング

【調査対象】
全国の市区町村に在住する18~79歳までの男女5,005人(5,005サンプルが地区ごとの性別・年代別人口構成比率に近似するよう割当)

【調査時期】
2021年2月2日(火)~ 2月5日(金)

【主な調査項目】
基本属性_居住地、性別、年齢、職業、世帯年収、配偶者・子どもの有無等

1)運動・スポーツ実施状況・実施頻度
2)新型コロナウイルスに影響を受けている運動・スポーツの実施状況
3)新型コロナウイルスの影響による生活の変化
4)新型コロナウイルスの影響によるスポーツ環境の変化
5)スポーツ観戦状況(直接スポーツ観戦、テレビやインターネットによるスポーツ観戦)
6)直接スポーツ観戦実施者からみた各種対策への評価
7)スポーツ観戦再開に向けて、イベント主催者に期待する対策
8)運動・スポーツの実施時に気を付けていること
9)新型コロナウイルスによる心身の状態への影響
10)東京2020オリンピック・パラリンピック大会への期待とその理由、望ましい開催形式
11)身の回りにおける新型コロナウイルス感染状況
12)テレワークの実施頻度と運動・スポーツへの影響
13)自転車の利用目的ごとの頻度
14)身体を動かすことの好ききらい

【調査実務担当者】
笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 政策オフィサー 鈴木 貴大
笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 政策オフィサー 清水 恵美

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▼2020年6月調査(速報)
https://www.ssf.or.jp/thinktank/policy/covid19.html

▼2020年6月調査(最終)
https://www.ssf.or.jp/thinktank/policy/covid19_f.html

▼2020年10月調査
https://www.ssf.or.jp/thinktank/policy/covid19_02_202012.html

【笹川スポーツ財団】
公益財団法人 笹川スポーツ財団は、「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進するスポーツ分野専門のシンクタンクです。国、自治体のスポーツ政策に対する提言策定や、スポーツに関する研究調査、データの収集・分析・発信を行い、「誰でも・どこでも・いつまでも」スポーツに親しむことができる社会づくりを目指しています。

■公益財団法人 笹川スポーツ財団について
名称  : 公益財団法人 笹川スポーツ財団
代表者 : 理事長 渡邉 一利
所在地 : 〒107-0052 東京都港区赤坂1-2-2 日本財団ビル3階
設立  : 1991年3月
目的  : スポーツ・フォー・エブリワンの推進
事業内容: ・生涯スポーツ振興のための研究調査
      ・生涯スポーツ振興のための研究支援
      ・生涯スポーツ振興機関との連携事業
      ・生涯スポーツ振興のための広報活動
URL   : http://www.ssf.or.jp/

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