車載向け業界最小クラス!1mm角の超小型MOSFETを開発
放熱性と実装信頼性を向上し、高密度化が進む車載ECUやADAS関連機器に最適
ローム株式会社(本社:京都市)は、車載信頼性規格AEC-Q101(※1)対応製品として業界最小クラスとなる1.0mm×1.0mmサイズの超小型MOSFET「RV8C010UN」「RV8L002SN」「BSS84X」を開発しました。
なお、新製品は、2020年9月から当面月産10万個の体制で量産(サンプル価格 100円/個:税抜)を開始しています。
近年、車の電装化に伴い、自動車1台あたりにおける電子部品、半導体部品点数は増加傾向にあります。そのため、限られたスペースの中で多くの部品が実装され、部品の高密度化が進んでいます。例えば、車載ECU1個あたりの半導体と積層セラミックコンデンサの平均搭載数量は、2019年の186個(※)から、2025年には230個(※)へと3割近く増加すると予想されています。高密度化が進むこれらの車載アプリケーションにおいて、市場からは小型化の要求も高まっており、小型と高放熱を両立できる下面電極パッケージの検討が進んでいます。
一方、車載部品においては、信頼性確保のために部品実装後にAOIが実施されていますが、下面電極パッケージは電極が下面にしかないため、半田付けの確認ができず、車載基準でのAOIが困難でした。
新製品はローム独自のWettable Flank技術によりこれらの課題をクリアし、車載向けとしては業界最小クラスのMOSFETを実現したことで、車載メーカーにおいても採用が進んでいます。今後ロームは、MOSFETのみならず、バイポーラトランジスタやダイオードにおいても製品ラインアップを拡充していきます。
<特長>
パッケージ側面の電極部分の高さ125μmを保証
従来技術の下面電極パッケージでは、リードフレームの側面にメッキ加工を施すことができないため、車載で必要とされる半田高さを確保できず、AOIが困難でした。新製品は、ローム独自のWettable Flank形成技術でリードフレーム上限までのメッキ加工を実現し、1.0mm×1.0mmサイズで業界最高水準となるパッケージ側面電極部分の高さ125μmを保証。下面電極パッケージでも安定した半田フィレットの形成が可能になり、部品実装後のAOIで確実に半田付け状態を確認できます。
基板の高密度化に対応
新製品は、2.9mm×2.4mmサイズ(SOT-23パッケージ)と同等の性能を1.0mm×1.0mmサイズ(DFN1010パッケージ)で実現したことで、約85%実装面積を削減可能です。さらに、高放熱の下面電極を採用したことで、通常小型化すると低下する放熱性をSOT-23パッケージに比べて65%向上できます。新製品は、小型化と高放熱化を両立したことにより、機能の増加に伴い基板の高密度化が進んでいる車載ECUやADAS関連機器などのアプリケーションに最適です。
<ラインアップ>
<アプリケーション例>
スイッチング用途や逆接続保護用途では汎用的に使用可能
- 自動運転制御ECU
- エンジンコントロールECU
- ADAS関連機器
- カーインフォテインメント
- ドライブレコーダ
<用語説明>
※1) 車載信頼性規格AEC-Q101
AECはAutomotive Electronics Councilの略で、大手自動車メーカーと米国の大手電子部品メーカーが集い、制定された車載用電子部品信頼性規格。Q101は、特にディスクリート半導体部品(トランジスタ・ダイオード等)に特化した規格となっている。
※2) Wettable Flank形成技術
QFNやDFNなどの下面電極パッケージでリードフレームの側面にメッキ加工を施す技術のこと。半田付け性を向上させることができる。
※3) AOI(Automated Optical Inspection)
実装基板をカメラで撮像し、自動的に部品の欠落や品質の欠陥、半田付け状態などを検査する。
ロームは、1958年(昭和33年)設立の半導体・電子部品メーカーです。自動車・産業機器のほか、民生・通信など多様な市場に対し、品質と信頼性に優れたLSIやディスクリート、電子部品を供給するとともに、システム全体を最適化するソリューション提案を行っています。