鋳造アクセサリーの原型制作プロセスをForm 2が劇的に変革

Formlabs Japan

~ 手作業で行われてきた銀鋳造によるアクセサリーの原型制作が
Form 2導入により制作期間は半分以下、ユーザーには新しい価値も提供可能に ~

強力で身近な3Dプリントシステムを提供するFormlabsは本日、ストレンジフリークデザインス(代表/デザイナー:古谷 尚人、東京都台東区)が、銀を鋳造して作るシルバーアクセサリーの原型制作工程に光造形(SLA)方式3Dプリンタ「Form 2」を導入し、従来の手作業による制作手法を大きく変革し、制作期間の大幅な短縮やユーザーに新しい価値を提供することに成功していることを発表しました。


(左:工房の壁際に設置された「Form 2」。右:Form 2」で「Grey Resin」を使って出力したペンダントヘッドと完成品)

ストレンジフリークデザインスは、スカル(頭蓋骨)やダークファンタジーのモンスターをモチーフとした、ずっしりと重厚なデザインのリングやペンダントヘッドなどの男性向けシルバー(銀製)アクセサリーの制作と販売を手掛けています。こうしたアクセサリーは、始めに原寸大の原型を制作し、それを元にロストワックス鋳造と呼ばれる技法で製造されています。アクセサリー業界における原型作りは、一部の比較的単純なデザインのものを除けばコンピュータデザインツールなどは使われておらず、手作業で作られています。

ストレンジフリークデザインス代表の古谷 尚人氏は、「ワンダーフェスティバル」でデジタル彫刻ツールと3Dプリンタの組み合わせで制作されたアニメフィギュアを見て「直線と曲線が多用された有機的なデザインがソフトウェアで作れ、手の届く価格の3Dプリンタを使ってこのクオリティで出せるのか」と驚くとともに、これらを使ってアクセサリー原型作りをやろうと決意しました。まずデジタル彫刻ツールによる原型作りを始めた古谷氏ですが、制作途中のデザインの確認や、デザイン完成後に鋳造メーカーに製造を依頼するためには3Dプリントすることが必要です。当初は3Dプリントサービスビューローを利用しましたが、発注から納品まで数週間もかかるため、すぐに光造形方式3Dプリンタを購入。しかしその3Dプリンタは出力に失敗することが多かった上、失敗の原因も分からないため使いこなしに苦労する日々が続きました。そうした時、原型データを「Form 2」で出力する機会を得た古谷氏はサンプルを見て驚きました。「(自分の)3Dプリンタではちゃんと出力するのにとても苦労していたのに、データを送った翌日にはきれいな出力サンプルを渡されたんです。『Form 2、やってくれたな』と思いました」。苦労することなくきれいな出力が得られると知った古谷氏はすぐ「Form 2」を導入しました。

「Form 2」のデザイン制作における「1番の利点は、プリントに手間がかからないこと」と古谷氏は話します。「3Dプリンタで出力に失敗する人が結構います。僕も以前の3Dプリンタではとても苦労しました。失敗の度に清掃したりレジン(光硬化樹脂)を入れ替えたりして余計な時間がかかっていました。(3Dプリントソフトウェアの)『PreForm』はサポート材を立てる位置を自分で指定しなくても、出力の向きを決めれば自動的に計算してくれるので、出力の準備もとても楽です。『Form 2』では出力に手間がかからず失敗もないので、ストレスから解放され、本来時間をかけるべきアクセサリーのデザインに集中できます」と話します。

鋳造では、原型を金属で作るやり方と、まず特別なワックスで原型を作ってそこから金属製の原型を作るやり方があります。Formlabsが「Form 2」に用意している「Grey Resin」は鋳造用ではありませんが、出力した原型は金属製原型の代わりとして利用できます。さらに鋳造用ワックスと同等の性質を持つ「Castable Resin」もあり、これで出力するとワックス製原型として利用でき、ストレンジフリークデザインスでは必要に応じて使い分けています。


(蛇をモチーフにしたバングルの完成品。セレクトショップのショーケースには、こうした存在感のあるシルバーアクセサリーが並ぶ)

デジタル彫刻ツールと「Form 2」の導入は、アクセサリー原型デザインの現場を大きく変えました。以前は金属やワックスを手で削って作っていたので、制作開始から完成まで1週間程度はかかっていましたが、デザインのデジタル化によってデザイン確認のための2回程度の試作出力時間を含めても、従来の半分以下の3日程度にスピードアップしました。原型デザインのデジタル化以降、古谷氏は1年に50作品のペースで作品をリリースしています。手作業であれば時間のかかる、左右を同じに作ったり全体のサイズを変更したりといった作業は非常に楽になり、夜寝ている間に「Form 2」任せで出力することで作業効率が大幅に向上しています。

ストレンジフリークデザインスにおける「Form 2」採用のポイントは以下の通りです。
・特別の知識や手間なしで最適な出力が得られる使いやすさ
日本語に対応した3Dプリントソフトウェア「PreForm」は、3Dモデルを最適なプリント位置に自動配置する機能や、サポート材の自動生成機能などを備え、誰でも容易にきれいな出力が得られる。モバイル環境やコンピュータから出力状況がいつでも確認できる「Dashboard」も提供
・速く安定した出力
レジンを適切かつ自動的に撹拌するワイパーや、レジンを最適な温度に保つ自動加熱式レジンタンクによって、失敗の少ない安定した出力が可能。レジンの自動充填システムにより手動でのレジン補充は不要。250mWの高出力レーザーによって高速に造形する
・光造形による優れた出力品質
高精細な光学機構を搭載するため、造型物の表面は滑らかで美しく、鋳造原型の制作には十分な品質。レジンは加工性に優れており、表面処理や細かい修正のための時間や手間は少なくて済む
・ロストワックス鋳造に対応するレジン
標準的な性質の「Grey Resin」はデザインの確認に最適で金属製原型の代わりとして使用できる。「Castable Resin」「Castable Wax Resin」で出力した原型はそのまま鋳造用ワックス製原型として使用可能

デジタル化による“変革”は作業効率の向上だけではありません。最近、アクセサリーのエンドユーザーの中には、「この部分に角を生やしてください」「模様を入れてください」など、自分だけのカスタムデザインを望む方が増えています。そうした要望に対して古谷氏は、要望を聞きながらパソコンを開いてその場でデザインをアレンジして、後日完成した作品を渡しています。このほか、ストレンジフリークデザインスの作品を扱っている店舗でパソコンとプロジェクターを使って、エンドユーザーにアクセサリーデザインのプロセスを見せるイベントも数多く開催しています。

アクセサリー業界ではまだ「圧倒的に少数派」というデジタル化された原型制作手法ですが、古谷氏は先駆者として、もっと経験を重ねていくことで、デザイナーにとって大きなメリットのあるすごい制作ツールになると考えています。「手で作れたものは全部デジタルでも作れます。でも、その逆はありません。(他の方を)啓発しているつもりはないのですが、デジタルでデザインした作品を発表することで誰かを刺激していけば、今後何かしら起きてくるかなと思っています」


ストレンジフリークデザインスについて
ストレンジフリークデザインスは、2001年に古谷 尚人氏が創業したシルバーアクセサリーメーカー。ダークファンタジーの世界観をコンセプトとして、スカルや空想世界の生き物などをモチーフに、ずっしりと重厚かつ生命を感じさせる有機的・感覚的なデザインのリングやバングル、ペンダントヘッドなどの男性向けシルバーアクセサリーの制作と販売を手掛ける。
https://www.stfreak.com/

Formlabsについて
Formlabsは、デジタル製作技術を拡張し、誰もがものづくりを行えるようにしています。米国マサチューセッツ州サマービルに本社を置き、ドイツ、日本、中国、シンガポール、ハンガリー、米国ノースカロライナ州にオフィスを持つFormlabsは、世界中のエンジニア、デザイナー、メーカーや意思決定者が求めるプロフェッショナル向け3Dプリンタを提供しています。Formlabsの製品には、光造形 (SLA) 方式の最新技術である「LFS」を搭載したForm 3とForm 3L、Form 2 SLA 3Dプリンタ、洗浄および二次硬化ソリューションであるForm WashとForm Cure、Fuse 1 SLS 3DプリンタやForm Cell 製造ソリューションなどが含まれています。またFormlabsは、独自の高性能素材ならびに業界最高クラスの3Dプリント用ソフトウェアの開発を通じて、3Dプリントの可能性を更に広範なものにしています。

その他のリリース

話題のリリース

機能と特徴

お知らせ